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第119話

 それから2週間鍛錬を続けた結果俺たちがいなくても十分にやっていけると確信できる程にまで住民のレベルが上がった。最後まで感心しまくりだったよ。


 鍛錬の最終日、午前中の鍛錬が終わったところで150名の住民がグランドに集まった


「もう私たちから教えることはありません。後は皆さんが毎日魔力を増やす鍛錬を続け、魔法や武器を使い続けることでまだ成長できると思います」


 カオリが話をすると次にユキが一歩前に出た。ん?皆一言言うの?次俺?そう思うととたんに焦ってくる。何を話せばいいんだよと思っている間にユキの話が終わった。マズい、何も聞いてなかった。ユキが俺の方に顔を向けた。仕方ないので一歩前に出て皆を見ると全員がこっちを見ている。やばい、頭の中が真っ白だよ。何を言えばいいんだ?


 そうだ!と俺はハルを呼び出した。風の妖精はすぐに俺の左肩に乗ってきた。皆の視線がハルに注目したことで少し落ち着いたよ。


「自分は最初はただ魔力量が多いだけの何もできない魔法使いでした。魔法の力加減もわからないし、使いどころも分からない。魔獣を目の前にして焦ってばかりでした。でもそんな俺でもこうやって精霊を召喚できるまで成長することができました。今になって思うと沢山失敗したことが自分の成長につながったのだと思います。皆さんも失敗を恐れずにこれからも毎日鍛錬を続けてください。いつかはそれが実を結ぶと俺は信じています」


 俺が話終えると150名の住民達が大きな拍手をしてくれた。俺たち3人が今日で最後だからだろう。何故か肩に乗っているハルまで皆と一緒に拍手してるぞ。


 俺が一歩下がるとサーラ長老が前に出てきて皆の方を向いた。


「1年以上前、私の後ろにいる3人がたまたまこの山奥の街を見つけてやってきてくれた。それまで魔法の鍛錬なんぞほとんどしたことがなかった我々に一から教えてくれたことでこの街の住民、私も含めて、皆それなりに魔法や武器が使える様になった。彼らがいなかったらこの街はいずれ緩やかに衰退していくしかなかっただろう。今日で彼らの鍛錬は終わる。これからは住民皆でこの魔法を次の世代、将来に残していかねばならない。指導は今日で終わるが魔法の鍛錬はこれからも続く。いいかい?魔法とは自分たちの生活をよくするために使うものじゃ。それを忘れてはならんぞ」


 長老は話終えるとこちらに身体を向けた。


「本当に色々と世話になった。あんた達の鍛錬はこれで終わるが、いつでもこの街に来てくれて構わないからの。あんた達3人はいつでも大歓迎じゃ」


「「ありがとうございます」」


 肩に乗っているハルはお礼を言う代わりに長老に手を振っているよ。


 最後の鍛錬が終わって解散になった。俺たちは本館に移動をする。長老の他にポロの街に出向く予定の4名も部屋に入ってきた。精霊魔法が好きなラックス、マース、カシュの3人と回復魔法が好きでカーバンクルを召喚できるハミーだ。


「明日一緒にポロの街まで連れて行ってくれるんじゃの?」


「はい。そしてこの街に帰る時も一緒にここまで案内する予定です」


 カオリが言うとそうしてくれると助かると長老が言った。他の4人がよろしくお願いしますと言った。最初は道が分からないからね。案内しますよ。


「この街はこれからもずっと世間から隠れたままで続いていくだろう。ただそこに住んでいる住民はそうもいくまい。時代が変わってきておる。外を見てこの街に帰ってくる事でこの街が発展するのなら外に出るのを止めることはない。最初は色々と教えてもらわねばならないがよろしく頼む」


「任せてください」



 その夜は街を上げて俺たちのお別れ会をしてくれることになった。俺たちは一応主役ということなので夜まで自宅で休んでくれと言われ、本館を出るとそのままこの街の自宅に戻ってきた。


 シャワーを浴びたカオリとユキがリビングに来た。俺はローブを脱いだだけだ。


「さっきのユイチの挨拶、格好よかったわよ」


「そうそう、カオリの言う通り。惚れ直しちゃった」


 カオリとユキがソファに座るなりそう言ってくる。お姉さん2人に褒められると嬉しいが正直自分はあの時は緊張しまくりで、何を話したのか半分以上覚えていない。


「ハルを呼び出したのはよかったね」


「皆が自分に注目していたから。恥ずかしいので精霊に手伝ってもらった」


「でも精霊を呼び出してからのあの話でしょ?説得力あったわよ」


 そう言われても困ってしまうよ。なんせ半分以上覚えていないんだから。その場で思いついたことを言っただけなんだけどな。この話題が続くとマズいと思ったので俺は立ち上がって冷蔵庫から冷えた果実のジュースを取ってきてグラスに注ぐ。


「最初この街を見つけた時はこんなところに街があるんだとびっくりしたけどさ、でも結果的にこの街を見つけてよかったよね」


 ジュースを飲んだユキが言ったが彼女の言う通りだよ。この街の人達にとってもよかったと思うけど、俺たちにとってもよかった。自分たちだけで終わると思っていた時空魔法や召喚魔法、魔法剣を伝承する事ができたのだから。


 俺たちがポロの街で歳を取って死んだ後も、魔法がこの世界のどこかで継承されていくということが分かったのは収穫だよ。


 夕方まで自宅でのんびりと過ごした俺たち、ハミーさんが家にやってきて準備ができましたよと言ってくれて3人で街の広場に出向くとそこには住民が集まっていた。広場には即席の屋台がいくつも並んでいる。


 長老の音頭から送別会が始まった。俺達はいろんな住民から誘われて屋台のおやつや食事を食べたり踊ったり、住民と一緒にこの送別会を楽しませてもらった。住民から精霊が見たいと言えばハルやリーズを呼び出した。子供達は精霊を間近で見られると大喜びだよ。少し離れた場所ではユキが同じ様に精霊を呼び出している。レムはでかいから目立つんだよな。でも子供達は平気みたいだ。レムの周りを走り回ったりしている。


 小さな子供もこれから大きくなって魔法の鍛錬をしっかりすれば君たちも精霊を呼び出せる様になるよ。無能と言われた俺ですら出来たのだから間違いないぞ。


 夜遅くまで宴会は続いた。俺たちもこの宴会を思い切り楽しませてもらった。本当にこの街の住民は良い人ばかりだよ。


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