7 夏
夏の日差しの跳ね返りを受けながら甘ったるいジュースを飲む。
至福のひと時だ。
自分の体に鞭をうち、飴を目には見えない、けれど手の届くところに置くだけで何もかも出来るような気分がしてくる。懐かしい感覚だ。いや、それにしても暑い。
「そらみろ。やればできるじゃないか」
自分の言葉が心地よく響く。ぜんぜんむなしくない。今までのネガティブな感情が隅っこの方から出てこなくなっちまった。無意識に頬が緩んでくる。顔は真っ赤で触れるとやけどしそうだ。汗で張り付きパラパラになった髪の毛は扇風機の風を受けて急速に冷えていく。ひざはほどよく痺れ、痛みさえも快感に変わる。
こんなに走ったのはずいぶんと久しぶりだった。誰もかれもが休日だとしって、おまけに子供らのはしゃぐ声につられてしまった。用事もなく家の外に出ることなんてあっけないことだ。ほんの熱に浮かされればそれでいい。そして、その結果自分は今とても満足していた。
「あー、でもしんど。もうこんな機会はめったに訪れないだろーな」
ぜーはーいう息がようやく落ち着きはじめたのをきっかけに自分は文句をたれていく。
「てゆーか、ばかかよ。こんな年で、鬼ごっことか。ハアッ、暇人どもめ」
まるでそっくりそのまま子供の頃に戻ったようだった。メンバーも変わらず、ただ家が近いというだけで遊んでいた関係だったのに。
ただ自分の顔を覚えていてくれたことだけで、涙が出そうになった。
「くそったれっ、リア充どもめ!」
ジュースの残りの流し込んで、自分は精一杯笑ってみせた。