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たべたくて~夜中の無銭飲食~

作者: 三毛狐
掲載日:2026/01/23

 俺はいま皿を洗っている。

 蛇口を捻ると夏だったら嬉しいキンキンに冷えた水がドバドバと、真冬のこの手に降り注ぐ。


 痛い痛い痛い、キッツい。

 手の感覚が消えていく。


 それでもこれは温情なのだ。


 このご時世、無銭飲食をして皿洗いで許されるだなんてあるわけがないと思っていた。

 なのに、ここのラーメン屋の親父は閉店後の皿洗い全部で許してくれるというのだ。


 ありがたい。

 ありがたくて涙がでてくる。


 深夜だったからなあ。

 友人たち誰にも連絡がつかなかった。


 しかたがないことだ。

 

 何とか洗い切り、頭を下げて謝罪とお礼を伝えると帰途についた。


 もう二度とお金がないときに外食しようとは思うまい。

 もう二度と……











 俺はいま皿を洗っている。


 どうしてだろうか。

 だがそうなったのだ。


 ラーメンは美味しかった……それだけが救いだ。


 またも深夜のせいで誰にも連絡がつかなかった。

 警察か、皿洗いか、と言われたらもちろん皿を洗う。


 水は手に痛かった。

 しかし二度目だ。


 心なしか慣れてきている自分がいた。


 もう二度と。

 もう二度と、お金がないのに外食をすることはないだろう。


 絶対にだ。











 俺はいま皿を洗っている。


 これは何度目だろうか。

 少なくとも週1以上でやっている気がする。


 初めて皿洗いをしたのはいつだったか……


 ラーメンは美味かった。

 水は冷たかった。

 皿は綺麗になった。

 慣れたものだった。


 友人に連絡を取ろうとしなくなったのは何度目だったか。


 お疲れ様でしたー、と挨拶を交わし笑顔で店を出る。


 夜空の黒に、吐く息が白い。

 清々しい気分だ。


 明日もこよう。


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