うまく出来ない理由はとても簡単な事でした
「私が教えた練習がうまくできませんか」
俺とリーナは教会に来ていた。
「あれからもう一月が経つのに全然うまくできないし魔力は上がってるんだけど…」
「では一度目の前で見せてもらっていいですか?」
「はい」
俺とリーナは神父さんの前で魔力を練り体に纏わせていく。
リーナはへそ上まで俺は首から下の上半身までは纏えるようにはなったがそれを維持するのは困難で5分が限度だった。
「ほ~、すごいですね」
「どこがですか、これだけしか出来てないんですよ?」
「いえ十分すごいですよ。両手だけであそこまで纏えているんですから」
『ん?』
神父さんの言い回しに少し違和感を覚えた。
「両手だけで?」
「ええ、本当なら私に聞きに来るのではなく試行錯誤して気付いて欲しかったですね」
その言葉に俺とリーナは肩身が狭く感じた。
「それに最初から言ってたんですけどね」
「最初から?」
「この新しい練習法を教えた時、私は何と言ったか覚えてますか?」
「えっと確か今度は手だけじゃなく全身に魔力を纏ってそれを維持してくださいだっけ?」
「正確にはこれまでの様に魔力を放出してが付きますね」
「???」
俺とリーナは頭を抱えた。神父さんはニコニコ笑って俺たちが正解にたどり着くのを待っている。
『見落としていることがある。笑って待ってるってことはもうほとんど答えを言ってるんだよな。これまでの様に?両手だけで?』
神父さんが言った言葉の意味がわかった。解ってしまうとなんとも呆気なかった。
「その顔はトーマスは答えが解ったみたいですね」
「嘘、解ったの?教えて、教えて」
「えっとその手以外からも魔力を出せばいいってことですか?」
「はい、正解です」
「え~、そんな事でいいの!」
なんとも簡単な理由だった。しかしこの後の神父さんの講義に釘付けになった。
「人には大量に魔力を放出できる場所が6ヶ所あります。頭、両手の2ヶ所、へそ、そして両足の2ヶ所で計6個。これを6大点穴と言います」
「6大点穴」
「魔力適性はこの点穴の2ヶ所を使いますから簡単にわかるんです。ああ、話が逸れましたね。つまり明日からは他の点穴からも魔力が放出できるように頑張ってください」
「はい、ありがとうございました。神父さん、さようなら」
こうして神父さんから解決方法を聞いた俺たちは早速練習に励むのだった。