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Y氏に告ぐ  作者: 麦子
4/5

4、はじめての告白

八月に入り夏休みも残すところ半分となったとある日。学校のプールで泳いできた帰り道、同じクラスの男子に呼び止められた。真っ黒に日焼けした顔がほんのり赤い。



「お前のこと、好きなんだけど」



大きな声で告げられたはずなのに、蝉の鳴く声にかき消されそうな感じだった。突然の告白にぐちゃぐちゃになる頭と心の中に、何故か爽太郎の姿が浮かんだ。



「わたしをストーカーできるくらい、好き?」



同級生の男の子は顔を顰めて、は?と言った。わたしも、は?と言いたかった。口から勝手に出てしまったのだ。きっと、全部爽太郎のせいだ。



「ストーカー?普通に考えてありえねーし、キモいだろ」

「うん、そうだよね」

「…でも、お前のことは好きだ」

「わたしはストーカーをキモいっていうあんたのこと嫌いだ」



じゃあ、もういいよ!

男の子はぐっと唇を噛んで、大げさに叫んで走り去っていってしまった。悪いことをしてしまったのかもしれない、きっと傷つけた。せっかくわたしのことを好きって言ってくれたのに。でも、爽太郎のことを気持ち悪いって言われたみたいで腹が立ったんだ。爽太郎は、そんな人じゃないんだもん。



なんだかすごく、すごく爽太郎に会いたくなった。



涙が出そうになるのをグッとこらえて、わたしは走りだした。爽太郎がいるあの空き地に向かって。

もうすぐ夕方になろうとしていた。




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