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フラスコの中の世界  作者: 瀬野 或
序章
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1/7

心

フラスコの中には何があると思う?

 

フラスコの中はからっぽだ。


見た通り、何かを入れなければ埋まらない。


何かで満たさなければ、満たされる事も無い。


それは、人の心と同じ──────・・・



人の心もからっぽだ。


だから人は、心に〝何か〟を埋めようとする。


何かで満たさなければ、心は満たされない。


友人、家族、恋人、仲間、友情、愛情、寂しい、虚しい、悲しい、苦しい・・・そういう感情にも頼って、人は心を埋めようとする。


必死で自分の〝空白〟を埋めるかのように。


でも、人の心には欠陥がある───


 

心の欠陥───・・・


それは、心が完成したモノじゃないということ。


心は最初から〝割れている〟から、何かで満たしても直ぐにからっぽになる。


心の割れ目から、折角満たした感情が、どんどん滴り落ちてしまう。


これが俗に言う〝時間が解決する〟の正体だ。


時間が経過すれば、それだけ割れ目から溢れてやがて〝無かった事〟になるんだ。


 

それでいいのだろうか───・・・



溢れてしまったモノは、必要じゃないモノだったのか?


自分で埋めた筈なのに、それは無駄なモノだったのか?


僕には分からない。


だから、知りたい。


あの子が失ってしまった〝何か〟を・・・


僕は取り戻したいんだ───


 



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