ライフをハックするということ
リリィの顔をみながら、サオリはポカンとしていた。そして状況は、プニカとプニホ、つまりプニプニの二人も同様だった。先ほどとは打って変わって、状況を理解しているのはリリィのみとなり、サオリは多数派側にまわり、念願のマジョリティ側に入れたというわけだが、しかし、先般、過去のことを思い出して落ち込んでいたことなぞ、完全に忘却していた。
この世界で生きていくにあたり、刺激的なことが多すぎて、過去を振り返り暗澹とした気持ちとなる暇はあまりないということなのだろう。
すでに地球上では天に召されてしまったため、手遅れな気づきなのかもしれないが、人生を上手くハックしていくコツは、とにかく自身を忙しくさせ、過去を振り返る隙間を与えないことかもしれないなぞということに、スカイワールドでサオリは思い至ったのである。
そうして、髪の毛にカジュくんなる人物が遠隔操作している小型ロボットの侵入したリリィに疑問を投げかけた。
「リリィちゃん、痒くないの?」
「大丈夫だよー?カジュくん悪い人じゃないから!クジュシンにいたときはお金いっぱいくれたのー!いまはリリィみてくれてるだけだけど、魔王討伐のときに助けてもらおうとおもってる!頼りにしてるからね!リリィのカジュくん!」
とくに、応答は無いようだった。サオリがまたしても疑問を投げかける。
「ええ、この小型の状態で、魔王を倒す時に、なにかできるというの」
ここでプニカが口を挟んだ。
「まぁええやん!無害な子みたいだから、髪の毛の中にいさせてあげようよ!それよりも、ギガイガンを倒さんと!!!この街がなくてしまうで!」
「プー、その前におなかすいたよー、オークカツ丼屋さんいこうよー、ソースのかかったやつ。88番ラーミョンでもええけどー!」
「せやのおー、サオリちゃんとリリィちゃん、ご飯たべいくで!オークカツ丼と、88番ラーミョンどちらがいい?そのあとで、ギガイガンをやっつけるよー!」
「プニプニちゃん、せっかくのご提案申し訳ないのだけれども、私たちはさっきご飯を食べたばかりで、お腹がすいていないのよ。2人で好きなのを食べてきなよ」
プニホが閃いたように、サオリをみつめた。
「わかった!じゃあすぐ食べられるように、ブルーエドッグにする~!!!売店まで一緒にいこ!少しあるけばあるやでー!!丘をおりて森をぬけたところに!」
こうして4人と、細かいことを言ってしまえば魔導式コバエロボットを遠隔操作しているカジュくんなる人物は、小高い丘を下り、南方へ歩を進めた。ブルーエドッグのお店へ向かうこととなったのである。
途中の森を歩いている最中、プニカが奇声を発した。
「ギャァ!!しもたー」




