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異世界はチーターだらけで俺は脇役。  作者: 時の勇者
第一章:不幸でも異世界転生がしたい!
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1、異世界転生は不幸から。

  皆は、ライトノベルというものを知っているだろうか?

 そう、あの作者が妄想をタラタラに書き込んだ小説のことである。

  種類は豊富であり、ほのぼの系もあればハーレム系もあり、学園ものがあれば異世界ものもある。実に面白いものである。

  何故このようなことを書くのかと言われれば、お金を稼ぐ為、暇潰しの為、楽しむ為、そしてこの世界が面白くない為だと思われる。

  最後の小説の方はそれはもう妄想垂れ流しの酷いものである。確かに面白いのだが、ご都合主義がずっと続いている訳で、ハーレムでありつつも敵が毎回現れるわ、それをなんとかぎりぎりで倒すわで常にヒーローなのだ。

  だが、それが時にはいいということもある。

  現実は厳しく、常に残酷だ。

  明らかにお前が犯人だろう、と思われる人なんていないし、というかそういう人は基本的にニュースとかでは昔はいい人だったと言われがちだ。

  ラノベやゲームなどに出てくるキャラクターたちは収入を得る為のシステムがほぼ確立されていて、常に全員が働いているが、この世界では働いていない人もいる。たとえ働けたとしても、酷いブラック企業もある。

  ……まぁ、偏見だろうそんなもん、と言われればそうかもしれない。

  ただ、偏見だろうそんなもん、という人の内の何人だろうか。何人かは必ず良い方しか見てこなかった偏見の人であり、人生謳歌できてるんだーへぇーすごーい!とこちらも返すしかない。

  何が言いたいのかといえば、要は俺は敗北者のようなのだ。

  唐突ですまないな。最初の自分なんてのは適当だったりするから、飛ばしても良かったと思う。実際に文字数稼ぎも良い所だ。

  さて、話を戻そう。

  それは時には運が悪く、時には病気になり、事故に遭い、失敗ばかりの日々なのだ。

  日頃の行いは自分で言うのもなんだが、悪い方ではなく、むしろ良い方なのだ。早寝早起き、朝食は食べ、朝は運動し、遅刻はした事はなく、行動は真面目で、物事ははっきり言う方、平等主義であり、勉強もできる方だと思う。ついでに言えば、覚えている限りでは信号無視をしたことすらない。

  まさに、人間の鏡の様な人だと思う。……うん、断言はしない。思うだけだ。

  だが、何を間違えたのか。そもそも間違えではなかったのかはさておき、突然、俺は死んだのだ。

  そう、死である。

  原因は雷に打たれて死んだ、と言われた。

  その日は曇っていた。涼しく、日が出ていなかったので久々に何処か遠い山に向かって自転車をこいだ。友達を誘ったが断られてしまい、仕方なく一人で登ることにしたのだ。マウンテンバイクを持っていたので平坦は疲れるが、山登りは好きだったのだ。ビル街を抜けてもう少しで山に着いて峠に入ろうかというところでそれは来た。

  突然、雷が鳴ったのだ。風が強くなったので嵐が近づいているのだと思った。不思議と雨は降っていなくて、傘を持ってきていなかったので帰ろうとした時、それは自分に向かって飛んできた。

  どうやらそのようなのだ。

 成程、運が無かったという事か。理解はした。


「で、なぜ、俺は喋ることができるのですか?」


 そう、ここからが現在だ。いやまぁ、現在も何も無いのだが。死んだからな。

 ここは何も無い所だ。どこまで続くのか分からないほど先が見えない。真っ白な空間。そして、目の前には若い男?の人がいた。白の服を着ていて如何にも偉い人なんだぞーと思わせる。色白で身長は高く、多分185センチメートルくらいはあるかもしれない。ああ、俺は171,5センチメートルくらいだから平均くらいだろうか?分からん。この人はイケメンな方だが、さて、質問は応えてくれるのだろうか?


「それはだね、君にチャンスを与えようと考えたからだよ」


 と、男?は高い声で答えた。まるで女性だ。今度からはやはり性別不明と表記しよう。

 それにしても、チャンスか。死んだのにチャンスもクソもないと思う。


「君、今ちょっと信じられないと思ってるよね。絶対そうだよね?」


「そりゃあ、まぁいきなり死の宣告はするわ(宣告じゃなくて現実ね)いきなり上から目線だわ(そりゃあ私は神だもん)そんな気安そうな神がいるの?(ここにいるじゃないか)ねぇちょくちょく喋るのやめてくれない?」


