唐突だが、貨幣についてまとめてみる。
唐突だが、貨幣についてまとめてみる。
まず貨幣とはなんじゃろか?
【お金】だ。
これの経済用語が貨幣となる。
通貨とも呼ぶね。
そもそも貨幣はなぜ生まれたか。
大昔には【買う】という行為はなかった。
物々交換が当たり前だったからだ。
自分が取ったものの中の余ったもので、自分では手に入れることができない物を、交換で手に入れる。
商売の始まりでもあるが、この行為に利益はない。
行動範囲が狭かった時代はこれでもよかった。
生きるために必要なものは少なかったからね。
だがここで問題が。
人間が集団で生活するようになり、秩序が生まれた。
つまり小さな自治体ができ始めた。
こうすると、ちょっと余裕ができる。
なんでかというと、集団作業が始まったからさ。
狩りも楽になるし(少しね)、農作業も共同でやれば広い面積でできるようになる。
そして集団になるとあるものが出てくる。
【長】【商人】だ。
生産に余力が出た集団は、それを持って物々交換に挑む。
生産者がそれにかかりっきりでは生産性が落ちる。
なので、物々交換を主な作業とする人間も出てくる。
商人のご先祖様だ。
ただこの時点で利益という概念はない。
だって【貨幣】がないもの。
儲けを定量化する術を持っていない。
基準となるものがなかったのだ。
また生活に余裕が出て権力者が現れる。
なにが始まるかというと、趣味や希少なものに目が行くようになる。
つまり【貴金属】だ。
もちろん希少なものは貴金属だけではない。
食糧じゃ腐る
鉄もさびる。
かさばるのも困る。
都合がよいのが貴金属だったってこと。
そしてこの貴金属は多くの人間にとって共通の価値があった。
綺麗だよね。
ほしがるよね。
偉そうに見えるよね。
で、生産量も増え、結構な量が集まった。
いつからか商人は思う。
物々交換は良いけど、持っていくのが重いんだよね。
手軽にゲットできねえの?と。
楽をしたいのは人間の性。
国家が生まれ、物流を考え始めると、物々交換の限界に行き着く。
持って行ってらんねえ!
不便だ!
損してる気がする!
まぁ、人間なんていつの時代も考えることは変わらない。
楽したいのさ。
良い思いしたいのさ。
で、頭のいい人が生み出したのがコインだ。
富の象徴として共通の価値を認識する貴金属を使用したナニカを作ったら、いいんじゃね?
と。
貨幣の成り立ちはこれだけが起源ではない。
ただわかりやすく説明するのに、これを使ったに過ぎない。
戻ろう。
で、コインを作った。
材質は金、銀、銅だ。
鉄は綺麗じゃないし、結構普通に取れるんだよ。砂鉄の形だけどね。
それに武器に使ってたからそっちの需要のほうが大きかったってのもあると思われる。
なんにせよ、それ自体に価値がないと意味がないから。
その存在を裏付けるのは国家という権力だ。
ぶっちゃけて言えば武力だ。
国がその価値を担保する。
だから交易に使える。
それに、貨幣そのものに価値があるから溶かして加工することもできた。
使う人も、納得できるってわけ。
オールオッケーだった。
また、貨幣には隠れた使命がある。
貨幣とは国家ごとに作られるものだ。
よく小説において異世界での共通の貨幣、なんてあるが、あれは現実ではあり得ない。
なぜなら、貨幣使用可能範囲はその国家の威信が届く範囲でもあるのだ。
これは貨幣の作り方が様々であることが原因だ。
Aという国家が作った金貨が、Bという国家が作っている金貨と同等だと、だれが決めるのか。
金貨1枚の重さも違うだろう。もしかしたら純然たる金だけで作られていないのかも。
そうすると単純に重さで比較できない。
貨幣の価値が同等であるとの共通の認識ができない。
つまり弾かれるのだ。
自国で作り出す貨幣以外を許すと国家として困る。
管理できねっす
損をしてんじゃね?。
と。
なので国家は自らの権威の届く範囲は自国の貨幣のみ使用可能とするようになる。
そして貨幣のデザインも、その国を象徴するような人物などをモチーフとする。
商人が貿易で他国の貨幣を持ち込んだときは、両替の際に租税を徴収する。
自国の貨幣よりも下に置いたわけだ。
だって使われちゃ困るじゃん。
国家の威信がガタ落ちよ?
両替マンドクセ。
てなわけで、集団国家や連邦制の国家でない限り、貨幣は違うものとなった。
時は流れ、国家も大きくなり経済も発展を続けているうちに、高額な金貨でも取引できない額になり始めた。
ちょっと、金貨が十万枚とか狂気の沙汰なんですけど!
