不幸の後の幸運
最近練習がまったく進んでない。
まぁそれもそのはず俺は今ベットの上で絶対安静の状態なのだよ。
原因というと自業自得というか慢心というか…
両足に魔力をまとった高速移動を俺は親に隠さなかった。
そして訪れるお手伝いという名の宅配便の数々。
そして俺は逃げ出したのだ。
この宅配便のおかげで近距離の移動はすっかり慣れた。
久しぶりに大量の魔力を纏い長距離を跳んだ。
しかし跳んだ方向が間違っていたのだ。
今の俺は走り幅跳びの選手と同じような状態なのだ跳んだ後は慣性に従って着地するのみなのだがその間に障害があると何もできずにぶつかってしまう。
そう俺は間抜けなことに村の大木に自らぶつかり右足を骨折、折れた木片で左足を損傷、全治3ヶ月の大怪我を負ったのである。
手と頭は問題ない。ぶつかる瞬間恐怖から目を閉じ頭の前で手を組んだのは覚えていてぶつかった後自分が無事なのを確認して驚いたのだ。
手と頭が魔力を纏っていてそれで助かったのだと直感で分かるのだがいつどうやって“2ヶ所同時”に出来たのかがわからない。
だがそんな考え事ができたのはそこまでだった。
頭上から落ちてきた枝が俺の左足を貫き血が流れる。
しかし暴れることはできなかった動いた瞬間右足からも強烈な痛みが襲ったからでそこでようやく右足の骨折に気が付いた。
俺は痛みで顔は涙と鼻水まみれ、股間からは黄色い液体がズボンに染みを作る。
真昼間の出来事だったから村の人がすぐに飛んできて治療してくれたけど結構な数の人に見られたから悶絶物の醜態なのだ。しかも治療が終わり母親の手で全裸になったその瞬間無事を聞いたリーナが入ってきて見られたのだよあそこを。悲鳴を上げて出て行ったが俺も悲鳴を上げたいよ。
だからここしばらく見舞いに来るリーナは余所余所しい。
顔を赤らめてこちらと顔を合わせようとしないのだ。
これなら毎日のように見舞いに来ないほうが楽なのだが…
「あ、あのね…。元気になったらまた二人で練習しよ?」
「…そうだな」
「わ、私はどんなトーマスでも…、す、好きだからね」
そう言って思いっきり音を立ててドアを閉めて帰っていった。
『えっと、何?もしかして今の告白?』
突然の告白に真っ白になる頭。
14歳で死んで一度も恋をしなかった少年は、転生し幼馴染で同い年の彼女が出来ました。