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2話

意識は暗闇の中に。

だけども頭のどこかが目の前の視界を捉えていた。

意識は無防備だ。

〜〜〜

身体は動いていた。

まるで自分の身体ではないような。

いや、そんな筈はない。


身体に力が入り、駆動を始めた。

〜〜〜

相対する前にはお互い存在に気付いていた。

例え10mしか視界が届かなくても何も不便ではなかった。

向き合った敵は槍を持っていた。身の程の長さはあるだろう。

お互い、様子を見るように止まっている。


時折り、何処からか雄叫びとも絶叫とも分からない叫び声が聞こえた。


仕掛けたのは自分からだった。

身体を左右に振って様子を見る。

同時に腕を伸ばした。


何回か刺すように腕を伸ばしたが全て切られて当たる事はなかった。

相手は的がデカい胴体に狙いを定めて、ゆっくりと近づいてきた。


距離およそ3m。

槍を大きく持ち踏み出そうと地を蹴る瞬間。

ーーー右手側から鋭く手を伸ばす。

相手の口から、勢いよく何かが吐き出された。


それこそ槍のように尖った右手で、槍で防いだ。

当たった右手で即座に槍を掴む。決して離さない。

ーー左手を伸ばす。


そして左手が、槍を取り戻そうともがく相手の土手っ腹に刺さった。


もがく相手。

〜〜


苦しむ相手。

〜〜


やがて、相手が物言わぬ亡骸になる頃にはまた意識は深い暗闇へと沈んでいった。


〜〜〜


意識は時々視界を垣間見た。


仄暗い通路を歩いた。


吸血蝙蝠達を掴んでは取り込んだ。


獣を刺して血を吸い取った。


目に見える全てを這いずって舐めとった。


下る階段。


亡骸を従える悪魔。


垢で着飾る赤ん坊。


巨大な巣で夜を統べる女王。


群がる子供達。


滑り落ちる坂。


大きな竜。



炎炎


炎炎炎








炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎炎。


炎が全てを燃やし、溶かしていく。


壁、天井、身体。


空気さえも燃やし尽くしたのか炎は残らずに消えた。

溶けた天井の一部から溶岩が滴っている。


焼けついて動かない体。


死んだ細胞達がまるで棺桶のように自分を閉じ込めた。


沈む意識。


さらに深い水底へ。


意識は朦朧として割いて散っていく。


やがて、目を閉じるように意識は無くなって。


何も感じなくなった。

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