表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちこぼれ勇者は史上最強と名高い魔王討伐を目指す〜なお、魔王の囁きには魅了効果があります〜  作者: 丹羽坂飛鳥
黒い神編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/37

神の試練

 オルディアは仕事を済ませて時間を作るから、私は食事が終わったら、すぐに禊して神へ祈りを捧げるようにお願いされた。

 私もお告げを聞きたかったから聖堂で無心に祈ってると、神から言葉をもらえた。


『勇者フルル。胸に刻まれたものは他の神からの試練です。

 残念ですが、私には解くことが出来ません』


 神の試練を他の神が解いちゃったら意味がないから、神同士の盟約で試練中は手を出さない、解除のために直接的な手を貸さないことが決められている。

 答えを教えたり、発動しないようには出来ない。たとえ聖剣を授けてくれた神であっても、だ。


 さらに祈っていると『弱化の呪い』で今は身体能力なども最低限まで下がったことを教えてもらえた。


『身に着け続けた聖剣ですら、今のあなたには重く感じることでしょう。

 ですが勇者フルル、あなたであれば試練を乗り越えてくれると信じています』


 神は人の営みには基本的に関与しない。

 それでもティーカーにお告げしてくれたことへのお礼を伝えたら、優しい笑顔を浮かべた神の気配が遠のいた。


 立ち上がるけど、神も言っていた通り、今は腰の聖剣すら重い。


 魔族に襲われたらまずいかなって思ってたけど……オルディアが厳命してるみたいだし、守護者としてそばにいるティーカーが守ってくれてる分、安心出来るのは救いだった。


「ティーカー、守護者として頼りにしてるよ。よろしくね」


『俺にも神の声聞こえた。

 けど弱化で俺より弱くなってるって……あの黒い神、フルルにどこまで酷いことすれば気が済むんだよ……』


 今や体を動かすのも、違和感がある。聖剣は重くて振るのもやっとだった。

 ……多分普通の女性と同じ筋力以上にならないよう、呪いで押さえ込まれてるんだ。

 体を鍛えて強くなった分さえも封じられてるって、廊下を歩く体が重いことでも分かる。これが筋肉の重みかな。


「今は仕方ないよね、あと十日の我慢だよ。

 緩んじゃったら、また鍛え直す余地ができたってことにしよう?」


『こうなったら早く正解探そうぜ。

 フルルを恨むやつなんて、やっぱり魔属性の神だよな。聖属性で勇者が嫌いな神いないし』


「うん……神界行った時も「大変だね」「頑張って」って声かけてもらえたから、神に恨まれてる印象がないんだ。

 でも勇者である以上、魔族にならどこで恨まれてるかわからないんだよね。

 ……思いつく相手も一応いるけど、名前は不明。

 当てずっぽうに言い続けて当てられるものじゃないと思うし、慎重に調べないとだね」


 祈り終わったら執務室に来るように言われてたから、肩にティーカーを乗せて廊下を歩いてた。

 だけどティーカーの方が私よりもよっぽど考えてるから、笑って頬を突いちゃった。


「大丈夫だよ、ティーカー。せっかく神界にまで来たみんなに、助けてもらった命だからさ。

 絶対に名前も見つけるし、生き残るよ。安心して」


『フルルはあと十日で命も失うし、多分、魂も砕けるんだぞ。転生も出来なくなる。

 俺はフルルが頑張ってきたのに、神にそんな終わりを迫られるのが嫌だ』


 優しい仲間が、そばにいてくれる。

 その事実が、どんなに救いになるのか……思い知った気分でティーカーに頬を寄せてた。


 偽物たちだったら「フルルならなんとかなるよな、信じてる」って言われておしまいだった。


 でも今は呪われてることを一緒に悩んで、解決のために動いてくれる仲間がいる。

 改めて私のために神を考えてくれるティーカーの、優しい気持ちが沁みて……お人形じゃないのに頬擦りしてた。


「心配してくれてありがとう、ティーカー。

 でもティーカーは、私の今までも知ってるはず。勇者なりに粘るから任せて」


 辛い状況なんて、いくらでも乗り越えてきた。

 絶体絶命の局面も、戦ってきたからこそ幾度も経験してきた。

 今度はそれが、命を賭けた神の試練なだけだ。


「大丈夫、神の試練ってことは、人間にも必ず解けるってことだから。

 そもそも神は人に解けない試練は課せないはずだからね、勝ち目はあるよ」


 決意を込めて、仲間を見つめた。

 私が死なないことで守れる仲間がいるんだって思ったら、自然と笑顔になってた。


「ね、ティーカーは笑っててよ。そのほうが気楽。今から辛気臭い顔禁止ねっ」


 握り拳を差し出す。

 ティーカーが文句言いたそうに百面相して迷ってたけど、思い切ったみたいに拳を突き出してくれたから合わせた。


『……ったく、フルルはしゃーねえなー……。

 わかったよ、約束な!』


「うんっ、約束!」


 不安になってたって、何も始まらないんだ。

 前衛同士で拳を合わせて約束すると、ティーカーも吹っ切れたみたいで、ようやく明るく笑ってくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