  いちいち途中で会話に入る神とかいるの?という質問は初対面の人には失礼なんだからしないとして。

  ……いやまあ、敬語じゃない時点で失礼かもしれないが。


「神にも色々いるんだよ。神と神の見習いと天使とあと」


「あーもういいです。結構です」


  厨二病にしては上出来じゃねぇか。という感想から止めてあげました。因みに神の見習いらしいです。より厨二病感出てますねー(曖昧な所とか)。じゃあここは性別不明→神(仮)と表記をしてあげよう。


「それでさ、君はまだ死ぬには若過ぎるんだよね。折角霊長類なんだからもっとサンプルを貰わないといけないんだよ」


  サンプルというと、進化とかそういうのに参考にするのか?おい、何処の科学者だよ。


「日々精進が必要なんだよー。でもね?若過ぎると逆に参考にならないんだよ」


  つまり、俺はいらない子なのか。そうかそうかーそうなのかー。


「っておい、喧嘩売ってんのか?」


「うーん、やはり経験が浅いなぁ。すぐ怒るなあ。頭はいい方だけどなぁ」


「やっぱ喧嘩売ってんだろそうなんだろ」


  頭は悪い筈だぞ。……威張って「俺は賢い」なんて言ったが、成績表では1と2のオンパレードだ。嘘をついて悪いな。

 と陰鬱な気持ちになり、それに対して神(仮)は、はぁーと溜息をついてから、真面目そうな顔になり、こちらに真剣に尋ねてきた。


「チャンスを与えようという言葉は本当だよ。天界に行っても退屈なんだから、どうせなら生き返らせてあげようと言う魂胆なんだ」


「はあ。そうですか。在り来りですね」


  まぁ、元の世界には行きたくないが。あんな世界、生きているだけで退屈なのに、しかも運が悪いからまた同じように死にそうだしね。


「選択肢は2つ」


  ん?2つって何だ?……まさか!?


「一つはステータスを更新、つまり運を上げたりする事だね。二つ目は異世界に行くこと。違う宇宙とかそういうのではなくて、本当に異世界に行くということだよ。但し、ステータスはそのままでね」


「本当ですか!?」


  ところでステータスってなんです?という質問は置いておこう。もう少しこの厨二病とお話がしたい。設定が凝ってる感があるぞ。


「ああ、一つ目はまた雷に打たれても困るからで、二つ目は異世界に魔法があるから、まあ死なないんじゃないかなーと思って。まぁ、そのままがいいって言うのなら良いけども」


「……死なないんじゃないかなー、って軽くないですか?」


「ん?何か問題でも?」


「いえいえ、とんでもありません。そっかー異世界か、チートかー……」


  あの世界も悪くは無かったが、もう発展されていたし、そもそも楽しくなかったから別にいいか。本当にあるのなら行ってみたいしね。


「異世界に行きたいです!どんな所ですか?」


「君たちが描いてる様なところだよ。中世、だっけ?そんな風景だし、ドラゴンとかもいるね。因みに私もご同行するつもりだよ?」


「え、何で……ですか?」


 そこも在り来りなのは良いが、俺の場合は1人で勝手にやっていくタイプだと思う。……いや、頼る人は欲しいな。


「勝手がわからないと困るだろうし、何よりも行きたいし」


  あー、つまりサボりに行くというわけか。


「って働けよ!?」


  というと、神(仮)は頭をボリボリとかいて、

 

「やだよー。神になると仕事多くなるだろうし」


  ……と、如何にもニートな発言をしだした。……ヤバい、近くに神がいたら絶対告げ口してやりたい。口調も悪くなったし、これだからニートは……。


「あのー、そこはもういいんで、早く異世界に行きましょう、ね?」


「分かった。それじゃあすぐに行こうか」


  そう言うとニッコリと笑ってなんか唱え始めた。厨二病だなー。しかしまだ信用出来ないから、怪しいところに連れていかれるのもなんだし、そろそろ帰らしてもらおうかなー?

  その前に一つ、更にどうでもいいことを聞こうか。


「ところで、異世界に行く時に何も持っていけないんですか?」


「ん?ていうと……?」


  少し、投げやりな返事が返ってきた。うーん、集中しているっぽいから、ここは我慢しよう。


「いやだって、なんかよくあるじゃないですか?」


「ん?なにが?」


「最強の武器〜だとか、最強の能力〜だとか」


  というと、あーそういう事かー、という様な納得した顔をした。因みに口数が少ないのは何かを唱えているからだと思う。


「そんな物はないよ?」


「はあ、なぜです?」


  と聞くと、神(仮)は、


「普通、アイテムとか持っていけないでしょ?生まれる時とか皆は何も持ってないのになんで君だけ特別扱いする必要があるの?」


  えー。それここで言っちゃう?生き返らせるのって結構特別扱いだよね?ねぇーねぇー違うの?

