ドラゴン漫才3
新進気鋭の若手お笑いコンビ、『ドラゴンズ』の漫才。
タイトル『編み出せ! 新必殺技!』。
ボケ…………バハムート
ツッコミ……リヴァイアサン
出囃子:プロレスラー藤波辰巳の「マッチョ・ドラゴン」
2人『はい、どーも!』
バハ「バハムートでーす!」
リヴ「リヴァイアサンでーす!」
2人『2人そろって、ドラゴンズでーす!』
リヴ「オレらドラゴン2匹の漫才コンビ! 笑いへの情熱は誰にも負けまへん! お笑い界の『一番』を目指していこう思てますんで、今日も張り切ってまいりましょう!」
バハ「リヴァさん、リヴァさん。『二番じゃ駄目なんですか?』」
リヴ「なんや、バハやん。聞いたことあるセリフやな。そら二番より一番の方がよろしいやろ。男たるもん常に頂上目指していかんと」
バハ「ぼはーっ!」
リヴ「危なっ! なんや、ド派手なため息ついて。今の地球が滅ぶ威力やったで? 大丈夫なんか?」
バハ「とりあえず宇宙空間に向けて撃ったから、今は安心してええよ」
リヴ「そんならええけど。ん? 今は?」
バハ「ハレー彗星の軌道に乗っとるから、そのうち戻ってくるけど」
リヴ「マジで!? 76年後、地球滅亡するやん!」
バハ「まあ、覚えとったらボクが迎撃するさかい、心配はいらんで」
リヴ「ほんなら、忘れんようにスマホのスケジュールに入れとってな。それはええとして。どうしてん、悩みでもあるんか?」
バハ「ボクなあ、もともと『メガフレア』ゆう必殺技持っとるんですけど」
リヴ「まあ、有名な話ですよね。最強召喚獣の最強必殺技ちゅうてね」
バハ「最近、その最上位技で『テラフレア』を使えるようになってんけど、そしたらみんなボクのこと『バハムート・零式』と呼ぶようになったんですわ。なんか微妙やないですか?」
リヴ「なんで? バハムート・零式、カッコええですやん」
バハ「普通、無印の次は2、その次は3ちゃいますか? 映画やゲームも2、3続いたら面白くなりよるし。そこいって、ゼロ式って。なんか弱なった気しません?」
リヴ「商業主義に走って、ガッカリする続編もありますけどね。そうですか? オレは零式って呼ばれたいけどなあ」
バハ「ほんでも『リヴァイアサン・風呂敷』とか『リヴァイアサン・ピロシキ』って呼ばれて嬉しいか? ダサッ! ってならへん?」
リヴ「ダサッ! 風呂敷、ピロシキってなんやねん!」
バハ「ピロシキはロシアのコロッケですがな」
リヴ「ちがうちがう、ピロシキの説明は求めてへん! なんでオレだけ零式やないねん」
バハ「だって『リヴァイアサン・零式』やと、3なんか0なんかよう分からへんもん。ピロシキの方がおもろない?」
リヴ「ただただ面白がっとるだけやないか! リヴァイアサンのサンは数字の3やないからね?」
バハ「まあ、零式の事はええんですわ」
リヴ「ええんかい! なんやってん、この件。ほんなら、自分なに悩んどんねん」
バハ「あんなあ、最近ボクもう『最強召喚獣』って呼ばれへんようになって来てましてん」
リヴ「あー、そうですなあ。近頃は強くて新しい獣がガンガン参入してますからね」
バハ「その上、『永遠の二番手』とか言われたりですね。『20世紀最強の暴君』と言われよった頃が懐かしいですわ」
リヴ「そんなん言われてましたっけ? まあ、この業界も日進月歩、分進秒歩ですからね。IT産業と一緒ですわ」
バハ「あ痛えー」
リヴ「しょうもないこと言わんと」
バハ「だいたい、『ナイツ・オブ・ラウンド』って、ひどない? あいつら、13人がかりで敵一体をボコボコにしよんねんで。ヤンキーのリンチと変わらへんやん」
リヴ「オレは最近じゃ『ゾディアーク』ゆう召喚獣が強いって、聞きましたで」
バハ「最近の若い獣は分からへんな。顔と名前が一致せえへん」
リヴ「課長クラスのおっさんみたいな事言うてるなあ」
バハ「ボクも人気の上にあぐらかいてた訳ではないんですけど、もっと頑張らなあ思いましてね。新しい必殺技編み出そう思うてるんですわ。なんなら一発今ここで」
リヴ「ほー、その心意気はええですね。ほんならオレも協力しますよ」
バハ「ほんま? 助かるわー。ほんだら、今から新しいのやるから感想を聞かせてくれへん? 打ち砕け! 天駆ける、暗黒の雷!」
リヴ「おっ、雷系の技か? なんか、凄そうな雰囲気やぞ」
バハ「『ブラックサンダー!!』バリバリッ、ドカーン! どや? 強そうやろ?」
リヴ「うーん? 強そうというか、美味しそう?」
バハ「なに言うてんねん! ちょいワルのキャラが使いそうな黒い雷やぞ? なんで美味そうなん?」
リヴ「ほな、お客さんに聞いてみよか? ほら、ココアクッキーが入ったチョコレートって言うてはるで」
バハ「ほんまや! ほな、これはボツやな。次行くで、消え去れ! 新たなる地平の彼方へ!」
リヴ「おおっ? 地属性か、無属性即死系の技か? これは期待が持てそうやで!」
バハ「『ニューホライズン!!』ズババババッ、バシュッ! どうや! これは文句なしやろ!」
リヴ「うん。文句なく、基礎から英語が学べそうやね」
バハ「は? なんで、そこで英語が出てくんの?」
リヴ「お客さんに聞いてみよか? ほら、中学の時使ってたとか言うてはるやん」
バハ「じゃ、『ニュークラウン!!』もあかんか?」
リヴ「どこに寄せて行きよんねん。あかんに決まっとるやろ」
バハ「しゃあない、ほんだら最後の取っておきや! 大いなる大地の恵み、限りなく実り続ける翡翠の果実!」
リヴ「植物系か? 凄まじいエナジーを感じるで!」
バハ「うおおおおおおおおおおーーーーっ!『無限ピーマン!!』」
リヴ「はい、アウトー! 自分ふざけとるやろ?」
バハ「なんでや! 敵の口ん中に無数の生ピーマン詰め込んで、苦さと辛さで悶え苦しめる技やぞ! 何がおふざけやねん!」
リヴ「あ、料理の名前とちがうんか? 意外とまともな技やったけど、でもやっぱあかんと思うわ」
バハ「そうかあ。新技開発って難しいなあ」
リヴ「やっぱ一朝一夕、一晩で編み出すのは無理なんとちゃいますかね?」
バハ「一晩で無理なら、『二晩じゃ駄目なんですか?』」
リヴ「それは『二晩』やなくて、『二晩』やね。晩ってゆうたら、もう晩メシの時間か。腹減ってきたなあ」
バハ「ほんなら、ここにピロシキありまっせ。ぎょうさんあるから、選んで食ってや」
リヴ「選ぶ? 色んな味があるんかな? まあええわ、いただきます。もぐもぐ、ブバッ! 辛っ! なんやこらーっ!」
バハ「あ、それ大当たりや」
リヴ「水くれ、水! なんでこないな事すんねん!」
バハ「ロシア名物だけに『ロシアンルーレット!!』 おっ? これ、新必殺技いけんのやない?」
リヴ「いける訳ないやろ! もう、やめさせてもらうわ!」
2人『どうも、ありがとうございましたー!』
おしまい