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2.失態

プロローグと第一話と章設定をいじりました。


カチャ、カチャ、カチャ。


微かに金属と金属がぶつかり合う音がする。

シエルの自室にある、繊細なレースで縁取られたクロスのかかった大きなテーブル。

ノエルは、銀のワゴンからフォークやスプーンを取り上げてそのテーブルに並べていた。


コトリ、伏し目がちなシエルの目線に入るように、少し手前側に置かれたそれ。

白い皿に乗っているそれは、見るからに甘そうなパンケーキだった。2食の葡萄や苺を中心に、チェリー等の果実がふんだんに盛られた生クリームの上に飾られている。パンケーキは3つ積み重なっており、朝食とするに相応しい量であった。だが、その甘さが朝食とするに相応しいかどうかは定かではなかったが。


フォークとナイフを手に取り、そのパンケーキに切り込みを入れる。小さく切り分けたそれに生クリームを沢山つけ、フォークで刺して自身の口へと運ぶ。閉じていた目を薄く開き、味を楽しむかのようにゆっくりと飲み込んでいく。それを何度か繰り返した後に、冷たい果実水の注がれたグラスを手に取って一口飲む。


ふう、と息を吐き出す。一切の変化がないその顏を緩慢な動作で持ち上げ、丸いながらも伏し目のせいで切れ長となった冷たい目を自らの従僕に向ける。それを確認したノエルはシエルに近づき、少しばかり屈んで耳元で囁く。シエルは目を閉じて頷くと、もう一度ふう、と息を吐き出した。...かと思うと、パンケーキの乗った皿を遠ざけてテーブルに突っ伏す。彼女の口からは、先程の可憐な声よりもずっと低い声で、半ば叫ぶような言葉を発した。


「あー、もうやってらんねーよこんな生活ッ!!

 美味いもん食えてふっかふかのベッドで寝れて

 綺麗な服着れてなきゃ自死するとこだわド畜生ッ!!

 何より会話が堅苦しい!!

 なんで弟と話すだけなのに

 裏をかかなきゃいけないんでぃすかねぇ!!??」

「わかる、それめっちゃわかるよ姉さん。

 姉さんが他の人にわかんないように言うからさ、

 何を意味してんのかわかんないってのがよくあって

 専属執事外されそうになったからね」

「それはすまん。マジで悪いと思ってる。

 でもよ?肥貯めより無価値な金食い虫どもって

 無駄に知能いいからよー。

 それくらいのにしとかねーと面倒事になるんだわ」


今までの振る舞いからは予想も出来ないような言葉が2人から飛び出す。四大公爵家のトップであるグリムリーパー家の長子ともあれば、公爵令嬢としての教育だけでなく、グリムリーパー家を継ぐために必要な帝王学や、剣と魔術と魔法の家庭教師もついているのだ。こんな言葉遣いなど知らないはずであるし、いわゆる庶民である者達も使わないだろう言葉まで飛び出してきた。彼女は10歳とは言えども、大人や、天才ともてはやされた考古学者達をも遥かに凌駕する博識であった。剣も魔術も魔法も、それぞれの騎士団や魔術師団に全力で勧誘されるほどの腕前なのだ。騎士団や魔術師団は実力重視なので、そこから聞いた言葉を使っている可能性もある。だがしかし、恐らく『です』という意味であろう『でぃす』という言葉は聞いたことがないし知らない言葉だ。それに会話の言葉も、東洋の国の小さな島国のみで用いられている言語だった。まるでその島国で生まれ育ったかの如く流暢な言葉だったため、聞き取るのにも一苦労した。

......って、今はこんな事を考えている場合じゃない。一刻も早く報告しなければーーー


最上級の隠密魔法を発動させて、部屋から脱出するべく窓に足をかける。そして、窓から地面に着地するために飛ぼうとしたその瞬間。


ヒュッ


耳元で音がした。

体の動きを停止して、目線だけを動かす。恐る恐る首もとに目をやると、グリムリーパー家の家紋が刻まれたナイフが、今にも頸を斬ろうとそこに鎮座している。


くす


笑う声がした。

その声は左斜め後ろから聞こえてくる。なんとかナイフの切っ先が当たらないように首を動かすと、彼女は無だった表情を愉悦に歪めこちらを見ていた。淡く桃色づいた形の良い唇を開き、10歳の少女にしてはやや低めのハスキーボイスで言葉を紡ぐ。


「貴方、甘い物はお好きかしら」


第一話と第二話の視点は第三者目線でしたが、まさかこうなるとは思うまい...フッフッフッ


ってな感じで書いてました。

この台詞悪役みたいだと思いました(小並感)。

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