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地下室

「ふぁ~あぁぁ」


 いつの間にか寝ていたみたいだ。


 周りは暗くて何も見えない。


 仕方ないので手探りで壁を触り削られている場所を見つけそこに魔力を流す。


 すると魔法陣の姿が浮かび上がり淡い光を放つ、光に目を慣らし思いっきり体を伸ばしてから階段を上った。


 チュンチュンと鳥のさえずりが聞こえる気持ちのいい朝だ。


 師匠であるアイラさんはいつものようにソファーで毛布にくるまって寝ていた。床に酒瓶が転がっているのはご愛嬌かな?



 俺は洗面所に行って顔を洗い、暖炉に牧を入れ火を起こして朝食の準備に入った。


「んん~」


 ソファーで寝ていた師匠がゴソゴソと動き出した。


「おはようございます」


「おは、よう」


 俺はいつものように水と常備してある黒い丸薬を2つ無言で差し出した。


「は~、二日酔いにはやっぱりこれが効くわぁ、苦いけど」


「俺ここに来て1年経ちますけどそのセリフ何度も聞きましたよ?そう思うのなら少しは自重してくださいよ」


「餓鬼のくせに生意気よ、それにお酒のない生活なんて地獄よ」


「医者の不養生ってこういう事なんですね」


「酒は百薬の長よ?何も問題はないわ」


「はぁぁ」

 

 もう何を言っても無駄だと諦めて朝食の準備に戻る。


 朝食のメニューはパンとハムエッグ、野菜をちぎっただけの簡単なサラダと俺は牛乳、師匠はコーヒーだ。


「早いもんだねぇ、もうあんたがここに来て1年が経つなんて」


「………そうですね」


「体はまだまだ子供だけどね。この1年で随分陰の魔術を覚えたもんだよ」


「先人の遺産に感謝です」


 この家に来て次の日に地下に入った俺は目の前に広がる光景に唖然としたのを忘れない。


 大人が余裕で立てる深さで掘られた地下室、そこに収められていたのは膨大な量の陰と陽の魔術の研究資料。


 その資料を守るためこの地下室には火を使うロウソクやカンテラが持ち込み不可、その代わり壁に照明の魔法陣が至る所に彫られている。


 照明の魔法陣はろうそくやカンテラで代用できるから思いっきり忘れ去られたもののはずなのにここの照明の魔法陣なんて俺の様な子供の両手で作る円とほぼ同じ大きさで必要最低限の要素だけを取り込み、ごく少量の魔力で作動するようにと叡智が詰め込まれたものだった。


 正直ここまで凝るようなものだろうかと思ったが照明の魔術は陽の魔術に多岐に応用が利くためここまで発展したのだとあとから聞いた。


 俺は地下に収められた研究資料を読み漁り陰の魔術を覚えた。

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