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【メイン】超ショートショート小説たち

物知りモノリス

作者: なみのり

夏だというのに少し肌寒い日。物知りモノリスが空から地上に落ちてきて、一年が経った記念日だった。彼は黒の長方形で薄っぺらい、どこかで見たような見た目だった。そいつは僕のお気に入りの何処までも緑の続く原っぱに浅く茶色いクレーターを作ったので、最初僕はあまり歓迎しなかった。が、だんだんモノリスの知恵深さに少し惹かれて話をするようになった。物知りモノリスはかなりの物知りで、いつもいろんな話をしてくれた。駅前の商店のりんごが安いけど、あまり日持ちしないから早く食べたほうがいいとか、あそこの空き地は最近買い手が見つかったので、中で遊んだら怒られるよ、とかそんな話をよくしてくれた。 モノリスは神官のような厳かな口ぶりで、大したことないことを話した。僕も大したことないことを話した気がする。物知りモノリスは知識を披露することが好きで、そこが少し嫌いだったが、僕たちは結構仲良くなったと思う。たまに僕は物知りモノリスに空の話を聞こうとするのだが、 彼は大体をはぐらかした。でも一度だけ、物知りモノリスが普段とは違う、さらに重々しい悲しい気な口調で話し出したことがある。言っていいものかと悩みながら、最後には口を開いた。「 知りすぎていることは、そんなにいいことじゃない。どこへ行っても知っていることばかり。つまらない人生だよ。私は人が羨ましい。肌や目で世界を新鮮に捉えられる人間は、私の憧れなんだ。」

僕はモノリスが羨ましく思った。何処に行っても新鮮さの嵐から逃げられない人間よりも、彼のような存在の方が気が楽だと思った。だが、僕はそれを伝えることはなかった。

ある日、原っぱから物知りモノリスが消えていた。クレーターの中心に置き手紙を残して。手紙には故郷に帰るということと、ささやかな感謝の言葉が綴られていた。だけど、僕は気づいていた。彼はまだ知らないことを探しに行ったんだろう。なぜだかわからないけど、それを確信した。原っぱにじりじりとした太陽が照りつけ、爽やかな風が吹いた。僕はただそこに座って、どこか遠くを眺めていた。

今日は一時間おきに一つ投稿予定です。全部で4つ。お暇な方はぜひ暇つぶしにお越しください。


お恥ずかしながら文章の仕事を目指しています。先はまだまだまだ遠いですが、一生懸命1歩ずつ頑張りたいと思います。アドバイス等をどしどし下さると助かります。

コメントも一言貰えるだけでモチベーションが凄く上がるので、お暇であればお気軽にお願いします。

毎日1話以上の投稿を目指していて、今日で記念すべき…?10日目、今日1個目の投稿です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] よくできてます。面白かったです。ちょっとシーマンっぽいのがアレですけど
2018/04/08 18:59 退会済み
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