重くて船が沈むんだけど!
馬車の車輪がおれちゃうんですけど!
信用取引もあったろうが、最終的にはいつもニコニコ現金払いになるのだ。
困った。
マジ困った。
誰かタスケテ!
国家は頭を抱えた。
だが問題はこれだけではなかった。
経済の発展の速度に比べ金貨のもとになる金の増え方は圧倒的に少なかったのだ。
つまり、金貨を作る金が足りなくなったのだ。
そこで生まれる貨幣の価値を落とす政策。
江戸幕府もやらかした、アレだ。
金貨を噛む行為は、劣化した金貨を見分けることから始まったんだねぇ。
金は柔らかいからね。噛むとへこむんだよ。
さて戻ろう。
国家は悩んだ。
経済発展は必需品だ。
一度と裕福な生活をしてしまうと、ビンボウには戻れないものだ。
人間は業を背負う生き物なのだ。
と。
金は金で取っておこう。
金貨の代わりを作ればいいんだ!ピコーン!
折角だから軽いものがいいよね。
割と簡単に作れるといいかも。
そこで満を持して登場したのが、紙幣だ。
軽いぜ!
持ち運びに便利!
硬貨よりも大きいからデザインも豊富!
と、まぁ、紙幣はドドドドっと広まった。
諸事情で紙幣を使えなかった地域は、ほかの国の紙幣で代用、なんてこともあったよう。
さてこの【紙幣】。
こいつ自体に価値はほとんどない。
こいつの価値の裏付けとして使われたのが、我らがヒーロー【金】だ。
国によっては【銀】だったかもしれない。
石見銀山全盛期は銀のほうが有力だったって話も。
何かあった際はこの紙幣と同額の金と交換してやるぜぇぇ!
ってのが、荒っぽいけども、金本位制の説明になる。
よーは、国家が責任もって保障してやるYO、と言っているわけだ。
その国家が信用できるかは別問題として。
紙幣のおかげで財布はすっかり軽くなった。
ありがたみも減ったが。
だがこの紙幣の登場が、その裏付けである金本位制をも揺るがすようになってきた。
紙幣を発行する国は、相当量の金を現物で持っていなければならない。
だが、発展し続ける経済がそれを許してくれなかった。
金がタリネーヨ!
儲けるためには紙幣をもっと刷るザます!
国際的に金が高騰してて貧乏国家にはテガデネー!
ザッケンナコラー
なーんて阿鼻叫喚があったかは知らないが、第二次大戦中に連合国通貨金融会議が開催される。
ようは、戦争もあって金属全般が不足している中で金本位制を保つことが面倒になったのだ。
放り投げちまえ!
ということで、この会議で
「USドルが金との兌換を持ち、各国の通貨はUSドルとの固定相場制を取ることで価値を保証する」
というブレトンウッズ体制が確立される。
USドルが世界の基軸通貨となった瞬間だ。
だがここで問題が終わったわけではなかったぁぁ!
ズキュゥゥゥゥン!
世界機軸の通貨となったはいいが、そのせいでひたすらドルを供給しなくてはいけなくなったアメリカ。
ベトナム戦争なんかもあってドル自体態の価値が下落し、国際収支の赤字補てんで持っていた金をうっぱらってしまい、金準備額も順調に減っていた。
もうだめ。
もうむり。
ダメポ。
アメリカが「やってらんねーぜ」といったかどうかは知らないが、1971年にUSドルと金との兌換は停止された。
ニクソン・ショックってヤツだ。
ここにきて貨幣は【金】という後ろ盾を失った。
ゴウランガ!
スポンサーを失ったアイドル状態だ。
ショッギョムッジョ。
よーっし、こうなったら独立だぁぁぁ!
ヒャッハァァァァァ!
と叫んだかどうかは知らないが、各国は自らの経済力を担保として貨幣の後ろ盾とした。
売れっ子アイドルだったらば自ら稼げばいいんだ!
これが現在の形であーる。
貨幣を、超荒っぽく、かなーりマイルドに、ざっくばらんに、適当に説明してみた。
もちろん、これだけが貨幣の成り立ちでもないし、歴史でもない。
様々な原因があって貨幣が生まれ、紙幣が生まれているのだ。
皆さんが何気なく使っている、そのお金。
そのお金が、その形になるまでは、紆余曲折に七転八倒な歴史があることを、頭の隅っこにでもとどめておいていただきたい。
そして、こんな無駄な知識が、創作においてリアリティを担保するものの一部にでもなれば。
との思いで、このエッセイをぶん投げた。
これにて、終了。