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忘れられた解  作者: 鈴埜
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第一章 新たなる魔原石3

 塔の入り口には二人の兵士がいる。二人とも杖を持ってはいない。ごく普通の警備の兵士だ。ホレスが彼らに軽く頭を下げ、イルマもそれに倣う。兵士二人は槍を胸に当て、顎を上へ向けたまま微動だにしない。

 ホレスの部屋は塔の五階にあった。煙と偉い人は上へ行きたがると言うが、年寄りは階段が辛い。必然的にホレスは上の方になる。五階には部屋が二つ北と南にあるが、使われているのは南側の部屋だけだ。

 茶褐色の重い扉を開けると、豪華な長椅子が二組、机を挟んで並んでいた。

 その一つに、こちらへ背を向けて金色の頭が覗いている。肩より短いそれを、藍色のリボンで束ねていた。背もたれに置かれた手には、大きな石の指輪が光っていた。インプロブ家に伝わる家宝の指輪だ。透明の金剛石が銀の台座にはまっている。

 扉を開く音で彼は立ち上がり、イルマの姿をみとめると相好を崩した。淡い水色の長衣(カフタン)が、彼の薄い色合いによく似合っている。

「ああ、我が愛しの妹よ……なんだいその泥まみれな姿は」

 ホレスよりもさらに背が高く、憧れの貴族の容貌を体現しているかのような兄、サミュエルは、笑顔から一転、眉をひそめ渋い顔でイルマを上から下まで眺める。白い肌に、高貴なる青い瞳。それがぐっと近づく。イルマの顎をとり、上へ向ける。そのままいつもと同じように貴族の令嬢にキスするかのごとく、彼女の顔を検分した。

「あっちにもこっちにも、随分細かい傷があるな。俺の大切な姫君の顔に、いったいどこのどいつがこんなひどいことをしたのか」

 飄々とした物言いだが、相手が人間であれば間違いなく、後でこっそりそれなりの報復をする気だ。そう、瞳が物語っている。

「フルテク蔦ですよ」

 イルマを溺愛する兄の所行を、ホレスはまったく意に介さず、さらに奥の部屋へ向かう。こちらは応接のための部屋であり、奥がホレスの私室だった。

「薬草園の除草ですか。確かにあれは凶暴だ。それにしても、お前は女の子なんだから男どもにやらせればいい。せっかくの美人が台無しじゃないか」

 サミュエルはそう言うと、部屋の隅の棚から薬箱を持ち出す。誰もが避ける言葉を、彼は惜しみなく、ことあるごとに強調する。彼に言われるのは慣れている。小さな頃からで、さすがに苛立ちも起こらない。ただ少し、寂しいだけだ。

「やめてよ兄さん。こんな傷の一つや二つ。王属護衛官になったらこれくらい日常茶飯事よ」

「王属護衛官の魔法使いが顔に傷をつけているようでは、周りは全滅でしょうね」

 再び奥から現れたホレスは、笑いながらそう言った。

 優しくあるからこそ、師匠(せんせい)の指摘はかなり痛い。

 彼の手には羊皮紙の巻物がいくつかあった。どうやら地図のようだ。イルマを長椅子に座らせて、傷の手当てをする兄へ体は向けているが、顔だけはしっかりと師匠(せんせい)を見る。ホレスの準備が終わると同時に、サミュエルも薬箱の蓋をパタンと閉めた。頬に塗られた消毒液の匂いが鼻を突く。

 サミュエルはイルマよりも二つ上。同じくホレスを師匠(せんせい)としていた。彼は今は落ちぶれて末席ぎりぎりを保ってるに過ぎないが、それでも六貴族であるインプロブ家の長男だ。実力もあり、家柄も十分。本来なら引く手あまたの存在だったが、少々素行に問題があった。魔法学校時代から浮き名を流しに流しまくる彼を、手元に置いて指導しようという奇特な教育係がおらず、結局兄妹揃ってホレスの世話になっている。

「サミュエル、沈黙の結界を」

「はい――(フィーニス)

 長椅子に立てかけてあった杖を取ると、サミュエルは軽くその先端を回す。石の色は透明。かなり珍しいものだ。

 魔石は魔法学校に入るとき、水晶や金剛石などの透明な石を使って作る。それが入学の儀だった。在学中肌身離さず持っていることで、単なる石だったものが、次第に自分の魔力を帯びてくる。と同時に、色がつくのが普通だった。ホレスのように瞳の色と同じものになることが多いが、イルマの魔石はオレンジ色に染まった。それ自体は珍しくはない。だが、まったく色がつけかないことは滅多になかった。本当に魔力が通っているのかと疑いたくなるが、こうやって卒業のとき杖にはめ込み、魔力の引き出し口として使っているのだからこの石は間違いなくサミュエルの魔石なのだろう。

