特訓の合い間 少しの発見
俺は手に持った枝に魔力を流していく。
しかし握っていた場所から先に行くと…
「いつっ」
今日も握った先からポッキリと折れた。
学院長に一応のレクチャーを受けあれから100本の枝が折れたが未だに纏える気配がない。
ささくれで俺の両手は傷だらけになってしまった。
包帯でぐるぐる巻きになった手を見たクラスのみんなやリーナは俺がやっていることに興味津々だが全く実践できないので勘弁してもらおう。
で、3ヶ月目のクラス対抗で俺は一勝した。
Dクラスのやつで開始一発相手の攻撃を避けて魔力瞬動で相手の懐に入って木刀一閃。
呆気なかった。ワルズの訓練をしているからかあんな攻撃がまともに入って相手は回避すらせずに綺麗に決まったのだ。
だが俺が勝ったのは相手が良かっただけ。
リーナと戦って自分の実力の無さに絶望する。
そう、Cクラスの俺の相手はリーナだった。
開始早々俺とリーナは全身魔闘を発動。
俺は魔力瞬動でリーナに近づこうとするがリーナは逆に魔力瞬動で距離を取って水の魔弾を飛ばしてくる。
瞬動を邪魔されたり躱しきれなかった水弾が体にぶつかる。
水だからダメージはほとんどないのだが当たり所が悪ければ体を持っていかれる。
ジリ貧だった。
時間切れまでリングの上にはいられたが当然判定負け。
俺には決め手になる武器がない。
試合の後の反省会でも俺の一勝は運が良かっただけだとはっきりと言われた。
さぁ、今日は何本枝を折るのだろうか…
って、別に枝を折る練習ではないんだが現状ではそう言わざるおえない。
「はぁ」
今日も一向にできる気配がない。
折れた枝をいつものように森の一角に積み上げる。
「では帰りますか」
「はい」
足が重い。
帰りはいつも魔力がギリギリだ。魔力瞬動も魔力がなければ発動できないのでいつも帰りは怖い。
「?」
今一瞬いつもと違う感じがした。
いつも瞬動に使う魔力は足首まで覆っているのだがさっきは魔力切れで足の裏だけだった。
けどソレでもいつもと同じ速さで移動できた。
しかもそれが苦じゃない。
無事に学院に戻ってきて夕食を取り、寮に戻るだけなのだが今日は帰ってくる時に体験した瞬動を忘れない内に練習したかった。
先生にバレれば罰則だが知ったことか。
建物の影を利用してグラウンドの端、寮や学院の建物から見えない一角に潜り込む。
バレないために速攻でやって速攻でもどる。
意識して足裏にだけに魔力を溜めてそれを維持して、瞬動発動。
「うん、問題ない」
そのまま一歩、二歩と続けてみる。
「うん、これも問題ない」
結果に満足して寮に帰ろうとして近くに誰かがいることに気づく。
暗闇に紛れて近づいてきたのは…
ワルズだった。
俺は反射的に回れ右をして全力で逃げた。
「なんで逃げた?うん?」
全力で逃げたのに十数メートルで肩を掴まれた。俺は震えていた。
「今が何時か分かってるよな?」
「はい」
「寮にいなけりゃいけないのもこれが寮規違反なのも知ってるな?」
「はい」
俯いてワルズの説教をただただ耐えるしかない。
「来い!」
連れて行かれたのは生徒指導室。
違反の内容を書き自分の名前を記入する。
「秘密の特訓もいいが罰則は罰則だからな」
そう言って俺は罰を受けた。
尻叩き1発。ワルズのでかい手で容赦なく打たれて真っ赤な手形がくっきりと刻まれた。




