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勇神対大勇神

今日もはじまり、はじまり


 大勇神奪還のため、ドライスタ領を北進するアレックス達。

 勇神の感知した魂の座標を目指し、一行は街道を駆け抜け山地を目指して裾野に広がる森へと到着した。


 『山中の廃坑に複数の反応があるな、おそらく連中の隠れ家であろう……そしてアレックス、奴が出迎えてくれるらしい。心せよ!』


 アレックスと合身した勇神が、山を見上げて体を低くする。


 「はい! マッコイさん!馬車をお願いしますね!」


 黄金の獅子と大鷲を従え、勇神の装甲に命の赤いラインを走らせたアレックスが、決意をあらわに凛々しく答えた。

 

 「御武運を。自分にもゴーレムがあればよかったのですが」


 「王子を治してくださっただけでも十分ですよう。離れたらちょっとお休みになってて下さいね、昨夜は殆ど寝ていないのでしょう?」


 「そうなんですがね……生意気な後輩が遅過ぎるので、ちょっと様子を見て来ようかと思います」


 それに、怪我が治ってすぐ飛び出す人間は、大抵また怪我をして帰ってくるもんでしてね、

 大人がフォローできる所はやれるだけやっておかないと。


 森へ向かって進みだす主従を見送って、マッコイが最後の言葉を飲み込んだ時、山の中腹から銀の巨影が飛び出した。


 「だぁっはっはっはっはっはぁ!!雁首揃えて来やがったな王子サマ達よゥ!何度やっても同じだと、嬢ちゃんに聞かなかったかオラァ!!」


 異形と化した「大」のブースターを吹かし、空中から笑い声を響かせるのは、この短時間に合体ゴーレムに順応したワッジ。

 手刀を構えて待ち受ける勇神に向かって突進する「大」は森の木々をなぎ倒し、大質量の拳を突き出して迫る。

 

 ドガアアアアアアアアアアアアン!!


 大小二つの拳がぶつかり、衝撃が地面を巻き上げて荒れ狂う。

 二機の衝撃転換装甲が魔法光を輝かせて開戦の狼煙を上げた。


 「同じなものか! 母様の願いを知った今、昨日までのボクたちだと思うなよ!!」


 『良くぞ言ったアレックス!!我等の完全な合身は未だ成らず。されど同じ使命、同じ思いに心を束ねる事は出来る!!』


 「それで強くなれりゃあ世話ねえんだよぉ!!」

 譲らぬ意地を互いの拳に乗せ、大小の勇神が魔法光を噴いて相打つ。

 

 ドドドド!! ゴワウ!! ドガガガガァァァ!!


 時に地に這い、時に宙を舞う白く素早い勇神の打撃が5発入る間に、「大」の大ぶりな攻撃が二度周囲を薙いだ。

 互いの体を捕らえた打撃が爆音と衝撃波を起こし、木々を根こそぎ吹き飛ばして森をえぐる。

 

 「せいやあああああ!」


 バキイ!! ガガァ!!


 『ぬ!?』


 「捕まえたぜ?」


 渾身の正拳突きを放った勇神の拳を捕まえて、銀の魔神がぶるりと震え、周囲の空気が歪みだす。

 先の戦いで勇神を苦しめた、超振動の発動だ!!


 『こやつ!まさか全身から!?』

 「モニカ!!ファングリオン!!」


 「はい王子!ファング・シャウト!撃ちますよう!!」 

 ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


 頭にモニカを乗せた黄金の獅子が咆哮を上げ、指向性を持った衝撃波を吐く。

 「大」に向けてまっすぐ突き進んだ衝撃波は超振動を相殺し、勇神の捕まった銀の手に直撃して爆発を起こした。


 「っち!! だがなァ!!」

 

 勇神取り逃がし当た「大」が、勇神の二倍の身の丈を誇るその体をねじって回し蹴りを放つ。

 人型ゴーレムの胴体よりも太い脚が超スピードで旋回し、暴威を持って目の前の勇神を薙ぎ払った。


 『「何とおぉ!!」』


 後方へ下がれば追撃をもらうと、蹴りの下をくぐるようにして攻撃をいなす勇神。

 そのまま「大」の重心の掛かった軸足の膝を折るべく、低い姿勢のまま飛びつく勇神に真横から第二撃が襲う!!


 バアアアアァン!! ガシャァァァ!!


 回し蹴りのまま半回転した「大」の、背中に一体化した虫が遠心力をつけて勇神を薙ぎ払ったのだ。

 

 「ぐあっ?!」

 『やりおる!!』


 森に土煙を上げて叩きつけられた勇神が、二度、三度と回転して勢いを逃し距離を取った。


 「だぁっはっはっはっはぁ!!」


 片手立ちをする格好から跳ね起き、頭を振って体制を立て直した勇神に、向き直った「大」が両手を広げて笑い、森を蹴立てて追撃をかけるべく迫る。


 『流石に重いのう』

 

 「打撃が通じない……でも!!」


 立ち上がった勇神が陽炎を上げて、拳の先に光の杭を出現させる。

 アレックスの召喚魔法が形を変えた、必殺の一撃を放たんと巨神が体を引き絞り、顔の横に構えて迫りくる「大」を迎え撃つ!!

 

 「ブレイブ・パイク・ストライク!!」


 勇神の放つ拳の直前で両肩のブースターを吹かし、突進から直角に軌道を変え、真左へと移動してアレックスの魔法を躱す「大」。

 恐るべきはブレイブキャリッジの推進力と、無理矢理な機動に耐える剛性か!!


 「今更突き出すだけの攻撃でぇ!」


 腕の伸び切った攻撃後の勇神にめがけて、回避機動の勢いのままに、重量と推進力を回転に換えた「大」の巨拳が迫る。

 現行最大最強のゴーレムが放つ、最速最強の剛拳!! さしもの勇神も、これをまともに受ければ無事では済まない!

 

 ゴウオオオ!! バアアアアン!!

 

 空気の壁を打ち抜き、拳圧で木々を吹き飛ばし、森に亀裂を走らせて勇神の居る位置で炸裂する「大」の一撃!!

 

 「取ったぜ……!」


 土煙の先に勝利の手ごたえを感じたワッジが、拳の先を確認すべく半歩「大」を歩ませる。

 

 「!? 居ない?」


 彼の目のまえにあったのは、突き出された位置で空間に固定された光の杭。

 そして空まで続くように、階段のように等間隔で中空に並ぶ杭の列!!


 「ボクの魔法が空間を操る物ならば───」 


 『使い方次第ではこのような事も出来るというもの!!』


 遥か森を見下ろす高さに駆け上がった勇神が、身を翻しえて足場の杭を蹴る!!

 「大」の視線の先の太陽に飛び込むように空を駆け、陽光の中に潜んでいたグライガルーダを蹴ってもう一回転!!


 「くらえ!!反転!!」 

 『勇神キック!!』


 『「せいっやああああああああああああああああ!」』



 キュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!


 重量差を位置エネルギーで補った、勇神とアレックスの一撃は流星のごとく「大」を捉え、大地を爆裂させてその巨体を吹き飛ばした!!

 

今日はここまで

お読みいただきありがとうございました

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