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個人レッスン

「それで、これからどうするの?」


「どうするって言われても、わかんない。返事が来るのは半年後だし親が来ての説明もそのあとになるだろ?そうすると先に学院の休みで一度村に帰ることになるから…」


「そっか…」

そのあとの言葉が続かない。

静かな沈黙だけが流れる。


「取り敢えずクラス対抗で一勝することが一応の目標かな」

俺が森羅万象に嫌われし者だというのはこの学院中にあっという間に知れ渡った。そして俺が北の土地に学びに行くまで陰の魔術は学べないということも同時に知れ渡った。

つまり俺は他のクラスの奴らからカモ扱いになった。

それは俺にとって我慢ならないことだった。


しかし俺は魔導士だ。魔術が使えない状態で勝つ手段が思いつかない。このままじゃ同じクラスのやつらにすら勝てないかもしれない。


しかしそんな沈んだ気持ちになった俺に手を差し伸べたのはなんと学院長だった。

「魔術が使えるだけが強さではない事をあなたに教えてあげましょう」

学院長による個人レッスンが行われることになりました。

「では行きましょうか」

「えっと、どこにですか?」

「ここから5キロ先にあるマルタ山の麓にある岩場までですね」

「馬に乗ってですか?俺まだ馬に乗れません」

「いえいえ、走ってですよ。トーマスくんは魔導瞬動が出来るんですから問題ないでしょう?」

何を言っているんだと思った。

「これから毎日片道5キロを走ってその岩場で訓練してまた走って戻って来るってことですか?」

「はい、そうです。私の都合が悪い時は代理の先生が付きますがトーマスくんの監視はきっちり行いますので何も心配はいりませんよ」


どうやら学院長はかなりのスパルタンらしい。

『俺、死ぬかもしんない』

心の中で涙を流し俺は学院長に手を引かれ学院の入口へ向かった。

リーナが頑張ってねと手を振った姿が忘れられない。





「はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ」

息も絶え絶えで岩場に到着した。

「だらしないですね」

そう言って隣に立つ学院長は涼しい顔をして立っていた。

汗も欠かず息も切らしていない。道中俺と同じ早さ、同じ距離を走っているのにも関わらずだ。

ワルズに鍛えてもらって前世の14の時の自分より体力はある。

子供とか大人だとかの問題ではないはずだ。


「そろそろいいですか?」

「はい」

ようやく息が整い学院長の方を向く。

「これから私がすることをよく見ていてくださいね」

そう言って学院長は森に落ちていた木の枝を拾い一本の棒に整えた。

そして岩場にある巨石と向き合う。


「はぁぁ…」

一閃、真上から岩を切りつけた。

普通なら木の枝で岩など切れるはずがない。

だが目の前で岩が真っ二つに切れた。

「これが今からあなたに教える“魔力付与”です」

そう言って手に持つ木の枝には魔力が纏っていた。

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