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第132話

 

 ハミーら4人が家にやってきた。明日、山奥の街に戻るそうだ。聞いたら1ヶ月ちょっとの間、このポロの街をうろうろして買い出しなどを行ったらしい。皆収納が増えているから時間をかけて沢山仕入れているんだろう。実際、食料品や医療品、服や小物などを沢山買う事ができましたと言っている。しっかり買えたんだ、よかったよ。


「それでね、あなた達が帰ってから1ヶ月か2ヶ月程後で私たちもお邪魔しようと思っているのよ。ここだと魔法剣や召喚魔法の鍛錬をする場所が限られるでしょ?みなさんが住んでいる街なら関係ないしね」


 カオリが言うとそれなら4人が是非来てください。歓迎しますと言ってくれた。表情から見るにお愛想、お世辞で言っているのではなさそうだ。お前らまた来るのかよ、なんて思われていたら嫌だなと思っていたが見ている限りは歓迎してもらえそう。ただ俺は腹芸ができないので彼らの本心は分からない。でも皆悪い人じゃないから大丈夫だろうと思う。


 装備関係は今回もそれなりの数を仕入れたが、多くの住民に渡るにはまだまだ数が足りないのでまた仕入れに来ると言っている。収納は増えているが一度に大量に買うと怪しまれるからな。日用品を扱っている店は多いけど、装備関係となると店の数が限られてしいまう。毎日顔を出してりゃ、変な奴だと顔を覚えられてしまうよな。


 次は私たちの街で会いましょうと言って4人が俺たちの自宅から宿に戻っていった。


 

 2ヶ月後に山奥の街に行く事になったが、折角行くのだからローブと杖を買っていこうと少しずつ防具屋と武器屋で仕入れをした結果、槍を持つ人たちの防具と魔法を使う人たちのローブと杖をそれぞれ50個ほど用意した。2ヶ月で50個は少ないと思うかもしれないが、買ったローブや杖、それに前衛の防具はゴールドランクの冒険者が持つのではなく、ブロンズからシルバーランクに上がったあたりの冒険者用の装備だ。


 今更なんでそんなのを沢山買うの?と思われない様に手分けをし、店を変えて少しずつ仕入れていった結果がこれだ。


 仕入れをしながら普段の活動も続けていた俺たちは、ハミーらが戻ってから2ヶ月近く経ったタイミングで再び山奥の街を目指し、朝早くにポロの街をでた。途中のイグナスの村で1泊し、東を目指した俺たちの目の前に山裾の森が見えてきた。


「森を抜けたら一気に飛んじゃおう」


「了解です」


 シルバーランクの魔獣を倒しながら森の中を進み、そこを抜けると一気に山の上に転移する。そこからも連続で転移する。こっちだって毎日魔力量を増やす鍛錬は続けているんだよ。俺もユキも転移の距離が伸びている。


 前回よりも半日程早く俺たちは山奥の街が見下ろせる場所に来た。日が暮れる寸前だったがそのまま街の城門に飛ぶと、そこにいた住民が俺たちを見て扉を開けてくれた。と同時に一人の住民が街の中に走っていく後ろ姿が見えた。おそらく長老か幹部の人に俺たちがやって来たことを伝えるのだろう。


「お久しぶりです」


 開けてくれた扉の中に入るとそこにいた人が挨拶をしてくる。俺たちはこの街では一応有名人なんだよ。


 街の中に入ると、住民の中に魔力量を増やす鍛錬をしている人たちの姿がある。本当に真面目に取り組んでるんだよな。


 お礼を言って長老のいる本館に向かって歩いていると向こう側からローブ姿のハミーさんが小走りにやってきた。


「こんにちは。来てくださったんですね、ありがとうございます」


「またお邪魔しますね」


 代表してカオリが話をする。彼女に任せておけば安心だ。


「今日はもう遅いのでいつもの家に泊まって休んでください。あの家は先生達の家ということになっていますのでいつでも自由に使えますので」


「ありがとうございます」


 明日の9時に本館に顔を出すことになった。ハミーと別れるとこの街での拠点、自宅になっている家に入る。家の中は俺たちが出た時のままだった。


 それぞれの部屋に入って持ってきた荷物を出すと、お姉さん二人が交代でシャワーを浴びている間、俺は持ち込んだ料理をテーブルの上に並べて夕食の準備だ。他の食材は冷蔵庫に移す。これで明日から交代で料理ができる。


 部屋で私服に着替えたお姉さん二人がキッチンにやってきた。


「ユイチは先にシャワー浴びる?」


「いや、食事の後でいいよ」


「じゃあ食べようか」


 食事をしながら明日からの話をする俺たち。ポロの街では大っぴらにできない鍛錬をこの街でやるのが目的だ。召喚魔法をはじめ様々な魔法の鍛錬と、魔法剣。それに3人で山の中に入って精霊と一緒に戦ったり、魔法剣で敵を倒したり。第二洞窟の周辺でもやっているけど、それをここで毎日やってみようと言う事だよ。


「今回は指導が目的じゃないけど、頼まれたらやろうね」


「もちろん。それよりもさ、カオリがここの人たちから聞かれる事が多いんじゃないかなって思ってるの」


「私もそう思っているの。魔法と違って槍は型でしょ?崩れてないか、自己流がまじってないかとか気になっていると思うのよ」


 確かにそうだ。魔法についてはその素地があった人たちが魔力量を増やしてロスを少なくする鍛錬をしていた。長老やハミーをはじめ元々魔法使いとしての能力が高い人もいたから鍛錬について相談できる相手がいる。


 片や槍についてはゼロからカオリが教え込んでいる。師匠のカオリがいなくなって指導者がいない中、不安になっているかもしれない。


 食事が終わると俺とユキは庭で精霊達を呼び出した。カオリは魔法剣の鍛錬をする。ここなら周りの目を気にしなくても良い。周囲を警戒しながらするのは精神衛生上良くないよ。


 庭には猫やウサギやお人形さん、そしてゴーレムと様々な精霊達が現れては精霊同士で固まって遊んでいる。ゴーレムのレムが大人気なんだよな、庭に座っている彼の周りに集まってはその腕や足にまとわりついている。まるで精霊達の保護者みたいだ。


 それを見ながら新しい精霊を呼び出すトリガーを考えてみたが、この日は成果なく終わった。今までと同じだったよ。いきなり結果が出るとは思っていなかったからいいんだけどね。と自分を納得させた。


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