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旅立ち

帰郷し滞在できる日数はそれほど多くはない。

日を追うごとに寒くなる気温に体を震わせ俺はリーナと一緒に再び学院に戻った。


学院に帰ってくると俺は俄然忙しくなった。

帰郷している間に先方からの返事と帝都からの命令が届いていたのだ。

まず先方からの返事はOKとのことだった。

その返事を受けた帝都は慣例通り俺に奨学金として金貨10枚を寄越し、俺が向かうスノーバレーまでの通行許可書と発行してくれた。

あとは荷物をまとめて出発するだけの状態だった。


そして今宵、俺を送る送別会が開かれる。

参加するのは俺と同じ1年生だけだが皆普段より着飾っていた。

会場である広い食堂の机の上には既に色とり取りの食事が並べられ、壁や天井に装飾がかけられていた。

俺は普段通りクラスのみんなと喋り合い送別会の開始を待った。


学院長が入ってきた。

学院長が入ってきた瞬間食堂が静かになった。そして学院長が上座に立ち

「遅くなってすまない。それと主役であるトーマスくんは前へ」

学院長に呼ばれ俺は前へ行き学院長の横に並んだ。

「皆もう知っていると思うが横にいるトーマスくんは君たちとは違い四大魔術を使えない。しかし彼は陰の魔術の素質がある。残念ながら当学院では彼と教育する人材が居らず来年からは一人、別の場所で学ぶことが決まった。今宵はその祝いであり、送り出す送別会である。存分に楽しんでください」

続いて俺の挨拶になった。

「え~っと、今日はこんな立派な送別会を開いてくれてありがとうございます。来年からはみんなとは別にスノーバレーで学ぶことになりました。しっかりと学んで来ますので、応援してください」

そして挨拶が終わりジュースが入ったグラスが全員に行き渡ったら乾杯、送別会の開始です。



「スノーバレーってこの時期一面雪景色だろ?大丈夫なのか?」

「馬車で行くからそれほど心配いらない」


「いつ出発するの?」

「3日後に出発」


「金貨10枚貰ったって本当かよ!何に使うんだよそんな大金」

「今のところ使う予定はないよ。もうギルドに預けているし」


「教えてくれる人ってどんな人?男性?女性?」

「俺とは逆の陽の魔術師で女性なことぐらいしか知らないんだ」

と、食事もそこそこに周りを囲まれ質問攻めにあってしまった。

クタクタになり送別会も終わりを告げた。皆ぞろぞろと寮へと帰っていく。

俺も寮へと帰ろうと歩いていたら腕を掴まれ近くの茂みに引き込まれた。

俺の腕を掴んだのはクラスメイトのアッサンで目の前にはリーナがいた。

「じゃ、お邪魔虫は退散します」

「おい!」

そう言ってアッサンはニヤニヤしながら走っていった。

俺とリーナだけが残った。

「送別会の時トーマスが質問攻めにあってて話が出来なかったから彼に協力してもらったの」

なぜかリーナは怒っていた。頬を膨らませてこちらを睨んでくる。

「なによ、北のスノーバレーで綺麗な女性と一つ屋根の下で手とり足とり教えてもらうって!浮気したら絶対に許さないんだから!」

そう言ってリーナの目から一筋の涙が流れいきなり抱きついてきた。

「んん」

そして俺とリーナの唇が重なり合った。

それは長かったのか短かったのかそれはわからない。

「浮気なんかしない」

「私のこと忘れたりなんかしたら殺してやるから」

「そうならないように努力します」

「なら証拠見せてよ」

ということで今度は俺からリーナの唇を奪った。

前世では考えられないことだ。

満足したのかリーナは許してくれた。



そして3日後、俺はサウスガーデンを旅立った。

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