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あやしの神社の反魂さん  作者: 九木圭人
プロローグ
1/78

プロローグ1

 結論から言うと、アインシュタインは間違っていた。


 第四次世界大戦は石ではなく、第三次世界大戦の余りものと、そこから発展した兵器とで行われるだろう。


 世界は終わらなかった。

 開戦前、数年以内に七十億に達すると言われていた人口は六十億を下回るまでに減り、いくつかの国は無くなり、或いは分断し、複数の国境線と海岸線が書き換えられ、新たなクレーターがいくつか生まれたものの、三十年経った今ではそれすら最早過去の事件だ。


 終戦から三十年。戦争を知らない世代から、戦争を知らない世代が生まれてくる時代。

 世界の大部分は開戦前と結局何も変わらない。


 ただ、大きく違う点が一つある。


 「おい起きろアホ巫女!」

 「アホ巫女言うな」

 日本のとある地方都市。その片隅の小さな神社。騒ぐ二人――人間の巫女と、そうでない同居人。

 切れ長の目の涼やかな顔立ち。すらりと長身の、その腰までありそうな癖のない銀髪を調理の為に一本結びにし、これまた調理の為に着込んだエプロンの下には緋袴の巫女装束と、相手をアホ巫女と呼んだ彼女の方がより巫女らしい出で立ちだ――当の巫女が上下ジャージなので余計に。


 「飯出来たぞ。さっさと食え」

 ぶっきらぼうな口調でそう言いながら、その同居人は背後の相手に伝える。

 白米と味噌汁。湯気を立てるそれらに納豆と生卵。


 「おはよー……いつも悪いね妖刀ちゃん」

 「そう思うならもっと早く起きて自分で用意したらどうだ……あ、あとこれも」

 妖刀――とても名前とは思えないそれでも、呼ばれた本人は特に気にするでもなく碗を一つ追加する。

 「何これ?豆腐?」

 「八杯豆腐だ」

 ややとろみのある汁に細切りにした豆腐が浮かぶそれは、まだほんのりと温かかった。


 「食べ終わったら桶に沈めておけよ。軽く境内を掃いてくる」

 言いながら、外したエプロンを椅子の背もたれにかける。

 湯呑みになみなみと注いだ水を飲み干しながら、言われた本人は振り返る。

 「……妖刀ちゃんてさ」

 「なんだ?」

 「私よりよっぽど巫女っぽいよね」

 ジャージ姿の巫女本人が茶色いセミロングの頭を掻きながら漏らしたその声は、一瞬だけ静まった台所に響いた。


 一拍沈黙。

 続いて小さなため息――無駄と分かっているが故。


 「……そう思うならちゃんとやれ。ああ、あと汁もの被ったが味噌汁もしじみだからちゃんと飲めよ。どうせ昨日も遅くまで飲んだのだろう?」

 「私にも付き合いがあるんだよぅ」

 「おっさんかお前は。まったく嫁入り前の娘が……。まあいい。とにかく、急いで済ませて準備しろよ。今日は朝から人来るんだろ」

 それだけ並べると返事も聞かずに後にする。

 言われた本人もそれを分かっているのか、食事が並べられた席に腰をおろし、そこに座ると背を向ける形となっている同居人に振り返るでもなく手を伸ばして食器棚横の小さなキャビネットから事務用ファイルを一つ引っ張り出す。


 「えっと今日最初は……9時から真田さんの……やば!もう一時間ないじゃん!」

 ファイルを隣の椅子に放り用意された朝食をかっ込み始める。

 下瀬悠(しもせゆう)。弱冠二十歳にしてここ綾篠神社を――妖刀と二人で――切り盛りする巫女である。


ぼく「百合の練習したいな。ついでに重い話ばっかり書いてたから気分転換したいな」

建前「ついでに短くても毎日投稿するっていうの、実際どれぐらい効果あるのか新聞小説位(1000文字前後/1話)で試してみよう」

本音「今までの1話分で3~4話投稿できるしお得じゃん」


という三者の利害から生まれた作品。

百合に造詣の深い方からすれば至らぬ点ばかりだと思いますが、広い心で見守って頂ければ幸いです。


※プロローグに関しては終了するまで連続で投稿いたします。

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