休日の過ごし方
「はい、皆さん疲れている様子ですが先生の言うことちゃんと聞いてくださいね」
授業が始まって5日。明日が初めての休日になる。
学校は週5日、月曜から金曜までで土日が休みなのは前の世界と変わらない。
だから休日について注意事項の説明が行われていた。
「明日があなたたちにとって学院生活初の休日になります。上級生は休日に近くの魔窟に出かけますがあなたたちの実力では許可が下りません。もし無許可で魔窟に行ったことが発覚した場合、厳罰に処されます。いいですか?」
「はい!」
この1週間でこの身に刻み込まれた規律という名の鞭。
「このまま授業を続ければ3ヶ月後にはFランクの魔窟進入許可が出るはずです。そして卒業までには最低Dランクの魔窟侵入許可を取れるように頑張りましょう」
魔物が出る場所を魔窟といいそこに出没する魔物のレベルに合わせたランクがつけられている。A~FまであるがAランクの魔窟の中にS級の魔物が生息している場所が存在するそうでそのほとんどが竜種となっている。
絶対に近づきたくないものだがこの後の人生においてこのS級魔竜と遭遇することになるのだが、それはまだまだ遠い未来の話。
話が逸れたが魔窟に行くことが出来ない俺たちはどうするかというと、休養、自習、自己連となる。
まぁ、俺は久しぶりにリーナと合ってゆっくり休む予定になっている。
その中には学院見学も含まれてはいるのだ。
この1週間、寮と教室、そして実習で使うグラウンドしか見れていない。
見る体力がなかったというのもあるが…
翌、土曜日。
待ち合わせ場所でリーナと合流し学院内の探索をはじめる。
といっても回るのは3箇所で武道館・図書館・射的場なのだが…
射的場はすぐにわかった。
というか試験の時に魔法を飛ばすように言われた場所がそれだった。
今そこでは魔法の乱舞が起きていた。
手前の人は今の俺たちのように普通の魔力を的に向けて飛ばしているがその動作が早いし狙いも正確だ。
そして奥の人たちはゲームのキャラよろしく火の玉を飛ばしたり、水のたまを飛ばしたりあるいは地面の砂を魔力で固め石礫にして飛ばしたりと多彩で、俺とリーナは呆気に取られていた。
「君たちも練習するのかな?」
後ろから声をかけられて俺たちは飛び上がった。
「ごめん、ごめん驚かす気はなかったんだ。君たち新入生だね、自主連?」
慌ててブンブンと首を振る。俺は魔力を飛ばせない魔導士だしリーナもあれを見た後ではそんな勇気はない。慌てて立ち去った。