年の差にも限度がありませんかねぇ!
「あんたいい加減働きな!」
僕は黙ってスマホをスワイプすると検索画面に戻った。
まったく、この小説を書いたのもニートエアプか……
僕は何十というニートが主人公の小説を読んだ、だがここにも僕と同じようなニートに出会うことはできないらしい。
よく世間ではニートは両親から怒鳴られているというイメージを持たれている。
だが僕レベルになると家族関係は良好なのだ。
それになんだこの小説は! それに対して怒鳴り返すなんてびっくりだ。
初心者ほどこう言った対応をしがちであるがニートベテランになってくるとメンタルが強くなり、この程度の罵倒などなんとも思わなくなるんだ。
「ニートになるにはメンタルが弱ければいい、ニートを続けるのには強靱なメンタルがなければならない」
これが僕のたどり着いた結論だ。
この小説もニートによって書かれているらしいがまだまだ初心者だなと言わざるをえない。
「そこまで文句つけるのならお兄ちゃんが書けばいいんだよ……」
!?!?!?!!?!!??
「誰だ?」
「私だよ、お・兄・ちゃ・ん」
振り返るとそこには金髪ツインテの少女がペタっと座っていた。
「誰だよ、僕に妹はいないぞ」
「あれっ?? 私の力が効いてないのかな? もうちょっと強くかけるから待ってね」
ベリッ・バキッ・ゴリゴリ……ズギャー・ガリガリ
脳内に異次元の圧力を感じる、頭が割れそうに痛い。
僕が数分だろうか、死にそうにのたうっていると少女が慌てて、
「ごめんごめん、お兄ちゃんはまだ普通の人間だったね、もうちょっとで死んじゃうとこだったけどゴメンね!」
「普通? この非常識そのものに巻き込まれてる時点で十分普通じゃないだろ! っていうか誰だよ!? 先に名前言え!」
「私はギヴァーだよ」
「日本人じゃないのか? 一体何なんだよ?」
「私は新しい人類、未来から来たんだ」
「未来?! 適当言うなよ! 警察に突き出すぞ!」
「無理無理、お母さんに私のこと聞いてみるといいよ、えっと……こっちでの名前はエミだから、一緒にあってこようか?」
何を言っている? 会えば通報されるんじゃないのか? 僕がさらったとでもいえばそれはそれでトラブルになるけど……
「かあさーん! お兄ちゃんが用事だって」
なによ?と部屋に母さんが入ってきた、特に驚きもしないので、
「この子誰? いきなりでびっくりしたんだけど?」
けんか腰で聞くと関係が悪くなってしまう。 僕はあくまで平穏に生きたいのだ、この非常識が出て行ってくれればとやかく言うつもりはない。
「この子って誰よ? 二人以外にだれがいるの?」
えっ?!
「お兄ちゃん、私が髪切ってきたらこの反応なんだよ、ひどいよねー」
「まったく……そりゃ髪くらい切るでしょうよ……妹好きも大概にしなさいよ」
そういうとさっさと出て行ってしまった。
「なんなんだよ一体!? エミ? でいいのか? 僕がおかしくなったんじゃないのか」
「大丈夫、お兄ちゃん’は’正常だよ。 ちょっとみんなのほうが変わっただけ」
「ほかの人が変わったのか? 何のためにそんな……」
「うん、今の地球には二種類の人がいるんだ、まずそこからだね」
なんなんだいったい……
「未来の地球じゃあその二つが戦争をしたんだよね、そりゃあもう酷かったよ。どちらもおんなじくらいの人数いたからね、終わりが見えなかったんだ。
で、私はそれを止めるために来たんだよ」
「タイムリープじゃありがちだな。でもなんで僕のところなんだよ? ほかに頼りになりそうな人くらいたくさんいるだろ?」
「お兄ちゃんが『はじまりの人』だからだよ」
「はじまり?僕が何を始めるっていうんだ?」
「お兄ちゃんはそのうち結婚するんだよ! そこからが問題なの……」
「結婚?! 嘘だろ!!! 僕は死ぬまで平穏に生きたいだけだぞ!」
「うん、まあ経緯までは詳しくわかってないんだよね、なにせここで人類が分岐したってわかってから注目されたからね。
今風に言うなら炎上しても卒アルが見つからないような話だね。
そこまではよかったんだ、誰も人の幸せを止めたくないでしょ?」
「人類が分岐? 僕が戦争の火種になるとでも……」
「そうだよ、お兄ちゃんの子供が初めての「人類の次」だったんだ。
最初はね多様性とか言って歓迎されたんだ、モテたりもしたらしいよ……でもそれがまずかったんだよね……
増えていく自分たちとは違う種族……今だって肌の色や信じる宗教で戦争が起きるんだもん、遺伝子から違ったらどうなるかわかるでしょ……」
「その話で行くと僕を殺しに来た流れか? 死ぬのは怖くないけどもうちょっと時間が欲しいな、身辺整理がしたい。 スマホとPCも処分したいし……」
「ちがうよ! お兄ちゃんは生きてもらうよ! ただちょっと歴史を変えるだけ。
私の世界だと人が減りすぎちゃってどんな人でも強制的に生かされてるの。意識がなかろうが寝たきりだろうがね……」
「今ですら社会福祉に使うお金が足りないというのに?」
「命が重くなりすぎちゃったんだよね……、 許可なく死ぬことは許されないってやつかな、ハハハ……」
笑ってこそいたが涙が量の頬を伝っていた、僕の未来を変えればこんな不幸はなくなるのだろうか……悪くないな。
「で、どうすればいいんだ? 結婚しないとかか?」
「協力してくれるの?! ホントに?」
「もともとそんな褒められた人生でもないしな、最後くらい人の役に立ちたいだろう?」
「もう! ちゃんと聞いて、私たちはみんなの人権を守ってるんだよ! ちょっと行き過ぎだけどね……」
「で、何をやるんだ? それなりに大変なんだろう」
「そうだね、結構時間かかるよ。でも悪いようにはしないから安心して」
「時間がかかるか……で、どうすればいい」
「……して」
「え?」
なんか変な単語が聞こえたんだが……
「私と結婚してください!」
未来の幸せのため、そして目の前の少女の笑顔のために、長い長い道のりの始まりだった。




