カイトのいたずら
「学校行ってくるー」
「行ってらっしゃーい」
それは、いつも通りの普通の朝だ。
……学校行こうとしてる奴がウィザードじゃ無ければ。
「おーい!カイト!」
通学路を歩いていると、後ろからクラスメイトの神崎に声を掛けられる。
丁度昨日雨が降ったから、俺の足元には水たまりがある。
俺はこっそり、水たまりに凍結の魔法を掛ける。
「ようカイ……ぶがっ!」
神崎が思いっきり水たまりに張られた氷でずっこける。
「あはははは!ぎゃははは!あは、ゲホ、あはははは!」
やべぇ楽しい。
「ったく……。なんなんだよ、冬でもねぇのに……」
神崎が地面にぶつけて赤くなった鼻をさすりながら立ち上がる。
「さー、なんでだろーなー」
「棒読みかよ」
神崎と歩いていると。
「よお神崎!見てたぞ!さっき思いっきりこけるとこ!」
同じくクラスメイトの岡山と高橋に会った。
「ふざけんなよ……?」
「ごめんなさい」
怨念のこもった顔で言う神崎に岡山はへらへら笑いながら頭を下げる。
「ははは、神崎からかうのも、その辺にしとけよ」
高橋が言う。
「ほー、良い子ぶるねー、学級委員長の高橋君」
「ち、ちがっ!?そんなんじゃねーよ!」
からかう俺に、顔を赤くして高橋が反論する。
「「「おい。高橋、前」」」
そんな高橋に俺たち3人が忠告する。
「は?前……?痛っ!!」
高橋君は電柱に激突しましたとさ。
無事に午前中の授業も終わり。
俺たちは屋上で弁当を食べて居た。
「俺魔法使いになったんだけど」
何気なく言うと。
「はー」
「魔法使いねぇ……」
「よかったじゃん……。って、」
「って?」
「「「はぁ!?」」」
見事なノリツッコミ。
「魔法使いってなんだよ、お前魔法使えんのか!?」
「あぁ」
「『あぁ』じゃねーよ!じゃ使ってみろよ!」
「わかった。……そこにプールあるだろ?」
屋上からは学校の敷地が見渡せる。
「あぁ、あるな」
「何するんだ?」
「こうするんだ」
柵に寄りかかり、指を振る。
すると……。
「は!?」
「こ、凍った!?」
「あ、まさか……」
神崎が俺を見る。
「今朝の氷、お前か!?」
「さぁなー」
「てめえええええ!!!」
神崎が俺を締め上げ始めると。
「なぁ、虹野。風の魔法とかも使えるのか?」
「ん?あぁ、使えるが?……って痛!やめろ!」
「お前が悪いんだろ!」
「落ち着けよ、お前ら!」
屋上で高校生4人が大騒ぎって異様な光景だよな……。
高橋が神崎を落ち着けてから。
「虹野。お前風の魔法も使えるんだよな?」
「だからそう言ってるだろ」
「じゃあ、こんな事もできるよな……?」
そう言うと、岡山は俺たちにこそこそ話し始めた。
「い、いや、それは可能ではあるけど人道的に……」
「お前天才か!?やるよな、カイト、高橋!」
「い、いや、俺は別にやりたい訳じゃ無いけど……」
「ええー。高橋がやらなくても、虹野には参加してもらわねぇと困るぜ!」
お前、人としてどうなんだ。
岡山が話した作戦とは。
作戦とは、なんなんでしょうね!お楽しみに!