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2話 特殊部隊


 凄惨なあの事件から十年後――――



 エルフ族はあの事件を忘れる事なく、それでもそれぞれが前を向き元気に平和に毎日を生きていた。

 但し、以前と変わらず他種族との交流は一切せず、より一層の警備を強化して。


 

 ◇◇◇

 


「族長!! 大変です!!」


「何じゃ……騒々しい」


 エルフの族長の元へ、諜報部隊のフィンが大慌てで駆け寄った。

 

「ハァハァ……。にん……ハァハァ……げ……ハァハァ……おげぇ……!」


「先に息を整えてから話しなさい……。何を言うとるのかわからんわ……」



 数分後――


「失礼しました……。族長大変です。人間が里近くの森まで侵入してきたようです……!」


「またか……。どうせまた迷い込んで来たのじゃろう。前の様に木を上手く動かして出口に案内してやりなさい」


 息を整えて彼女が報告を終えると、族長は呆れながらそう言った。

 近頃冒険者と言われる人間達が誤って森へ侵入してしまい迷って出られなくなる事が多くあり、族長はまたそれかと辟易へきえきしていた。


「いえ、それが……今回は迷い人ではないのです」


「なんじゃと? では何が目的だと言うのじゃ?」


 真剣な表情でそう言ったフィンに、族長の表情もいつの間にか真剣なものに変わっていった。


 

「人間達の話を盗み聞いたのですが……どうやら奴らは盗賊のようで、我々エルフを捕まえて人身売買の組織に売り渡すつもりのようです……」


「人身売買じゃと……?」


 族長はその言葉を聞き表情を強ばらせた。


「ど、どうしますか、族長?」


「相手は何人いるのじゃ……?」


「ざっと十人程でしょうか」


「十じゃと……? あの時と同じというわけか……」


「はい……。あの時と同じ目に傷がある男もいました……」


「くそっ……。性懲りも無くまたやって来たと言うのか、クソ外道め……!!」


 以前里近くの森で同族を襲い、女エルフ達を攫った犯人だと確信した族長は怒りをあらわにした。


 そして息を大きく吸い落ち着きを取り戻すと、族長はフィンに命令を下した。

 

「直ちに優秀な人材を集め、攻撃特化の特殊部隊を編成するのじゃ!!」


「わかりました! 早速里の者で目星い人材を集めて参ります!」



 こうしてフィンは早速、里中を駆け回り優秀な人材を集めて回った。


 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 そして数時間後――


 里中から集められた精鋭達は里の中心に位置する巨大樹の下に集まり整列していた。


 そこへ族長が現れ、今回の件について説明を始める。

 

「諸君、よくぞ集まってくれた。今回君らに来てもらったのは他でもない。極悪非道な盗賊共を追い返す為じゃ。じゃが、我々エルフ族は人間に狙われている故、姿を見せてはならん。よって、弓での戦闘が主になるじゃろう。フィンよ、ちゃんと弓が使える者を集めてきたんじゃろうのう?」


「勿論です! ここに集められた精鋭十名は皆、弓の扱いに長けた猛者ばかりです!」


 族長の問い掛けに、胸を張り自信満々な様子のフィン。

 そしてその二人は目の前に整列している例の猛者達に目を向けた。


「そうか。では順番に説明してくれるかの?」


「はい! ではまず一人目から。順に自己紹介をせよ!」



 そしてフィンの言葉通り、左端の者から順に自己紹介を始めた。


「私はイルス。視力には自信がありますので、どれだけ遠くのものでも視認する事が出来ます」


「ほう。中々良いではないか」


 一人目のイルスが自己紹介を済ませると、族長は満足した様子で相槌をうった。


「イルス、ありがとう。次は二人目の人ー」


「私はニーナよ。イルスの様にかなり遠くからでない限り、狙った的は外さないわ」


「ほう。すごい自信じゃのう。期待しておるぞ」


 二人目のニーナの自己紹介に関しても同様に中々に好印象だった。

 その後、十名全員の自己紹介が行われていった。


◇◇◇


「トウリ、ありがとう。それでは次、十一人目の人……。十一人目!?」


 十人目の自己紹介が終わり、フィンは本来であればここで紹介を終わらせるところだったのだが、その列に呼んだ覚えのない十一人目が並んでいた為に、驚きのあまり二度見をした。


「何故十一人目が……!? ていうかあなたエリーシア!? 何であなたがここにいるの!?」


 フィンは目を丸くして、その十一人目の女エルフ、エリーシアにそう聞いた。

 すると彼女はポカンとした表情で口を開いた。


 

「こ、これなんの集まりですかっ? わたし族長が来られたので話を聞こうと適当に並んでただけなんですけどっ……!? あ、そうだ、わたし運搬業務の途中だったのでこれで失礼しますねっ!」


 そう言うとエリーシアは特大の丸太を片手で軽々と持ち上げその場を去ろうとした。

 するとそのとんでもないパワーを目の当たりにした族長が口を開いた。



「ちょ……ちょっと待つのじゃ!!」


「は、はい……?」


 族長に呼び止められオドオドとした様子で返答するエリーシア。

 そんな彼女の様子を気にもとめず、族長は更に話を続ける。


「エリーシアよ。お主もこの特殊部隊に加わりなさい。その力をもって人間を討ち、里を守るのじゃ!」


「へっ!? えぇーー!? む、無理ですよそんなのぉー!!!」

 

 彼女はその細い身体からは想像も出来ない程の【超パワー】を持っていた。

 そしてソレが族長の目に止まったのだった。


 必死な抵抗も虚しく、半ば強制的に彼女も特殊部隊に加入する事となってしまった。

 因みにこの【超パワー】を持つエリーシアこそ、この物語の主人公である。




ここまで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

これからも本作品をよろしくお願いします!


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