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子拐いラルク

「ふん、ふふ~ん、ふん」

 酔っ払いの男、ラルクは私を依頼を受けた森へと連れてきた。

 そして私は仕方なくラルクの後を付いて行く形で同行していた。

 気付いた事は彼がすごく強いということ。鼻歌を歌いながら遭遇する動物や魔物を簡単に腰の剣で仕留めて行く。

 時折立ち止まり地面や木の幹を調べたりするがそれは足跡や食事の痕跡を調べるためでそれを惜しげもなく教えてくれる。

 それは森での歩き方も同じで、森に入った瞬間から怒られた。ガサガサと音を鳴らしながら歩くので相手がすぐに逃げると言われたのだ。

 信用は出来ないが腕と経験は確かというのは嫌でも理解した。


「俺だけ相手すんのもあれだからそろそろ嬢ちゃんの方に誘い込むから仕留めろよ」

暫くするといきなりそう告げられてすぐさま近くの茂みから兎が飛び出してきた。

私は咄嗟に水弾の魔法を展開して兎に放ったが簡単に避けられ私の股の間を走り去って行った。

「逃がすな、それに兎相手に魔法を放ってどうする。腰に着けてる刃物は飾りなのか?違うだろ。相手の命を刈り取るための”武器”だ」

その言葉に私は打ちふしがれた。

「……今日はここまでにして森の入り口まで戻るぞ」

「えっ、でも」

 馬車で移動し数時間森で狩りをしたとは言えまだ日は高くなぜ戻るのか疑問だった。

「もうすぐ雨が降る。そうなると視界が利かなくなるからな、嬢ちゃんを守れねぇ」

「大丈夫よそんなの」

「兎すらまともに仕留められないのに生意気抜かすんじゃねぇ」

 その声と目は真剣で私は何も言えなくなった。

「いいか覚えておけよ、根拠のねぇ自信で突っ込むのは馬鹿のすることだ。それは勇敢じゃなく愚鈍、蛮勇って言うんだ」

「はい、ごめんなさい」

 私はラルクさんが仕留めた兎2羽を持ちラルクさんは仕留めた牡鹿を一人で持って移動した。

 馬車のところに来て空を見上げると分厚い雲がこちらに流れてきていた。


 …私は馬車に揺られながら町へと戻ってきたはずだ。

 はず、と曖昧なのは途中で寝てしまったからだ。目が覚めると知らない場所だったがベッドに寝かされていて荷物もベッド脇に置かれていた。

 部屋の窓から外を見ると夕時の街の景色がそこにあったがどこの街かはわからなかった。

「ここ、どこだろぉ」

 一気に不安がこみ上げてくるが体はどこも異常は無い、荷物はある。今は行動する時だった。

 部屋の扉には鍵はかかっていなかった。だけど慎重に扉を開けて辺りを確認する。

「誰も居ないわね」

 そ~っと音を立てないように忍び足で建物の中を進む。

 暫くすると右手の部屋からいい匂いがしてきた。耳を澄ませば包丁の音が聞こえる。ばれない様に近づき中を見るとやはりそこは台所で一人の女性が慌ただしく料理を作っていた。

 いったん戻り別の場所を探す。

 すると今度は聞き覚えのある音が聞こえてきた。

 そこは学院のものと比べると遥かに小さいのだが間違いなく道場だった。そこで男二人が木刀片手に打ち合っていた。一人はラルクさんで相手は知らない。そしてその試合を見つめる人が3人。壁際に正座して座っている。

 その内2人は大人で面識は無い。もう1人は子供だったんだけど。

「えっとあれって」

その子供には見覚えがあったのだ。

「おや、目が覚めてたのかい」

「ふぁい!」

「そんなに驚かなくてもいいだろうに」

 後ろから声をかけてきたのは先ほどまで台所に居た女性だった。その人は苦笑を浮かべ道場の中に入っていった。

「アンタ、晩飯が出来たよ。さっさと終わらせな」

「あいよ、母ちゃん。つう事で決めさせてもらうぜ」

「望むところです」

 そして決着が付いた。勝ったのはラルクさんでした。

「「ありがとうございました」」

 壁際に居た3人もラルクさんに向けてお辞儀をしていた。

「みんなさっさと片付けて着替えてきな。で、あんたはその荷物を部屋に置いてこようか」

「え、え~と、はい」

 流されるように私は寝ていた部屋に戻って荷物を置いて来ていた。

で、やはり道場にいた子はEクラスのジルだった。彼は私に気がついて「久しぶり」とだけ言って席に着いた。

「この子はリーナちゃん。家の旦那がまた連れてきた子でジル君の知り合いです。可愛い娘が出来たと思って仲良くしてあげてね。じゃ、乾杯」


何、何が起こってるの?

「リーナちゃん、大丈夫すぐ慣れるよ。と言うより慣れないとやってられないし」

 唖然とする私にジル君が話しかけてきてくれた。慣れない場所で見知った顔があるだけですごく安心する。

「リーナちゃんはラルクさんはわかるよね?で、あの人がラルクさんの奥さんでマイアーズさん。それで今日来ている3人は兵士なんだって」

「兵士?」

「そ、非番で予定が無いからラルクさんの所に来たんだって。でもラルクさん出かけてて代わりに僕があの人たちに揉まれたよ。コテンパンだ」

「そうなんだ」

「リーナちゃんもここで住み込みで稽古つけてもらうんだろ?お互いがんばろうね」

今さらっと聞き捨てなら無いことを聞いた。

「住み込み?」

「?もしかしてまだ聞いてないのかな。ラルクさんは子拐いラルクっていう名で学院の優秀、もしくはおちこぼれの子を無理やりここにつれてきて鍛え上げる事で有名なんだよ。しかもその事で学院が文句を言うことは無い」

 その後ジル君にラルクさんの事をいろいろ聞いた。

今まで彼が目をかけて鍛えた人のその後やその手腕について。

で、ラルクさんて外見が40代に見えるけど実際はもう63歳だと言うのは驚いた。

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