武道館
上級生にいきなり話かけられ慌ててその場を立ち去った俺たちは今度は武道館に来ていた。
魔導士の先輩が自主連していることが多いので見学するだけでもいい経験になると先生から言われていたのだ。
その武道館へと続く廊下の両端に数人の上級生が座禅を組んでいた。
後ろから来た上級生が
「今日も早いな」「お前が遅いだけだろ…」
そんな遣り取りをしてさっさと隣りに腰を下ろして坐禅に参加するし、その人たちを横目に武道館の中に入っていく人もいる。
リーナの手を繋ぎ緊張しながらも勇気を出して中に入った。
武道館の中は熱気に包まれていた。
中を半分に分けて武道と剣道に励んでいた。
男女入り乱れて組手をしたり試合をするということはしていなかったが大声を出して型をさらっていたり、木刀で素振りをしたりと迫力が桁違いだ。
「あなたたち見学?」
入口で立っていたら一人のお姉さんが話しかけてきた。
「はい」
「ならこっち、そこだと邪魔になるから」
そう言って示された場所には俺ら以外にも1年生の姿があった。
しばらくすると同じクラスのエリナとビアンカ、ジルとアッサンがそれぞれやってきた。
皆にリーナを紹介して静かに見学をしていた。
「「おはようございます!!」」
一人の男性の出現で中の空気が変わった。
俺たちの実技の教師であるワルズだった。
ワルズは隅で見学している俺達に気付きニヤリと笑った。
俺は何故か背筋が冷たくなったがリーナと一緒のため一人で出ていくことはできない。
ワルズは上級生の男女二人と何やら話していた。
前世の短い経験からこのパターンは見学に来ていた俺らも参加する流れかと予想する。
そしてその予想は見事に当たり、『当たってもちっとも嬉しくはないが』上級生と二人一組のペアになってストレッチを入念にしている。
そしてストレッチが終わり空手の練習が始まる。
といっても延々と突きと蹴りを繰り返すだけなのだが1時間もすると汗が流ればてる。
終了の号令がかかり見学も同時に終わる。併設されているシャワー室で汗を流すのは最高だった。
ただ疲れたから図書室に行くのは明日にすることにしてEクラス5人とリーナを合わせた6人で昼食を取りこの一週間のことを話し合った。