 沈黙の結界は初歩の初歩。その内側で話されることを、人に聞かれないようにするものだ。魔法を知らない者にしてみれば、直前までと同じように談笑しているようにしか見えない。話しているということはわかるが、その内容を知ろうとすれば他の音が邪魔で言葉として理解できないようになっていた。もちろん口の動きにも目くらましがかかる。

 ただし、方程式をいかにきれいに美しく解くかで、その結界の性能が決まる。目の粗い結界は、魔法でこっそり聞き耳を立てられることもあった。

 反対に、魔法使いの前で沈黙の結界を使うことはまずない。結界を張っていることはわかるし、下手に使えばいったい何を話しているのだと好奇心を誘い、いらぬ不満を膨らませる。

 サミュエルの沈黙の結界はなかなかの出来で、師匠(せんせい)も良しと頷いた。

「仕事が一つ、入りました。二人はニヒ・ラルゲ〈荒れた土地〉のことは知っていますね?」

「王都レグヌスセスの西、モンス山脈の東にある大きな沙漠ですよね?」

「そうです。レグヌス王国の国土の七分の一を占める大きな不毛の土地です」

 内陸に入れば入るほど、寒暖の差が激しく土地は乾く。だが、魔法使いを有するこのレグヌス王国においては、さほど深刻な問題ではなかった。定期的に魔法で水を運び、土地を潤す。気温は生態系をあまりに変化させてしまうために手を加えることが禁じられているが、飢えて乾くことはなかった。

 あの土地の緑化計画に参加している友人がいる。彼からニヒ・ラルゲ〈荒れた土地〉の異常さは聞いている。どんなに水分を投下しても、それを保潤する方程式を施しても、沙漠は乾き、その勢力範囲を徐々に広げて行っていた。放っておけば、いつか、何百年後かには、この国全土が沙漠の乾きに覆われてしまうことになるという。

「先日、一つの情報が入りました。ニヒ・ラルゲ〈荒れた土地〉に、魔原石があると」

「ええ!?」

「まさか!」

 イルマとサミュエルは同時に声を上げる。

 そして互いに顔を見合わせた。

 瞳が、信じられない、馬鹿なと言っている。

 魔原石は、魔法使いたちが杖の先に持っている魔石よりもさらに強い魔力を秘めた、大きな石だ。イルマが見たことがあるのは、母校のフェンデルワース魔法学校の地下にある緑色の魔原石クリュソスプラだが、地中から顔を覗かせている部分だけでも、彼女が両手を広げたときより大きかった。実際はどれだけのものなのか、想像もできない。他にも二つの魔法学校の地下に、魔原石がある。つまり、レグヌス王国には三つの魔法学校と三つの魔原石があった。

 この魔原石はレグヌス王国が興る前、魔法により繁栄し、そして滅んだウェトゥム・テッラ〈古王国〉が造り上げたものだと言われている。ウェトゥム・テッラ〈古王国〉はレグヌス王国だけではなく、北のセプテント王国から、東のオリス王国、そしてレグヌスと陸つなぎではあるが、モンス山脈に阻まれたその向こう、西にあるオキデス帝国まで、この世界全土を治めていたと言われている。

 強力な力の礎となっていたのが、魔力の詰まった魔原石なのだ。

 今では、その力を自由に扱える者がおらず、入学の儀で、魔原石からほんの少しの魔力を引き出し水晶や金剛石に移し取る、魔力の種として利用されていた。魔力の種を植え付けることによって魔石となり、イルマたちが本来持っている魔力を吸い込み己の魔石となるのだ。

 これによって自分の中から魔力を引き出しやすくなる。魔力の道筋を作る役割をした。

 つまり、魔原石は魔法使いを育てるための大切な基盤なのだ。

 ホレス師匠(せんせい)は軽々しく嘘をつくような人ではない。サミュエルが口笛を吹き、長椅子にどっしりともたれた。

「素晴らしいですね。誰ですか、その魔原石発見の栄光を浴したのは」

 だが、ホレスの眉間には深い皺が刻まれた。喜ばしい事態であるのに、彼の顔が晴れず、イルマは怪訝な表情を浮かべて兄を見た。

 彼も師匠(せんせい)の不審な態度に組んでいた足を解く。

「最近王宮の地下で亡くなった魔法使いに何か関係しているのですか?」

 サミュエルの言葉に、はっと顔を上げたホレスは、やがて苦笑を浮かべた。

「師である私を差し置いて、君はいったいどこに情報の網を張っているんですか」

「上には疎まれますが、友人は多いのです」

 話が見えないイルマは、二人の男を交互に見比べる。彼らはよくこうやって秘密めいたやりとりをする。そんなとき、兄は貴族の顔をした。

「もう! 私にもわかるように話してください」

 兄の長衣(カフタン)の袖を掴んで揺さぶると、彼はイルマを見て、ホレスに視線を定めた。ホレスは短くため息をついて足の上で指を組む。

「本来ならめでたき事態です。それがまったく漏れ聞こえてこないのがおかしいと思いませんか?」

 言われて確かにそうだと気付いた。

 イルマだって決して友人が少ないわけではない。お喋りは女性特有のものと思われがちだが、同僚たちは暇があれば宮廷内で起きた様々なことを話題に上らせた。くだらないゴシップから――その八割に兄が関わっているのには肩身が狭い――新しい人事まで、位の壁を越えて取りざたされる。

