私の親友はね
設定が生かしきれていません。
読んでからの批判はやめてください
「さ、朔夜っ」
頬杖をつきながら、口元をにやけさせる
私の正面に座り、顔を真っ赤にして怒っている彼女が可愛いからだ
『ほら、早くしてよ。溶けちゃうよ?』
彼女が恥ずかしがって嫌がっているが、私がすることだからと拒否しきれないところが可愛すぎる
パフェをすくったスプーンを差し出す、所謂「あーん」だ
「はしたないで、んっ」
大きく口を開いたところでスプーンを唇に触れさせる
にこーっと笑いかけると、睨んだ後にパクリと食べる
彼女の口にあったようで、はにゃんと顔をほころばせ、はっと我に返ると再び顔を赤くして睨んでくる
可愛い。とても可愛い
にまにましながら自分でパフェをすくって食べる
マンゴーパフェ美味しい。好きな子と食べるとより美味しい。好きな子と間接キスだと思うと更に美味しい
彼女はしばらくうらめしげに睨んでいたが、何か思いついたようでパッと表情を明るくさせると、いそいそと彼女の皿に盛られたクレープをナイフで切り分け、フォークに乗せて差し出してきた
「朔夜。あーん、ですわっ」
『……』
どう?恥ずかしいでしょ?
そう言わんばかりの顔に噴出しそうになるのをこらえながらパクリと食べる
「えっ」
無駄に長い髪を押さえ、やや伏し目がちに。飲み込んだ後に唇を舐めれば、彼女のキャパを超える
フリーズしてる内にぷにぷにの頬に触れ、堪能する
私の名は十六夜 朔夜。国外にも勢力を伸ばしているヤのつく稼業のトップの一人娘
適当に捏造し、国内随一の全寮制の金持ち学校に通う高等部1年
転生者で、過去の事は覚えておらず、この世界の知識だけあるパターン
ここは乙女ゲームな世界で、私のポジションは主人公の友人、情報提供者だ
ゲーム通り、攻略キャラが生徒会や風紀委員にいたり主人公がクラスにいたりするがどうでもいい
私にとって大事なのは、目の前にいる悪役令嬢である五十嵐 優衣だけ
彼女は国内で一番の財閥の令嬢だ。お嬢様お坊ちゃんが集まる学内でもなおのトップに君臨する家柄のお嬢様だがそれもどうでもいい
重要なのは、私も彼女もお互いにお互いが大好きだってことだけ
ゲームでは、この学園でお姫様として好きに振舞ってい、攻略が進むにつれなんやかんやして排除される運命だが、彼女の興味が私にのみ向けられたため、そんな気配は微塵もない。というか彼女を排除しようとしたら私が裏から手を回す
そしてそいつを表社会から排除する
ゲーム補正、と言うよりは人間の性だが、別の、彼女より家格が下がるが上の方に君臨するお嬢様が(私たちに迷惑をかけない範囲で)好き勝手している
ちなみに、本来なら十六夜も五十嵐と同格だが、学園内では普通くらいの家にしている
蛇足だが、我が家の稼業のトップは謎に包まれ…包んでいる為、堂々と十六夜を名乗っている
ちなみに主人公ちゃんは数度私にアプローチをかけてきたが、嫉妬した彼女に釘をさされ、以降関わってくることはなかった
可愛かった。嫉妬してる優衣は本当に可愛かった
「~朔夜!」
ようやく我に返ったらしいが、
『大声出したら迷惑だよ?』
「~~~っ、誰のせいだと…っ」
ちゃんと小声なのが可愛い
『私のせいだね。ごめ~んねっ』
ちょん、と鼻に触れ、パフェの残りを食べる
「反省なさってませんわね。…まったく」
何か言うのを諦めたらしい
ぷりぷりと怒った振りを続けているが、小さく口元が緩んでいる
彼女は素直じゃなくて、意地っ張りで、頑張り屋で、淋しがり屋で、とっても愛らしい、私の大好きな娘
嗚呼…私の親友は、最高に可愛い
~・~・~・~
にこにこしながら、私にスプーンを差し出す
頬杖なんてだらしないだけのはずなのに、朔夜がすると不思議と様になる
朔夜が何をしたいか、何を求めているかなんて知っている
けれど、あーん。なんて人前ですることじゃない。そういう意味を込めて名を呼ぶ
こういうことは2人きりで。公共の場でこういうことをするのは五十嵐家の娘として褒められたことではないし、なにより朔夜の愛らしい顔をそこらのゴミ共に見せたくなんてない
『ほら、早くしてよ。溶けちゃうよ?』
ああ、アイスよりも、朔夜の可愛らしさで私の方が溶けてしまいそう
それでもゴミ共の前で、ということが気にかかり、建前を口にすると唇にスプーンが触れた
はうっ。悪戯っぽい笑みが可愛すぎますっ
それに、これは間接キス…っ。意外と潔癖な朔夜が自ら自分の物を共有するのは私だけ
私は、朔夜の特別…。うふふ
はっと我に返る。はしたない顔になっていただろう。朔夜に見られてしまった
八つ当たりと分かりつつも睨むと、見せつけるようにそのスプーンでパフェを食べた
はうぅ、羞恥プレイですのねっ。羞恥…ん?朔夜の、照れた顔…?
ああっ、見たい!見てみたいですわ!!
いそいそと私が注文したクレープを切り分け、朔夜を真似て差し出す
「朔夜。あーん、ですわっ」
いつも余裕に溢れた朔夜の照れた顔を期待していたのに、優しい顔でクレープを食べた
やや伏せられた瞳。髪を押さえる仕草。唇に付いたクリームを舐め取る時に僅かに覗く舌
素敵ですわぁああ!!これは萌え!そう萌えですわ!ある種完成された一つの芸術!!……ハッ
コホンッ。先程の比ではなくトリップしてしまいました…
恥ずかしくて、誤魔化すために自然と声が大きくなる
だって、それに、朔夜の白くて繊細な指が、わ…私の頬に…っ。はぅ、鼻にちょん。なんて可愛すぎます!ああ、その笑顔は反則ですうぅっ
顔がだらしなく緩んでしまいそうになるのを必死に堪えるが、どうしても口元が緩んでしまう
朔夜はいたずらっ子で、強くて、物知りで、かっこよくて、可愛くて
嗚呼…私の親友は、最高に愛おしい
十六夜 朔夜
実家はヤのつく稼業どころではなく裏社会を牛耳っている
個人でも様々なパイプを持っているが、実家の事も含めそれは優衣にも秘密にしている
一通りの格闘技は習っており、実戦慣れもしている
頭も良く、総合成績は学内トップ
最近の悩みは、生徒会長が優衣に興味を持ち始めた事
五十嵐 優衣
国内随一の財閥のご令嬢
優衣自身も株やマネージメントをしてポケットマネーが溜まっている
護身術は習っており、そこそこの腕前
座学だけなら学内トップ
最近の悩みは、風紀委員長が朔夜に興味を持ち始めた事