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水龍襲来

今日もはじまり、はじまり


 見つけた

 見つけた

 見つけた


 琥珀の瞳の王子様

 昨日から私の居る方を見つめてた


 約束を覚えていてくれたんだ

 遊びに来てくれたんだ

 

 でもごめんね

 私はここを守れなかった


 山は大きく形を変えて

 淵も、村も、巨人に削り取られて沈んでしまった

 みんな私を置いて遠くへ行ってしまった

 

 何で

 何で何で

 何で何で何で


 私が死ななければならなかったの

 私が守りたかったものがなくなったの


 そして何より貴方が


 


 ―――何でその巨人と一緒にいるの―――



 

 

 『「何がしたいのか分らんが、人を襲うなら仕方無い!!人造湖を騒がせる怪物め、この大勇神とアレックス第三王子が相手だッ!!」』


 波を逆立て迫り来る青い髪の少女に、黒の巨神が立ちはだかる。

 渦の中で蠢いていた影が水深の浅いところまで到達し、遂にその異形をあらわにした。


 ギャルルウルルオオオオォォ!!


 鋭角の頭部と青黒い鱗、水を切り裂く硬質の背びれと水かきの備わった手足。

 大蛇のような胴体の長さは大勇神の全長を二倍にしてもまだ足りず、水中にある尾の長さは未知数。

 喉まで裂けた大口には剣のような牙を並べ、鎌首をもたげた姿はまさに悪夢の体現。


 『ドラゴンじゃと!?』

 「やっぱり居たんですよ、勇神様!!」

 

 何処か弾んだアレックスの声に水龍の上に浮かぶ少女が反応する。

 

 ――― オ マ エ モ 死 ネ ―――


 暗く擦れて神経に響く恐ろしい声を残し、水龍の額に吸い込まれる幽霊。

 憎悪のオーラを身に纏ったドラゴンは再び咆吼をあげると、波を蹴立てて大勇神に突進する!!


 『「せいやぁ!!」』


 迎え撃つは大勇神の剛拳!!

 大質量の右フックが水龍の横面を捉え、顎を粉砕して湖水に叩きつけた!!

 衝撃転換装甲が関節の負荷を魔法光に換えて発散し、豪雨のような水の飛沫に宝石の輝きを与える。

 

 ギャウォオオオォォォ!!


 『「岸から離れてもらうぞ!!」』


 大波をあげてのたうつドラゴンに追撃の蹴り上げを放ち、沖に吹っ飛ばした大勇神は両肩のブースターを立ち上げ、その側面から魔法光の誘導弾を斉射する!!


 『「ギャロップ・ミサイル!!」』


 破壊の魔法を載せた追尾弾が甲高い残響を引いて水中に突き刺さり、沈みゆく水龍を押しつぶすべく幾十もの爆雷の火球を発生させた。


 ドドドドドドドドド!!


 水龍の倒れた形をなぞり、人造湖を斜めに切り裂いて走る水柱!!

 

 見よ!! これぞ大勇神!!

 あらゆる環境に適応し、圧倒的火力で蹂躙する無敵の鎧!!動く要塞!!破壊神!!

 絶対防御と禁断の砲撃兵器を満載した、難攻不落の機動砲塁である!!

 

 「この力は……」


 『翠星王が用意してくれたアーティファクトのおかげじゃ、これで大勇神はより完全に近づいた。さしものドラゴンでもあの爆発ならば仕留め切れたはず』


 煮え立つ水面が裏返り、ごぽごぽと蒸気を発して流れゆく。

 勝利を確信した大勇神がアレックスを分離するため陸に向かって振り返ろうとしたその時、大気を切り裂いて水の刃がそのボディを打ち据えた。

 

 『「うわわわわ!!」』


 慌てて体をよじり、両腕のシールドで攻撃地点を警戒する巨神。

 構えた盾の隙間から見えたのは、先ほどのドラゴンが鎌首をもたげ二撃目を放たんとする姿であった。

 深みより長い頚を伸ばし、鋭い牙の並んだ口を180度に開いて、喉の奥から撃ちだされたのは超高圧のウォーターカッター。

 音速を超える速度で射出される水は鋼をも切断する威力を持って振り回され、反撃に移る隙を与えず大勇神に迫った!!


 ギイイィィィイイン!!


 『「っつ!!」』


 回避すれば陸に届く攻撃を迷わず受け止めて、大勇神が後退する。

 装甲を這いまわり巨体を押しのける勢いの水流を受け切り、衝撃転換装甲の発する光でくらんだ視界が戻った大勇神が見たものは!!


 『無傷じゃと!?』


 「違います勇神様!!あれは……!!」


 水龍の裂けた口が笑みを作るように歪み、挑発するかのごとくゆっくりと水に潜って行く。

 ゆがんだ顎は肉をじくじくと蠢かせ、巨神の拳に砕かれた傷を再生していた。


 その様はまるで数日前に遭遇した肉塊のように、アレックスの背筋を凍らせた。

 

今日はここまで

お読みいただきありがとうございました。

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