 新しい魔原石の発見ともなれば、雑談をしてよいときでなくとも、ちょっとした隙間を縫ってイルマの耳にだって入ってきたはずであった。

 それがまったく聞こえてこない。

「隠されているのですか? でも、なぜ」

「隠さねばならない話がついてくるからだよ。……師匠(せんせい)、よくも俺をここへ呼んでくれましたね?」

 サミュエルの恨めしそうな声に、ホレスはふわりと微笑んだ。

「本当に、弟子の中でも事態の理解は飛び抜けている。魔法使いでなく謀略を巡らす文官の方が君には似合っているように思うよ」

「褒め言葉として受け取っておきます」

「当たり前だろう。よくできた弟子だと言っているんだ」

 またイルマにはわからぬ話の流れに、彼女は頬を膨らませる。

 そんな彼女を見て、ホレスは机に広げた地図の一点を指さした。

「魔原石があると言われているのはこの辺り、ニヒ・ラルゲ〈荒れた土地〉の奥の奥。本当に中心の辺りです。早足の魔法を使ったとしても、一番近い都市、ティルムから二日はかかります。国はもちろんその真偽を確かめたい。けれど、問題があった」

「沙漠だから、行くのが大変なんですか?」

「魔法を使えればあまりたいした問題にはならないだろう? 確かにニヒ・ラルゲ〈荒れた土地〉は少々魔法の効きが弱いと言われているけれどね。問題は、何か罠が敷かれている可能性があるということです」

 なぜと言いかけて、やめる。先ほどからずっと質問を繰り返している。

 黙り込んだイルマに、ホレスは目を細めて続けた。

「この魔原石発見の情報も、嘘かもしれないということです」

 彼の言葉にハッと顔を上げると二人の視線は絡み合う。

「ことの始まりは一人の魔法使いでした。不審な行動を取る彼を捕らえ、情報を引き出したところ、ニヒ・ラルゲ〈荒れた土地〉にある新しい魔原石と、そこから魔力を取り出している他国の人間がいるという話が得られました」

「他国がっ!? まさか、オキデス帝国?」

 そこまで詳しく知らなかったのか、サミュエルも顔色を変える。

 ホレスは重々しく頷いた。

「その魔法使いが言うには、オキデス帝国の人間が我が国の領土に入り、魔原石から魔力を得て魔法を使えるようになっているとのことです」

「魔法をっ!?」

 あまりの出来事に、イルマは知らずのうちに右手で自分の口を押さえていた。

 ウェトゥム・テッラ〈古王国〉は一夜にして滅びたと言われている。その後、魔法によって治められていた国は、各地で独立し現在の国々の元ができた。

 ただ、レグヌス王国の始祖は、ウェトゥム・テッラ〈古王国〉で生き延びた王族たちだと言われていた。彼らは過去を戒め、魔法への過度の依存を禁じた。新たに強い魔力を得るものがおらず、魔力を身に宿す者はレグヌス王国内でしか見られなくなったと言う。

 イルマやサミュエルなど、貴族は比較的魔力を多く持っている者が多い。王族との婚姻がそのような結果をもたらしているのだろう。それは容姿にも現れていた。白い肌に色の薄い髪の毛、そして青や緑の瞳だ。

 反対に、肌の色や髪、瞳の色が濃い者たちは魔力の量が少ない。魔力は劣性遺伝なのだ。

 他国にイルマのような淡い色合いの人種はいない。そして、魔力を持った者もいないはずだった。まして、過去の技術は失われ、現在では魔法学校に入り、魔石を作り上げなければまず魔法を使うことはできない。

 他国に魔法使いはいない。

 レグヌス王国が戦を優位に進められるのは、魔法使いがいるからこそだ。使い方によっては、一人の魔法使いは優秀な兵士百人に相当する。

 ほとんどが、レグヌスとは友好的に付き合っているのが現状だ。特にここ何世代かの王は、争いごとを好まず現在の領土を維持し、人々の暮らしが平和であるように望む傾向があった。

