幕間 不幸な少年
俺、フリッツって言います。
帝都に住んでるどこにでもいるような15歳の少年っす。
今自分は不幸のどん底っす。
その日はなぜかいつもより早く目が覚めたっす。
だからその日はいつもより早くギルドに行ったっす。
俺も15歳、成人すから子供みたいに家で遊んでられないす。
だから早速掲示板をチェックしたっす。
するとどうすか、手紙と荷物をスノーバレーに届けるだけで金貨1枚という高収入。
朝早くというのも手伝って自分がその仕事をゲットできたっす。
その時はマジで神様に感謝したっすよ。
けど世の中うまい話ってないんすよね。
この仕事が決まるとギルドの長が俺の肩を持って真剣な声でこう言ったっす。
「いいか、絶対に先方に失礼のないようにな!絶対だぞ!」
と、ものすごい剣幕で念押しされたっす。
それで手紙と荷物を受け取るんすけど…
その場所が帝都で一、二を争う大貴族の館なんすよね。
居心地の悪い思いをしながら応接室で待ってたらその貴族の当主直々の対応だったっす。
この時点で自分の胃は限界に近かったっすね。
上から下まで舐めるような目で観察されて何か言われるかと思ったっすが溜息を付いただけで話を始めたっす。
「仕事の内容はギルドの掲示板と変わらん。この手紙と荷物をスノーバレーにいる人物に届けるだけの簡単な仕事だ。すまんが時間がないので私はこれで失礼する。仕事の説明は使用人が引き継ぎ説明するだろう」
そう言って当主様は退出していったっす。
その後は自分が考えていた予想の斜め上をいっていたっす。
だってこの手紙と荷物にしっかりとこの帝国のシンボルである太陽と獅子のエンブレムがはっきりと付けられていたっす。
このエンブレムが付くってことは国絡みってことっす。
心の中で泣いたっす。
断ることも出来るっすけどその場合違約金が発生して銀貨10枚も払わなくちゃいけないっす。そんな金ないっすよぉ。
しかもっす、道中手紙の内容や荷物の中身を見ることの禁止や依頼を失敗した場合、自分だけでなく親族まで罰を受ける等の規約が書かれた契約書に名前を書いて拇印を押す羽目に…。
もう一回言うっす。俺は泣いたっす、心の中で。
けどそれも今日で終わりっす!
貴族の館で馬を借りられ途中の関所は手紙や荷物のエンブレムを見せればほぼ素通り、しかも替えの馬を借りられるというおまけ付き。
2週間掛かってスノーバレーに着いったっす。
けどここからが辛かったっす。
荷物を渡す人は何故か街の人と関わらない様に谷の近くの山小屋に一人で住んでいるらしくそこへ徒歩で行くことに。
クタクタになったっすがようやく小屋にたどり着いたっす。
入口の扉をノックしてみたっすが中の人が出てこないっす。
何度も何度もドアをノックするとようやく出てきてくれたっす。
綺麗な女性だったっすが…
「何度も何度もしつこいんだよ、金ならないって言ってんだろが!」
そう言ってわけのわからないまま腹を蹴られたっす。
「ち、違うっす。依頼でこの手紙と荷物を届けに来ただけっす」
「あぁん?手紙と荷物ぅ?うへぇ、マジかよジジイどもからの手紙か」
目の前の女性は国からの手紙に動じることなく淡々と読み進めていったっす。
「あぁもう、めんどくさい仕事押し付けられたぁ。おい、あんたちょっと待ってろ、返事書くから。それ持って帝都に帰って伝えろ。了解した」と。
こうして自分の仕事は終わりまた帝都に向けて帰るだけっす。
帰るときに
「この依頼の前金で借りた金返済してまた旨い酒がたらふく飲める。うふふふふ」
聞いてないっす。自分は何も聞いてないっす。
知らぬが華ってその通りだと思うっす。




