入学試験
サウスガーデン魔法学院の門を続々とくぐって行く子供達。
「新入生はこちらです。二列に並んで試験を受けてください」
先生と上級生の数人が新入生を誘導していく。
「試験があるなんて聞いてないぞ。成績が悪かったら入れないとか?」
「そんな話は聞いたことがないけど…」
入っていきなり不安が襲う。
「これはクラス分けの試験です。安心して受けてください」
「試験が終わったら入学の式典会場に移動してください」
列が進んでいくと上級生が大声で叫んで教えてくれた。
これを聞き安心して試験に望むことができる。
そして列は進み、ようやく自分の番が来た。
「それではこの水晶に思いっきり魔力を流してください」
その水晶は適性検査の時のものと同じ性質の物だが大きさは5倍ほどでかい。
当然それに見合った量を流せなければほとんど変化が起きない。
実際、前に並んでいた数人は水晶を録に光らすことが出来ず項垂れていた。
で、俺はと言うと眩い程の光を出すことに成功する。
隣のリーナも同様で記録を付ける先生が満足げに頷き用紙にチェックをしていく。
「では次の試験会場に移動してください」
「こっちです。この道をまっすぐ行けば案内板があります。同じように並んで受けてください」
そして次の試験なんだが野球のブルペンのような場所だった。
5人が横一列に並び10m離れた的に魔力を込めた球を投げていくのだ。
初めてなのでやり方を教わるがまず手に魔力を溜め、球状になるように維持、腕をふり魔力を体から切り離す。
先生は簡単に言うが目の前ではなかなか一発で成功している子はいない。
だがこの試験は一発勝負ではないようで3回程トライできる。
すると大体3回目には的に届かずとも魔力を投げ飛ばすことが出来る奴がほとんどだった。
そして俺の番、なんだがやばい。
もう2回やって全く魔力が体から離れる気配がしない。
そして最後の3回目、これまで以上に魔力を貯める。そして勢いよく腕を振る。その動きに合わせて魔力が伸びる、これを切り離せばいいのだがそれができない。
『失敗するのは嫌だ』
そう思ってさらに魔力を流し込む。すると魔力はそのまま伸びていき魔力の槍が的に向けてグングン進んでいく。
しかし8m付近で力尽きた。そんな俺を周りはポカーンと見ていた。
それはそうだろう、魔力を飛ばせと言われたのに全くできず、逆に切りはずすどころか伸びる始末。しかもそれすら失敗しているのだ、笑い者も当然だ。
だが周りの反応は違った。
「すげー、魔法の槍だ」
「もう少しで的に届いてたのに~」
「ふん、どんだけ魔力の無駄遣いしてるんだか。この距離なら魔力を投げる方が良いに決まっているのに…」
一部批判的な声はあるものの俺のことを周りの奴らは褒めまくる。
しかし試験を監督する先生は冷静に用紙にバツ印を書き込んだ。