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Real_RPG  作者: MLCCHI
3/3

第三話

勇のアパートから歩いて1分かからない場所にお寺がある。


眠ろうとしても無理だと分かった勇は部屋にいても落ち着かず、

アパートの周囲を散歩しようと外出した。

あの妙なモンスター?と出会うのも当然いやだったので、

引っ越した以来にお寺に足を運んだのだった。


お寺は都心にあるにしては大きく、妙な風格があり、

以前、タクシーの運転手に紀元前よりあるお寺だと言われ

(いや、うそつけ)と心の中でツッコんだこともある。


立派な門に足を踏み入れると境内には袈裟姿の老人と黒のコートを着た

婦人がいるのが見えた。


婦人を見ると境内の隅を機械的に行き来し、

(あぁ、やはり夢ではないのか・・・)と改めて勇は思った。


助けを求めるわけではないが、和尚のもとに歩みより話しかけた。

「あの・・・」とか細い声を掛けると

「おう。よくいらしゃった、旅人よ。なんの用事じゃ?」

まるで当たり前かのようにそういうと和尚はクリアファイルを見せてきた。


(・・・。)


メニューにはこう書かれていた。

『旅の経験を記録する/仲間を生き返らせる/毒を消す/呪いをとく』

もうここまでくると勇はロールプレイングゲームの世界に何故か迷い込んでいる

ことを認識し、

「旅の経験を記録する」と伝えると「わかった。」と和尚が言うと荘厳な曲が

どこから聞こえ、それが終わると「確かに旅の経験を記録したぞ。

旅人よ気を付けていかれよ。」と締めくくると和尚はそのまま黙ってしまった。


(これは夢じゃない、ロールプレイングゲームの世界に迷い込んだことは事実。

それは分かった。ただ・・・この現実はいつ覚める?)

突然の異様な世界。飲み込みはしたものの不安はつきることはない。


勇はあきらめて帰ろうと門に向かって歩き出した。


「あの!」婦人だった。

ビクッ

こちらから声を掛けているわけでもないのにいきなり声を掛けられ体がこわばる。


「その右手の剣のアザ。」婦人が続ける。

「え?」勇は右手に目をやる。

確かに昔から1センチ代のバツのアザが勇にはあった。

(剣と思ったことは一度もないが・・・)


「そのアザをもった方を探している人がいます。

ここから北東へ20分ほど歩いたところに街があります。

その街の片隅に『夢』というバーが・・・

そこにメグミという占い師が探してるはずです。

その方を訪ねてください」


「は、はぁ」

(混乱して脳の2割しか理解力が無くなっている状況でそんなことを言われても・・・)


「北東ですか?」ようやく絞りだした質問をするが、

「ここから北東に20分ほどいった街で『夢』というバーです」

(これもロープレあるあるだな。また聞いても同じ返答だろ・・・)と思い

「これって剣ですかね?」と婦人へ聞いてみた。

「ここから北東に20分ほどいった街で『夢』というバーです」

(・・・なるほど)


(北東というと新城駅商店街か?)

行く義理など全くないが、他にどうすればという方法が全く見当たらない。

勇は仕方なく新城駅商店街へ歩を進めていた。


『ガサッ』


目の前に現れたのは今朝のゼリー状のモンスター。

突然だったため勇は驚いたが、動揺はなかった。

右手には今朝かった『木のボウ』。

(ロールプレだとしたらこれで戦うということか)


勇は木のボウでそのモンスターを思いっきり殴った。

バシッと音がしたが、モンスターに変化がない。

するとバシッ

今朝も受けたモンスターのはじいたゴムのような攻撃を受ける。

(痛いんだけど・・・)泣きそうになりながら再度モンスターを攻撃する。

するとモンスターの動きが止まり、ジュー、まるで蒸発するように消えていった。


ホッと一息をついた勇はモンスターが消えた場所に目をやると1000円のお金が落ちていた。

(警察・・・じゃないな)ここはロールプレイングゲームの世界。

モンスターを倒した報酬だろうと思い拾って歩き出した。


『bar 夢』

勇は看板を見上げる。


ここまで3体のモンスターを倒し、多少のダメージを受けながらやっと目的の場所についた。

白と黒を基調にしたまだ新しいおしゃれなバーだった。


黒いドアを押して勇は中に入る。

店の中も白と黒でまとめられていてかなりいい感じのバーにみえた。

中にはマスターらしき人が1人とお客は若い女性とジャケットを羽織った紳士ぽいおじさんの2人。


「いらっしゃい」のない無言のマスターにまず話しかけた。

「いらっしゃい。今日は寒いね~。」

(なろほどこれがこのマスターに組み込まれたプログラミングね)

いい加減理解してきた勇はそれ以上マスターに話すことなく、恐らく『メグミ』と

思しき若い女性に話しかけた。


「まったく。嫌になるわ。『タナカ』がオサ(長)になってから電車は動かなくなるし

いいことまるでないじゃない」


(あれ?)


勇は再度話しかける。

「まったく。嫌になるわ。『タナカ』・・・」

(え、違うの?ということは・・・)


勇はカウンターに座っている紳士に目を向けた。

話しかけてみる。

「おお!!その右手のアザ!!」

(あんたかーーーい)


どうやらその紳士がメグミらしい。

「ちょっとそこに座って私の話しを聞いてもらえないか」

紳士は機械的にだが感情のこもった様子で話しを続けた。

勇はおとなしく座り紳士の目を見ると、紳士は


「間違いない。あなたこそこの世界を救う救世主だ」




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