  ……とも言わない。なぜならそう、


「じゃあもう飽きたんで、帰らせて下さい」


  そう、これがごっこ遊びだと思っているからだ。妄想に乗ってやったのに、これじゃあ仕方が無い。帰るとしよう。

  というと、神(仮)は突然焦りだした。


「えっ!そんなあ、もう完成させたんだけど!?」


「えっ?何を?」


「ゲートだよ、ゲート!……だったら、それ、早く言ってよ!」


  と言ったところで、光が俺達を包んだ。

  ……これはスポットライトかな?眩し過ぎて、ちょっと何も見えませんね。……てか、眩し過ぎて失明するのでは!?


「ちょっ、失明したらどうするんだよ!」


「ええっ!?もう死んだって言ったばかりじゃないか!」


  あの高い声の、驚いた声が聞こえる。というか死んだ死んだって、なんか酷い言い方だな。

  突然、地面の感触を足が思い出したのか、大地の感触を感じた。徐々に重力を感じたと思うと、視界がハッキリしていく。

  ……目の前には神(仮)と、沢山の人がいた。

  よく見ると、服はなんかデザインが古い。町がどこか洋風だ。まるで、異世界に来たかのような……って、なんてな。


「えっ?うそ、マジで!?ここはマジでヨーロッパ!?」


「待って、なんでまだ信じてくれないの!?」


 冗談ですよ、と言ってから再び考える。みんな日本語を話している。ここは日本か異世界かと考えていいだろうか。

 どうでもいいけどこの神(仮)は、なんか本当に異世界召喚してくれたみたいだ。……というか、そう信じたい。拉致られたみたいな感じなら絶望しかない。


「状況は掴めたから、まずは何をすればいいんです?」


「その前に、まず君は何になりたいのかが重要なんだ。……というか帰りたいんじゃあないかい?」


 帰りたくないということを伝え、思案する。

 異世界といえば自由気ままだから、メジャーな仕事である冒険者にでもなろうか?


「……冒険者になりたいですね!どうやったらなれますか?」


  すると、神(仮)は微笑みながら言った。


「ははっ、君には負担が大きすぎるんじゃないかな?」


「へ?なぜですか?」


 疑問に思い、そう尋ねると神(仮)は少し困った表情を見せたが、すぐに説明だけははっきりと分かりやすく言った。


「冒険職は一番致死率が高く、割に合わない冒険を強いられることもあるんだ。それなりの名誉があれば、大金はすぐに手に入れられるけど、君は身元不明者だ。つまりコネがない。それよりかは金すらもない。だから怪しいし、名誉も貰いにくい。分かったかい?」


「お金……そうですお金ですよ!お金が無いとどうなるんです?ここは物々交換じゃないんですよね?」


 そう言うと、神(仮)は呆れた様子で溜息を着く。あれ?なんか間違えた?


「……そうだね。身元不明者で、お金もないんじゃ、怪しくて誰も雇えないんだよ。普通ならここで皿洗いか土木工事かをしてお金を蓄えるけど、この私がいるんだ。問題ないはずだよ」


 この私がいる?どういう意味だ?……はっ!そうか、ここで神秘的な事で人々を洗脳して怪しくないオーラ出させるのか(悪い考え)。それともお金を作ってくれるのか?(悪い考え)

 ……悪い考えしか頭に思い浮かばないのは、許してくれ。俺だって人間なんだ。悪い人間ではないと思ってたのだがなぁ。

  などと思っていると、神(仮)は自信満々に言った。


「今までは非合法的に来ていたものだけど、ギルドとは顔合わせなんだよ」


 うわっ、何回かサボりに来てんのかよ。なんて大胆な!?違う神様にいつか告げ口しよう。


「まぁ勿論、その度に天界に強制送還されるんだけどね。なんでバレるんだろうなぁ」


  既にご存知であったようだ。もしかしたら馬鹿なのでは?という言葉は、話が進まない気がするので割愛しておく。大丈夫なのだろうな。信用出来る気があまりしない。


「不審者扱いはされなくなっているはずだから、君はすぐにでもギルドに入れるはず。もう一度聞くよ、割に合わない仕事が待っているかもしれない。いや、君の場合は運がないから確実だ。それでもやるかい?」


「1度死んでいるのです。この人生は有り得ないもしもの話なのです。ここで楽しまないと、いつ楽しむのですか」


  そう言うと神(仮)は、君の場合はそうだったね、といいながら微笑んでくれた。


「じゃあ決まりだ。今度は生き返らせないからね?」


「当然じゃないですか。生き返るってわかったらこの人生堕落しますよ、絶対」


 と言う訳で、早速ギルドに行くことにした。

 ……道中、冒険者とは何かを聞きながら。

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