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異世界放浪  作者: エイ
第零章 異世界へ
1/1

第二話「森を歩いて」

「あれ? 神社ってこんなのだったっけ?」


 マミが発言すると皆が辺りを見渡す。


「そう言えば……鳥居がなくなってるな」

「え? どういうこと? ナオキ?」

「ほら、さっきまであそこ辺りに赤くて大きいやつがあっただろ?」


 僕はナオキが指を指した所を見る。 ………何もない。


「何もないね……もしかして僕等……迷子になった?」

「え……う、嘘でしょ……?」


 僕等の会話を横で聞いていたミホが震えた声で言う。

 しかし、神社なんかで迷うだろうか?

 答えはノー

 迷うわけがない


「とりあえず先へ進めば、外に出れる筈だよ」


 だから僕達は、ナオキの言葉に従った。





 ナオキがそう言ったあとしばらく歩いたが、景色は森の中から一向に変わる気配を見せなかった。


「私たち……ほんとに迷子になっちゃったの……?」


 険しい表情でマミが言う。


「あの……ナオキさん……どうするんですか……?」


 続けてエアリスがナオキに話しかけた。


「とりあえずここを抜けないと、どうしようもないな。」


 ナオキも困った様子で言う。

 そんな会話をしていた時だった。


「キャーー!!!」

 遠くから、女の子の悲鳴が聞こえた。しかもこの声は…


「シオリの声だ!急げ!」


ナオキが叫んだのを合図に全員が走りだす。今まで歩いていたせいからかきていた足の疲労を忘れて全速力で走った。すると…


「グルルルル……」

「くそ……! 犬の癖に!」

「力也! 危険だ!」

「堀内君! 逃げて!」


リキが犬のような奴と睨み合っていた。タクとシオリもいる。

よく見ると、リキは腕、足を怪我しており、犬のような奴は少しだけ弱っている。恐らく殴りあったのだろう。近づくと、3人はこちらに気付いた。


「っ!! みんな!」


 シオリが驚いた様に叫ぶ。


「こっちに来ちゃ駄目だ!」

「お前等! 逃げろ!」


 タクとリキがこちらに叫び、少し犬から目を逸らしたとき時だった。


「グァァァァーーー!!!」

「なっ!」


 犬がリキに飛びかかった。

 

 駄目だ!間に合わない!


 思わず目を閉じた。しかし、聞こえたのは脳内で想像していたリキの悲鳴ではなく


「キャイーン!」


 犬の悲鳴だった。目を開けると、鎧を纏った男性がいた。

 手先には血の付いた剣を持っていた。


「君達!大丈夫か!」

「え?あ、はい」

「怪我をしているじゃないか!«ヒール»」


 男がそういうと、みるみるうちにリキの傷は治っていった。


「「「「!!!???」」」」


 ここにいる全員が驚きを隠せないようだ。

 無論、僕も驚きを隠せなかった。


「? なにを驚いているんだ? 今のは簡単な治療魔法じゃないか。」


 男はさも当然のように言う。今なんて言った? 魔法?


「貴方は……何者なんですか?」


皆の疑問をマミが代弁した。

『魔法が使える人がいる』という興奮より、『リキが殺されかけた』という別の事実の方が強かったみたいだ。 それが、みんなの警戒心を強めた。


「うむ、我が名はルーク・フォルス。ファール王国の騎士だ。お主等はなんという?」


「あたしは吉井真美といいます。大淀小学校の小学4年生です。」

「オオヨド……? 聞き覚えがない所だが……まあよい、次だ。」


 その後、全員、同じような自己紹介を済ませた。

 そして、僕は気になっていたことを問いかける。


「あの……ファール王国ってどんな所なんですか?」


「ファール王国を知らんのか? …………お主等どの国から来た?」


「えっ……日本からですけど……というかここは日本じゃないんですか?」


「なにを言っておる。ここはファール王国の領地内の森だ。それに……ニホンになどという国は私の知る限りでは存在せん。日本とは何処にある?」


「えっと………解りません……。」

「そうか……なら仕方がない。お主等はファール王国で保護しよう。ついてこい。」


「えっ……でも知らない人について行っちゃいけないって……」

「菅野。そんなこと言ってる場合かい?」


ミホが言ったことをタクが差す。

こんな右も左も解らない状況では例え騙されていたとしてもこの人について行った方が生存確率は高いだろう。

ここで逃げれば確実に森で餓死、もしくはさっきのような猛獣に襲われて死ぬのが目に見えている。


「でっ、でも……」

「そんなに言うんだったらミホだけ置いて行くよ?」

「そ、それはヤダ!」

「だったらついて来て。解った?」

「う、うん……」


 マミが脅しまじりの説得をする。







「みんな、ゴメン……俺が遊ぼうなんて言わなければこんなことには……」

「リキは悪くないよ。それに僕、実は「そうですよ! リキヤさんは悪くありません。だから自分を責めないで下さい!」


 僕とリキが会話をしている最中にエアリスが割り込んできた。

 エアリスは前からこういう所がある。

 仕方が無いのでリキから少し離れて周りを軽く見渡すと、

 ルークさんと話しているナオキ

 いつの間にか口喧嘩をしているマミとタク

 それをオロオロしながら見るミホ

 リキを励ますエアリス

 一人でうつ向きながら歩いているシオリが見えた。


 シオリがなにか思い詰めている感じだったので、話しかけた。


「シオリ、どうしたの?」

「え、宮本君? ううん、何でもないの。」

「余計なお世話だった? ごめん……」

「ううん、違うよ、逆。ありがとう」


 シオリを励ました後、僕は離れて一人で歩いた。








 それから数日後……僕達は森を抜けることに成功し、ファール王国にたどり着いた。

あれからルークさんの話によれば、ここは地球ではない。

あまりにナオキが話すこととルークさんが話すことが違うため、ナオキが聞いたところここは地球ではないと言われたそうだ。

 そして、この世界には魔法と言うものがある。

 個人差があるが鍛えれば、火を灯したりや水を少し出すことぐらいは誰でもできるようになる。

 ただ、ボール並みの火を作るには、多少の修行が必要とのこと。

 これには、全員少なからずテンションが上がった。何せ魔法が使えるのだから。ファール王国に行けば教えて貰えるそうだ。

 なにか大事なことを忘れてる気がするけど……


僕等は胸の高鳴りを抑え、ルークさんについていった。

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