おつとめ品の野菜と、余ったご飯のカレー
夕方。
スーパーの「おつとめ品」コーナーで、少しだけ迷う。
ピーマンが三個で半額。
しんなりしかけた人参。
袋の端が少し湿っているもやし。
(……まあ、火を通せば大丈夫か)
カゴに入れる。
特別な献立はない。
ただ、冷蔵庫の中を減らしたいだけ。
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フライパンに油を少し。
切った野菜を放り込む。
じゅ、と音がする。
色はまだ元気がないけど、
火が入ると、ちゃんと香りが立つ。
塩もこしょうも振らない。
代わりに、引き出しからカレールーを一かけ。
水を少し足して、溶かす。
それだけだと、少し物足りない気がして。
麺つゆを、ほんのひと回し。
(入れすぎると、しょっぱくなるんだよな)
独り言。
ぐつぐつと、いい匂いがしてくる。
ふと、炊飯器を見る。
空っぽ。
(……あ)
冷凍庫を開けると、
ラップにくるまれた四角いご飯。
本当は、レンジでチンするやつ。
少しだけ迷う。
(まあ、いいか)
そのままフライパンに、ぽとん。
ルーの中に沈む。
ヘラで崩す。
じわじわと、ご飯がほぐれていく。
少し水を足して、
全体をなじませる。
見た目は、完全に雑炊みたいだ。
カレーでもない。
チャーハンでもない。
でも、ちゃんと湯気は立つ。
ひと口。
(……うま)
ルーを吸ったご飯は、
やわらかくて、妙に安心する味になる。
おつとめ品の野菜も、
冷凍ご飯も。
正規ルートじゃなかったけど、
ちゃんと一食になった。
完璧じゃなくていい。
決まったやり方じゃなくていい。
その場で混ざって、
その場でまとまれば、それでいい。
レンジじゃなくても、
予定通りじゃなくても。
フライパンの中でまとまるなら、
それで十分だ。
湯気の向こうで、
少しだけ、肩が落ちる。
今日もまあ、悪くない。




