帝都の一幕
俺が魔力付与の2段階目に進んだ頃、遠く離れた帝都にある王城にて会議が開かれていた。
「それでは報告を聞こう」
「は!まず、ムー王国ですがこちらに攻める意思はない模様です。どうやら向こうの国民の不満を解消するためのガス抜きの意味合いが強いものかと」
「ふむ、ならムー王国への心配は無くなったか」
「次にエトア共和国ですが内乱は収束に向かっております」
「そうか」
「は!エドガー候爵が新たな旗頭に収まる模様です」
「ですが気になる報告も入っています。南のヴォーゼンです。彼の国はエトアの内乱に乗じて我が帝国に攻め込む算段と考えておりましたがエトアの内乱収束で大義名分がなくなったはず。ですが未だこちらに攻め入る姿勢を崩しておりません」
「ならばこちらもそのまま影による監視と情報の収集を怠るな!ヴォーゼンが攻め入れば南の穀倉地帯一帯が戦場となろう、またあそこには近くに魔導学院があり若き才が育っておる。その芽を摘む狂信者共の暴挙を許すな!」
「ははぁ!」
「王よ、最後にもう一つだけ報告があります」
「ほう?今日の議題は隣国への対応のみと聞いておったがの」
「は!申し訳ございませぬ。先ほど話に出た南の魔導学院の学院長より書状が届きましてございます」
「ではその書状をここへ」
「は!ご覧下さいませ」
「ふむ、なるほどのぉ」
「書状にはなんと?」
「南で陰の素質を持った子供が出たそうじゃ」
「なんと陰の魔術師が!!」
「いや、その子は魔導士とのことじゃ」
魔導士と聞いて会議の場の空気が冷めた。
「いや、魔導士でも陰の素質があるなら我が国にとって強力な戦力となりましょう」
「そうでしょうな」
「いや最も」
「…なら皆の支持が得られたとみてこの少年を書状の要請に沿ってある人物の下に預けようと思う」
「それはやはり、北の…」
「陽の魔術師“癒し手”ですか」
「あの業突張りの強欲女に頭を下げなければならないとは…」
「これは決定事項じゃ、速やかに行動に移れ」
「は!」
続々と会議の場から退出していく貴族たち。
そして王だけが残った。
「ヴォーゼン、あやつが本気でこの国を取ろう考え行動するなら準備にまだあと2、3年は費やすだろう。さすればこの少年は10歳。可愛そうだが我が駒として踊ってもらうかの」
それは帝国を大きく、強大な国にしたまさに覇王の冷徹な呟きだった。




