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空回る洗濯機

「何これ?」

 ちひろが洗濯機を指さす。

「洗濯機だよ」

 蒼乃が答える。

「洗濯機?」

「うん」

 あれから蒼乃は台所だけでなく、それ以外の生活用品も揃えていっていた。

「そういえば、ちひろ、洗濯はどうしてたの」

「洗濯?」

「うん」

 ちひろは不思議と、いつもきれいな服を着ている。

「何それ」

「え?」


「わっ」

 ちひろが開けた部屋をのぞくと、部屋いっぱいに、ちひろがいつも着ている派手派手な服が乱雑に散らばっていた。

「これ全部買ったの?」

 ちひろは頷いた。

「着ていた服は?」

「捨てた」

「えっ」


「わっ」

 別の部屋を開けるとそこにも服が散乱していた。それはちひろが着ていた服だった。

「じゃあ、全部、買い替えてたんだ・・」

 蒼乃は茫然とした。そういえばかくれんぼしていた時に、この部屋を見て不思議に思ったことを思い出した。

「・・・」

 やはり、ちひろの常識のなさはぶっ飛んでいる。


「こうやって、洗うんだよ」

「洗う?」

 ちひろはそれすらが分かっていないようだった。

「うん、見てて」

 蒼乃は洗濯機に洗濯物を入れて、洗剤を入れるとスイッチを押す。

「後は機械がやってくれる」

 蒼乃は説明をして、ちひろを見る。

「ふ~ん」

 ちひろは不思議そうに洗濯機を見つめる。

「ほらで来た」

 洗濯が終わり、洗濯機が止まると、蒼乃は蓋を開け中の洗濯ものを取り出してちひろに言った。

「これで、洗った、の?」

 ちひろが首を傾げながら言う。

「そう、これを干せばいいんだ」

「ふ~ん」

 ちひろはしかし、まだよく分かっていないようだった。


「ん?」

 次の日、廊下の向こうで洗濯機の回っている音がした。蒼乃が近づいていって見てみると、ちょうど、洗濯が終わって洗濯機の回転が止まった。そして、ピーッ、ピーッ、という終了を知らせる電子音が鳴った。

「ちひろが動かしたんだな」

 蒼乃は、ちひろの進歩にほくそ笑んだ。そして、洗濯物を干してやろうと、蓋を開けた。

「あっ」

 蒼乃は中を覗き驚いた。洗濯機の中には、靴下が一足入っているだけだった。

「・・・」

 蒼乃はそれをつまみ上げ、茫然と眺めた。

「あっ、できた」

 そこに、うれしそうな表情でちひろがやって来た。

「やったぁ、できた」

 そして、蒼乃から靴下を奪うと、どうだと言わんばかりに、靴下を蒼乃に突き出し、ちひろはドヤ顔で蒼乃を見る。

「あたしにだってできるんだよ」

「・・・」

 蒼乃は言葉もなかった。

 ちひろの生活感と常識の無さは尋常じゃない。蒼乃は諦めた。



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