1年目の文化祭***
ステージにあるマイクの前。
吹奏楽部の、代表として。
大きく息を吸い込む。
客席が、すごく静かだ。クラスの友達が真剣に見てくれている。
「こんにちは、吹奏楽部です!」
今まで何度もしてきた挨拶。でも、今日はなにかが違って、ただのこんにちは、じゃなくて、ただの吹奏楽部じゃなくて…。
「私たちは、夏休みからこの文化祭に向けて、精一杯練習してきました。聴き苦しいところもあるかと思いますが、どうぞ、よろしくお願いします」
静かに、優しく、拍手が湧いた。
1番後ろの、直管群の席まで戻る。
太一と目が合って、その笑顔に安心する。口が、がんばろう、って動いてる。
その後ろの葵とも目が合う。お互いに微笑んで、葵は前を向いた。
息を吐いて、吐いて吐いて吐き切ってから席につく。
先生がそれを確認して、指揮棒をあげる。
部員みんなが、また、お客さんたちも、何も言わずに真っ直ぐそこを見る。この、緊張感が好きだ。
みんなのブレスが揃う。
背中になにか、すっと通って、目頭があつくなった。
短いですが…
帆奈と太一と葵を。
ここで仁科持ってきたら無理やりすぎると思って…
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