突然の出会い
ようやく彼を書くことができてうれしいです。
出会いは突然降ってくるようにわいてきた。
「会いたかった……」
ハンバーグを作ろうとお肉屋さんに買い物へ行こうとしているときのことだった。
突然、いきなり知らない男性から抱き付かれた。
「グェェ」
思わずカエルが潰れたような声をあげてしまった。
「あなた誰?いきなりレディに向かってこんなことするなんて失礼よ」
そう言って振り向くと、美少年がいた。
黒く癖のない髪の毛、サファイアをはめ込んだような美しく輝く青い目。
整った顔立ち。切れの長い目。形のいい鼻筋。スラリとした体形。
幼さとかっこよさが共存するような美少年だ。
「ノワール・ブラック。僕のことを忘れたの?」
この人は、頭がおかしいのだろうか?
こんな人間、一度見たら絶対に忘れられないだろう。
「忘れた以前に、私はあなたのことなんて知らない」
「クリスティーナ。僕は……君の友達だったじゃないか」
残念ながら、私には友達が一人もいなかった。
「私、クリスティーナじゃないわ。リアよ
リア・ローレンス。知らない人にいきなり抱きつかれるとか気持ち悪いわ」
「記憶喪失な上に、誰かに別の人間だと洗脳されているみたいだった」
こいつは今すぐ病院に行くべきかもしれない。
「何、バカなことを言っているの?私はリアって言っているでしょう」
「自分の本当の名前まで思い出すことができないらしい。その上、偽りの名前を信じているなんて」
……こいつはきっと頭がおかしい。
「私は、本当にリアよ。あなたなんて知らない」
「ほら、君の好きなBL小説を買ってあげるから機嫌を直してよ」
少年は、いきなり訳のわからないことを言い出した。
「ふざけるなあ!私は、BL小説なんて大嫌いだ」
次の瞬間、彼の表情が絶望に満ちた表情に変わった。
その顔は今でも忘れられない。
「クリスティーナじゃなかった。……僕は、騙された。ひどい。僕は君に純情な心を弄ばれた」
「何かごめんって何で私が悪女みたいになっているのよ。あなたが勝手に勘違いしたから悪いのよ。私は悪くないわ」
「この詐欺師、偽物、パクリ女。今すぐ消えろ!」
そっちから近づいてきてその言葉はひどいだろうが。
私は、急ぎ足でその場から立ち去ろうとした。
不審者って本当に言動も行動も意味不明だなあ。ある意味、あの少年は勇者以上だ。もう二度と会いませんように。
しかし、立ち去ろうとした途端、腕をつかまれた。
「待って。やっぱり君のことをもっと知りたい」
どっちだよ。
ノワールは、私に向かってひどい言葉ばかり吐き捨てるくせに冷たく突き放そうとするとなぜか追ってきた。
こうして私はノワールという少年と仲良くなってしまった。
彼はは、現在はホームレスだった。たまたま知り合った人の家を転々としているらしい。
そして、今は家がない状態らしいので、私の仕事先で余っている部屋をこっそり貸してあげることにした。
読んでくださりありがとうございます。