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ク ロ い ハ コ  作者: 家紋 武範
総理と式神篇
199/202

第199話 新ヒーロー

 安倍(あべの)総理は岡官房長官の報告を受けて顔を青くした。


「ば、バスターマンが捕まっただって!?」

「そ、そうなんです。テレビの生放送でやっております。敵に備えがあったようです」


「戦況は?」

「はい。巨大砲塔から攻撃するようで、他の攻撃は一時停止しておる模様です」


「国民には絶対に建物や地下から出ないように指示してください。それからバスターマンを救わねば」

「はい。すでに百里基地より救援部隊が出撃の準備をしているようです」


「くっ。助けられればよいのだが……」


 安倍(あべの)総理は唇を噛み締めた。





 その頃、鈴村きゃんは病院の自室でテレビの前に座っていた。そこには、捕まったバスターマン。そして自衛隊が救援に出撃することが放映されていた。

 しかし、ヒホリント星人の砲撃準備はもうすぐ整いそうだ。


「ああん! どうすればいいの!? このままでは英太さんも、私も……。私にもあのブレスレットがあれば英太さんを助けに行けるのに~!」


 どうすることも出来ない。おそらく日本全土の国民たちが同じ気持ちであろう。バスターマンが捕まってしまえば、自分たちの運命は決まったようなものだと──。



 ティウーン。



 何かの音。鈴村きゃんはその音のほうを見る。警報というよりは起動したような機械音。

 しかし見た方向にはテレビがあるだけだ。だがまた再度同じ音。



 ティウーン。



 それはテレビの下の台から。その台には三段の引き出しがある。その一番上は鍵付きの貴重品を入れる引き出し。

 鈴村きゃんはそこを開ける。そこには、先日アシヤギーンの腕に嵌められていた黒いブレスレットがあった。


「え? これからの音?」


 見ると、バスターマンブレスレットのように、ボタンが点滅している。それはバスターマンブレスレットのガイドボタンと同じ場所だった。


 鈴村の胸にまさかという思い。これは怪人のブレスレットだ。しかし、バスターマンのブレスレットと形状が同じ。

 鈴村きゃんは点滅しているボタンを押した。すると、そこから光が照射され、鈴村きゃんの目の前にガイドの人物の胸像が現れた。


『はい。ふっちゃん。俺はこのブレスレットのガイドの長井英太です。君に一番適当な人物としてガイドに選ばれたんだ。よろしく』


 それはガイドの英太だった。黒い箱にある長井英太のデータは、このブレスレットにも入っていたのであろう。


「え、英太さん!?」

『そうだよ。ふっちゃん、時間がない。すぐに君も変身するんだ!』


「へ、変身? そのブレスレットで怪人に?」

『いや。このブレスレットの嵌めたもののヒーローイメージに変身する。アシヤギーンとは別なビジュアルになるよ』


「ほ、ホント?」

『そうさ。さあ時間がない。すぐに変身だ』


 鈴村きゃんは、恐る恐るブレスレットを嵌める。そして自身に繋がれた管を引き剥がし叫んだ。


「変身!!」


 たちまち鈴村きゃんの回りを光が包み、そこには桃色の女性ヒーローの姿。

 形状はバスターマンに似ているが、全体が薄いピンク。所々が濃いピンクとアクセントに黒が散りばめられている。

 鈴村きゃんは、洗面台に急いでその姿を確認した。


「きゃーん。カッコいい!」

『ふっちゃん! 見とれてる場合じゃないよ。すぐに現場に行かないと!』


「あ、そうか! でも私、前にバスターマンになった時にはオートモードだったの。こっちのブレスレットでもオートモードになれるかな?」

『ああ大丈夫。起動から今までの間に、バスターマンブレスレットから、動きのデータをダウンロードしてアップデートしておいたよ。ただしこちらはあっちのブレスレットほど性能は良くない。君の仕事はバスターマンの救援とその援護だ!』


「うん。分かった」

『名前はどうする?』


「名前……?」


 鈴村きゃんは少し考えた。


「バスターティンクルは? 鈴の音って意味の。可愛いでしょ?」

『なるほど。鈴村にかけてるんだね。ティンクル。いいじゃないか。じゃあバスターティンクル、オートモード起動するよ!』


「ええ。お願い」

『では以降は、この人工知能がこのバスターティンクルを操作します。オートモード起動!』


 途端に、バスターティンクルの身体は壁を壊すことなく突き抜けて、大空を吹き飛んでいった。





 その頃のバスターマンは、なす術がなかった。鳥かごに囚われたようだ。動かない左腕をだらりと下げ、右手で光の網をこじ開けようとするが、光の網はうねるだけで、すぐに元に戻ってしまう。


 テレビカメラはその様子を全国へと映し、アナウンサーは決して諦めないようにとバスターマンを励ます言葉を送った。


 しかし、ヒホリント星人の巨大ロボットであるプリンス・ジャックは容赦なく地上を焼く。

 日本中から、絶望の声が上がる。


 その時だった。テレビから疑問の声。


『あ、あれはなんだ?』


 テレビカメラは、その桃色の物体を小さいながらもとらえる。


『ふ、風船でしょうか? それにしては早い? まっすぐにバスターマンに近づいて行きます!』


 その桃色の物体は、バスターマンを目指して飛ぶ。もちろん鈴村きゃんの変身したバスターティンクルである。

 バスターティンクルの眼前のモニターにガイドの英太が映り、彼女に話しかけている。


『ふっちゃん。バスターマンを捕えている光の網は四ヶ所の浮遊物によって形成されているらしい。そこを破壊するよ!』

「うん分かった。任せるよ」


 バスターティンクルは、バスターマンの回りを回転する。すると、「シャーン、シャーン」と小さい爆発音。それが四度聞こえると、バスターマンを包んでいた電磁網は無くなった。

※ここに登場する内閣総理大臣 安倍清陸は、第90・96・97・98代内閣総理大臣 安倍晋三氏とは一切関係ありません。

※これは娯楽作品です。政権批判や内外政策への提言など一切ありません。

※感想を書かれる際には、政権に対する批判などはご遠慮願います。

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