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逃避

作者: 段塚紫舞輝


アイスクリームを食べると神になれる。

 神になった気分だ。


 冬に食べるアイスクリームは美味しいと市井で聞いたことがある。正しく、いま、この瞬間にアイスクリームを食べている、それも冬に、確かに美味しい。

 無論アイスクリーム自体が美味しいのだから萌える翠、緋黄色の絨毯、石竹の季節でも美味しいものだ。しかし、冬は夏とくらべ涼味ではない、優越味がする。

 考えて観れば、冬にアイスクリームを食べるなど滑稽な噺だ。夏は暑いからアイスクリームを食べるのに、態々冬に凍えてまでアイスクリームを食べようとするのだから、おまけに、冬限定のアイスクリームまで存在する。だから冬にアイスクリームを食べるので有れば凍えてはならない、袢纏を羽織り炬燵でぬくぬくとアイスクリームを食べなければならない。

 外は寒く凍えているのに己は防寒着を羽織り、暖房と炬燵で現実から防備する。そして、王者の余裕とも取って観れる風格でアイスクリームを頬張るのだ。

 神の味だ。

 自分にはその空間にいる限り現実から逃避し、その優越感からまるで王様か、神にでもなった気分に酔い痴れるだ。

 しかし、私のいま目の前にある現実は冬休みの宿題が山の様に積まれた宿題だけだった。

 そして、この現実からまた逃れるための手段を思考し、蜜柑を見詰める。


 

 蜜柑はを食べると、一つ歳を取る。

 老婆になった気分だ。

 



                       完


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