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その心地よい空間が、俺は愛おしいと思う【異質な彼と冷たい彼女の話】

シィクside

 「シィク」

 恋人であるリサ・エブレサックの声が、俺の耳に届く。

 優しくて、甘い声。その声を聞くたびに、俺はどうしようもなく幸せを感じる。

 リサの、俺を呼ぶ声がどうしようもなく好きだ。リサは人気者で、沢山の人たちに囲まれていて、俺は嫉妬しそうにいつもある。リサが俺のことをずっと見ててほしい。他のものなんて映さないでほしい。俺だけを、見ていてほしい。ずっとずっと。

 暴走しそうになる気持ちはあるけれども、俺はリサの声を聞くたびに穏やかな気持ちになる。リサが優しく声をかけてくれるから、俺は正気を保てて。

 「リサ」

 リサの名前を俺が呼べば、リサは笑ってくれて。その、他の人には全然向けないような年相応の笑顔を、俺にだけ向けてくれることが嬉しくて。心地よくて。

 「どうしたの、シィク」

 リサは俺のすぐそばまま近づいてきて、問いかける。

 「好きだよ、リサ」

 「もう……な、何、急に」

 心の中でリサが好きだという気持ちが沸いてきて、思わず口から出た言葉に、リサは顔を赤くした。普段はこんな風に取り乱したりなんか絶対にしないリサが、俺の前だけそんな風に取り乱してくれることが本当に嬉しくて。心が温かくなる。

 リサが、俺の言葉に顔を赤くしている。

 リサが、俺のことを好いていてくれている。

 「本心だよ。リサは?」

 「……私も、愛しているわ、シィク」

 好きといった俺に、愛しているとリサは返してくれた。愛しているとそんな風にやさしい笑顔で言われて。俺まで顔が赤くなりそうになる。

 「リサっ!」

 嬉しなってリサの体を引き寄せてしまった。リサの匂いがする。リサの熱くなった身体の熱を感じる。リサは驚いたような反応をして、だけど、俺を抱きしめ返してくれる。

 「リサ、可愛い」

 「……そう?」

 「うん、可愛い」

 可愛い。リサが、凄く可愛い。可愛くて仕方がなくて、口づけしたくなって口づけしてしまった。まだ学生だし、結婚もしていないからそれ以上のことは我慢している。早くリサと結婚したい。

 口づけを落とせば、彼女は恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑ってくれるのだ。

 


 リサから身体を離す。



 「俺、リサと早く結婚したい……」

 「ええ、私も」

 俺が結婚したいといったら、リサはそう返してくれる。

 「リサのこと、目に留めるのが俺だけだったらいいのに」

 「ふふ、それは困るわ」

 リサは、俺が何をいっても、独占欲を露にしても笑みを何時だって零している。

 「心配しなくていいのよ、シィク。私は……シィクだけのことが好きだもの」

 知っている。彼女が俺以外をどうでもいいと思っていることも。彼女が冷たい人間であることも。誰にでも優しいといわれる彼女が、リサが———俺の事だけを特別だと思ってくれていること。感じていること。それが、心地よい。

 「私は、ずっと、ずっと……シィクの側にいるわ。私が、唯一願っていることがそれだもの。絶対に、貴方の手を離すことだけはしないわ」

 リサはそういって続けてくれた。俺の側にずっといると、俺の手を離すことはないと。リサはいつも、俺が独占欲を露にすると安心させるように微笑んでくれる。

 リサは人気者で。ミルガントのようにリサのためなら何でもするようなもの達が大勢いる。ミルガントはリサの本質を知った上で、リサのことを好いている。リサのことを誰よりも理解しているといった態度は正直もやもやする時もある。だけど、ミルガントが動いているからこそ俺とリサの付き合いが平穏であることも分かっている。そんなミルガントは、リサの願っている俺と共に生きることを全力でかなえようとするだろう。

 リサがリサだからこそ、そんな未来が先にあるだろう。

 リサがリサだからこそ、俺はこうして幸せを感じられる。リサが、リサだからこそ、俺はくるわずにいられるのだ。

 「俺も———リサのことはずっと手放せない」

 「ええ。手放さないでね」

 にっこりと笑ったリサに、俺は頷くのだった。






久しぶりに書いた二人なのでちょっと書きにくかったですが、どうでしょうか。


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