 積極的にレグヌス王国と戦おうとするのは、モンス山脈に阻まれているとはいえ、陸続きであるオキデス帝国くらいだ。

 国境ではことあるごとに小競り合いが絶えず、そして、年に数人魔法使いが消えた。

 魔法を学ぶために拉致されていると考えられた。

 こちらから必要以上に攻め立てることはせず、国境を遵守するレグヌス王国だが、オキデス帝国が魔法を手に入れれば話は変わってしまう。

 ひどい戦が始まるだろう。

「さて、ここからが本題です。王は国家の基盤を揺るがすゆゆしき事態と判断しました。すぐさま事の真偽を確かめたい。ですが、王属護衛官が赴けば、もし今回のことが本当なら相手を警戒させてしまいます。ティルムでも噂はすぐに広まるでしょう」

 ティルムに王属護衛官が行くことはたいした問題ではないが、彼らが沙漠へ入って行けば話は別だ。捕まった魔法使いがどういった役割をこなしていたかが問題ではあるが、こちらが知っているのがばれるのは、出来るだけ先送りにしたい。

「そこでまず、本当に魔原石はあるのか? あるとしたら、そこで何者が何をしているのか? この二点を確認するのが我々の使命です」

 イルマは息を飲む。

 そうか、と下でのやりとりを思い出す。

 ホレスはこれをメルヴィンから奪ったのだ。成功すれば間違いなく輝かしい功績となるが、反対に失敗すれば王国に重大な被害をもたらす。だから、メルヴィンは押し付けられる形で仕事を得たかった。誰も挙手しない中で、順番だから仕方ないと言って弟子をやり、自分は高見の見物でどちらへ転んでもいいように構えていたかったのだ。

「今回の仕事は普段のものとはまるで違います。拒否権を与えましょう。選ぶのはイルマです。が、もし断るのなら一段落するまで隔離させてもらいますよ。漏れてはいけない情報ですからね」

 サミュエルが手の平を顔に当て、天を仰ぎ見る。

 イルマに適任かもしれないという意味もわかった。それだけ軽んじられているのだ。

 女の宮廷魔法使い、誰もがイルマに重きを置かない。

 実習の一環として気楽な貴族のちょっとした研修旅行として見られることが自分でもわかる。

 そっと唇を噛んだ。

「言ったでしょう? チャンスです」

 ここに来るまでの会話を思い出す。

「今朝の会議で、我々教育係全員に話がありました。ですが誰をとまでは言わない。皆、危険に怖じ気づいているのです。現役を引退した老人どもには、国の危機とはいえ寒暖の差が激しい沙漠へ、しかも罠が敷かれているかもしれない場所へ赴くだけの勇気がなかったのでしょうね。自分の弟子の未来など、欠片も考えていない。あの沈黙はなかなかに見物でしたよ」

 ホレスは楽しそうに笑った。

 性格が悪い。たまにそう思う。

 だが、そこまで言わせるほど、不甲斐ない惨状だったのだろう。

「考えてみてください。初めから私に押し付けることすらしなかった仕事です」

 それだけ栄誉は大きい。

 簡単に他人にやってしまえるほどの安い案件ではなかったのだ。

「今回は私が呼び寄せました。選ぶのは君です」

 念を押されるまでもなく、答えは決まっていた。

 危険な仕事になるかもしれない。

 けれど、今選ばなくていつ何を選ぶと言うのだ。

「ホレス師匠(せんせい)、私やります!」

 隣でサミュエルが深いため息をつく。ホレスはにこりと笑って軽く頷いた。

「なぜ俺まで呼んだんですか」

「君のお父上は六貴族のインプロブ家。変な圧力をかけてもらっては困ります」

「六貴族と言っても末席ですよ。父は入り婿ですし」

「けれど、彼はイルマを溺愛している。君以上にね。娘可愛さに横やりを入れられてはたまりません。君も一緒に行くとなれば、まだ納得していただけるとね」

 本当の使命を話すことはないだろうが、ニヒ・ラルゲ〈荒れた土地〉に行くとなれば父は大騒ぎだろう。だが、兄が一緒に行けば違う。普段の所行はどうあれ、父は兄の、イルマに対する扱いをとても評価していた。自分の身を挺してでもイルマだけは守りきると信じている。

「ずるいですよ、師匠(せんせい)。他の教育係の弟子にも、女はいたはずだ」

「イルマの師が私であるということも重要なんだよ、サミュエル」

「……」

 憮然とした表情で黙り込んだ彼を放置し、ホレスは話を進めた。

「一応、ニヒ・ラルゲ〈荒れた土地〉の緑化対策の視察ということになっています。フェンデルワース魔法研究所で、国が支援している研究室があるから、そこの誰かを一人か二人つけてもらうことになるだろうが――」

 研究所と聞くと、イルマの表情がきらきらと輝き出した。

「心当たりでもあるんですか?」

「はいっ! はいはい! とってもほどよく去年研究所に入ったばかりで緑化方程式をこねくり回してる適任を知ってます!」

 身を乗り出して手を挙げるイルマに、ホレスも笑顔で応えた。

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