Requiem III【完璧王子転生】
「——ぅあ、あぁう」
「あー、シェルファ様おとなしくしてくださいね~。おむつ替えますからね~」
シェルファ・アイヴレイヴ。
これが、レテルファの転生先だ。
包丁で自分の喉を刺し、死んでからまだ10分ほどしか経っていない感覚だが、レテルファは瞬時に自分の置かれた状況を知った。
——ここ、王宮だ。
……そう、王宮。王宮である。
赤子なのに、王宮にいるということは。
王子。
そう、王子である。
さすがにこれには神様がいるんじゃないかと思った。
まあそんなこんなですくすくシェルファは成長していき、幼く無邪気なこどもを演じながら、自分が置かれた環境を整理していた。
・まず、自分を産んですぐに実母は死亡。
・なので、「母を殺した」と父王、兄、姉に疎まれている。
・義母とその娘2人からは嫌われている。
・従者は少女メイドのニオのみ。
・第三王子で末っ子。
・王宮内では孤立気味。
・護衛なし。
・味方、ニオのみ。
以上。
……そう、以上である。
よかったのは建前の立場だけ。
王宮内で孤立、これがなんて——
動きやすいことか。
味方が多ければ多いほど、動きにくくなる。
敵や無関心な者たちばかりであれば、自分が何をやらかしても無関心だ。
しかも、腐っても王子である。
“お父様”である王様が、もみ消してくれるだろう。
……おかしい。
従者、ニオは思っていた。
わたしの主様である第三王子シェルファ様が……おかしい。
まず、賢すぎる。
ニオが言った言葉すべてを、すぐに理解し実行する。
6歳とは思えないほどに大人びている。
空気を読んで、わざと無邪気ににこにこ笑っているのがわたしにはわかる。
次に、運動神経良すぎる。
まるで羽があるかのように優しく、雅に、美しく、軽く飛び、走り、動く驚異の運動神経。
そして——これが一番。
美しすぎる。
いや、以前の主だった、第一王子シェンリュウ様も美しかった。
優しく包容力のある、安心するような柔らかで麗しい美貌。
実の兄弟であるシェンリュウとシェルファはとても似ていて、違うところと言えば髪と柔らかさ。シェンリュウの方が柔らかく優しい。
——しかし、決定的な違いは、その美しさの系統だ。
シェンリュウは、『麗しく包容力のある顔立ち』。
シェルファは——『ただただ美しすぎる顔立ち』。
神が丁寧に、長い時間をかけ生み出したのであろう端整すぎる美貌。
髪は漆黒から毛先に近付くにつれ緑になるグラデーションの珍しい髪で、瞳は見据えられた人を瞬時に『魅了』する、魔力を帯び白銀に雪のように仄輝いている。
そしてなぜか、シェルファはいつも部屋にこもっている。それを、ニオはいつも不思議に思っていた。
そこで、ニオはある決意をした。
——いつも部屋にこもって何をしているのかを、この目で確かめる!
読んでくださってありがとうございます。
長めの作品ですので、最後まで応援して下さってくれればうれしいです。
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