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ときめきざかりの妻たちへ  作者: まんまるムーン
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 東南電鉄沿線にある「きさらぎ駅」。


 最近駅がリニューアルされて名前が「きさらぎガーデンヒルズ駅」となった。


 SF映画に出てきそうな近未来的な駅舎は、大きなショッピングモールとなっている。


 駅の中には緑溢れる噴水広場や、子供が走り回って遊べるプレイグラウンド、手ぶらでバーベキューを楽しめるスペースもあって、子育て世代に特に人気だ。


 駅周辺もデパートやスーパーなど商業施設が多く立ち並び、この街の中だけで生活の全てを賄える。


 そんな便利な「きさらぎガーデンヒルズ駅」と共に再開発されて出来た住宅街。それが私たちの住むことになった「きさらぎヶ丘」だ。





「朋美~! これ、こっちで良かったの~?」

階下から夫の叫ぶ声が聞こえた。


「ちょっと待って~! そっち行くから~!」

私は急いで引っ越し業者の人に家具の配置の指示をすると、階段を下りてリビングにいる夫、和也の元へ向かった。


「この棚、ここで良かったっけ?」

私の顔を見るなり和也は聞いてきた。


「あぁ、それはこっちだよ!」

私は出窓の下を指さした。


「あ、そっか。すみません、そっちにお願いします。」

夫は業者の人たちに場所を指定し直した。




 私たち夫婦は結婚5年目にしてマイホームを購入した。


 私は今年38歳になった。夫の和也は二つ上の40歳。


 まだ子供もいないし、賃貸のマンションで十分だと思っていたのだけど…和也の友達が次々にマイホームを購入し始めて、それに触発されたのか、家を買う事に積極的になったのだ。


 考えてみたら毎月家賃を払うのももったいないし、自分の所有だったら先で人に売ることも貸すこともできる。悪く無い投資だと思った。


 そんなこんなでマイホームを購入すると決めてからは、週末ごとにいろんな物件を見て回った。


 これといった趣味の無い私たち夫婦にとっては、新たな趣味が出来たみたいに物件を見て回るのがすごく楽しくて、週末が待ち遠しく感じるくらいだった。


 そしてこのきさらぎヶ丘に出会ったのは、今思えば運命だったとしか言いようがない。







「朋美? 朋美じゃない?」

後ろからいきなり声をかけられた。振り向くと良く知っている顔がそこにあった。


「モッコ!」


 モッコ…。森野ココ。


 学生時代の友人だった。


 森野の「モ」、ココの「コ」を取って、「モッコ」と、彼女の事を呼んでいた。


 もちろん森野は旧姓で、今は確か海野うんの…だったような気がする。ということは現在は…○ンコ!?


「何でモッコがこんなとこにいるの?」

突然の旧友の出現に私は驚いた。モッコの横には素朴で感じの良さそうな男性がいた。


「主人です。主人と会うの…結婚式以来だっけ? この人の事、覚えてる?」

モッコはその男性を紹介した。


「ご無沙汰してます。ココの夫で海野浩太と申します。」


 …うんの…さん…? …やっぱり…という事は…現在は…ウン…いやいやいや! それを口にするのはさすがに失礼だ。封印しよう…。 


 私はその意地悪になりそうな妄想から離れることにした。


「ご無沙汰してます。青山朋美です。私の事…覚えてらっしゃいますか?」

朋美はお辞儀をした。


「覚えてますよ! ココの友達は何故かみんな美人揃いだったから!」

浩太は言った。


「ちょっとパパ! 何故か…は余計でしょ! まるで私だけブサイクって言ってるみたい…。」

ここはふてくされて言った。


「パパ~、ママ~!」

そこへ小学校高学年くらいの男の子と女の子が駆け寄ってきた。


「娘と息子なの。」

モッコは子供たちの頭を撫でながら笑顔で言った。


「二人も子供さんいるんだね! モッコもママかぁ~!」

ー感慨深いなぁ~。




 モッコは子供たちを旦那さんに預け、少し朋美と二人だけで話をしたいとその場を離れた。


「私たちさ、さっき契約を終えたとこなの。朋美もきさらぎヶ丘にするの?」


「うん。ここ人気だからさ、早くしないと無くなりそうだし、今日は決めようと思って来たんだ。」


「そっか! じゃあ、私たちご近所さんになるのね! 嬉しい! 仲の良かった朋美と近くに住めるなんて!」


「私もだよ!」


嬉しかった。知らない土地に住むのは不安があったが、気心知れている友達が近所に住むと知って安心した。


「知ってた? 絵梨もこの近くに住んでるのよ!」

モッコが言った。


「絵梨が!」


「うん。きさらぎヶ丘じゃないんだけど、駅の向こう側の菊ヶ丘に住んでるらしいの。」


「そうだったんだ…絵梨が…。ずっと連絡取ってなかったからさ、全然知らなかった。」





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