大勇神
今日もはじまり、はじまり
「召喚!!ブレイブキャリッジ!!」
王都に木霊するアレックスの声。
星空に高々と拳を掲げた勇神の足元に、光のレールが伸びた。。
彼方から、貴人の歩むカーペットのように、海に映る月光の道のようにきらめき伸びるレールの上を走り来るのは、4頭立ての機械馬に牽引された装甲馬車!!
勇神を載せて走行可能なほどの巨大さと、風よりも早きスピードを持った、重厚な黒の絢爛豪華な大戦輪!!
『「ロイヤル・フォーメーション!!」』
夜空に逆さに上りゆく流れ星のごとく、大跳躍する勇神!!
同じく跳躍し、勇神に繋がる光のラインを追って天駆ける車馬となったブレイブキャリッジは、はたして馬の鼻先を地面に向け下向きに直立すると、意想外の変形を開始した!!
先頭を走る二頭の機械馬は馬車の両翼に分かれ、 両足を綺麗に畳み胸と腹下から巨大な腕をおろすと、胴体の真ん中で横にくの字に折れる!
4つの車輪はパージされ二つに重なって、両腕の外側に盾として装着され、稲妻を上げて回転した!!
馬の鼻先から胸までが大きく横にせり出した肩鎧に、折れた胴体の後ろ半分がそれぞれ肩の後ろで主張するブースターに形を変え、馬車を胴体とした上半身の両腕として接続する!!
二列目の機械馬は頚を引っ込め足を曲げ、畳んだ前足と鼻先で踵とつま先を形成すると、こちらも巨大な下腿部に変形し、折り畳みナイフのように大腿部を出現させ、各々装甲馬車と一体となって下半身となった!
『「とうぁ!!」』
空中に舞い上がった勇神が、装甲馬車で出来た胴体の胸の部分に飛び込む!
観音開きの胸鎧が展開し、 内部に収納していた兜を射出すると、首だけを出して勇神を収納し、空中の兜がその頭を覆う。!
全身を包むマリオネットを着込んだ格好で各部の装甲が締まり、ブレイブキャリッジは超巨大の人型ゴーレムとなって完成した!!
勇神の鋭い目はそのままに、鬼神のごときマスクと、後頭部まで伸びる鮮やかな金の二本角!!
黒いボディを魔法光で彩り、赤い兜を月光にきらめかせ、両の拳を打ち付けて、空も割れよと大きく叫ぶ!!
『「大 ・ 勇 ・ 神 ・ 参 ・ 上!!」』
その名は大勇神!!
関節からサーチライトのように吹き出した魔法光が、周囲を舐めまわしながら荒れ狂う!!
空白の30年間に力を蓄えた、新たな伝説!!
すべてのゴーレム開発技術の、究極の到達点!!
超巨大装甲支援馬車ブレイブキャリッジと合体した勇神の戦闘形態、大勇神の顕現であった!!
ブッピガァァァン!!
合体バンクの合間に立ち上がった、満身創痍の猛牛ゴーレムの正面に降り立つ漆黒の巨神。
大勇神となったその姿は、もはや猛牛と相対しても互角の大きさ。
「ええぇ……? これは聞いてないぜ姐御……」
「このタイミングで強化はおかしくないでヤンスか?」
猛牛ゴーレムの中で、ワッジとザッカーは驚愕を通り越してお手上げの状態であった。
騎士団ゴーレムと協力しながらとはいえ、この巨獣を叩きのめし、王都のはずれまで吹っ飛ばしてくれた勇神が、さらに力強く、さらに大きく、彼らの前に絶対の偉容をもって聳え立ったのだ。
『それだけ儂が憤激しておるという事じゃ……!!』
大勇神の怒声が鳴り渡る。
『本来なら無駄に大きい貴様らのゴーレム、端から順に八つ裂きにしてくれても飽き足らん所であるが、アレックスの就寝時間はとうに過ぎておるでな。一思いに消し炭にしてくれるわ!!』
仁王立ちしていた大勇神がいくさを構える。
必殺の威力を込めた剛拳が弓矢のように引き絞られ、両肩のブースターが起き上がり火を噴くと、神速の突撃を敢行する。
両腕のシールドが激しく回転するタービンとなり、大勇神の腕は雷鳴をまとった戦槌の如き威力を持って、猛牛のどてっぱらに深々と打ち込まれた!!
『「必殺!!コズミック・ボルト!!」』
ズッガアァァァァァ!!
稲妻もかくやというほどの電撃と、破城槌の如き衝撃を同時に喰らい、猛牛の体が大きくたわむ。
装甲を圧壊させ、電撃によって内部機構を破壊し機能停止に追い込む格闘戦の切り札は、小山のような巨獣にも確かな致命傷を与えた!!
「あっばばばばっばばばば!!」
「しびびっびびびびっでヤンス!!」
放電しながら計器が火を噴き、火花が爆ぜるコクピットで、二人の男がアフロヘアーになって悶えるが、大勇神の怒りは収まらない。
『おおおおおおぉぉッ!!』
突き刺した右手を振り、腰を入れて回転すると、大きく円を描く軌道をもって、猛牛ゴーレムを遥か上空へと放り投げた!!
驚くべきそのパワー!! 何という大勇神の威力か!!
『ブレイブ・キャノン!!』
夜天に浮かぶ月に重なる巨獣の影を狙って、大勇神は両腕を腰だめに構え、肩アーマー先端の馬頭を回転させると、機械馬の口から変形した大砲を出現させる。
ドゥン!! キュン!!
両肩から発射された光弾が、 狙い違わず猛牛ゴーレムをとらえる。
王都の空に、大輪の花火が開いた。
今日はここまで 次回「勇神と王子」
お読みいただきありがとうございました。




