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超小型の監視者

 「リリィちゃんどうしたの。大丈夫?」


 サオリの声掛けに応じず、引き続き前職が勇者らしい少女は体育座りしたまま呪詛をつぶやき続けていた。どうにもこれに関してはもう、なにを言っても、他人の影響で状況が変わると言った類の傷ではないようであったが、それでもめげずにサオリは声掛けをつづけた。この粘り強さは、スカイワールドに到着してから進歩したことといってよいかもしれない。


 それにしても、魔法少女は白のプリーツスカートにピンクのセーターを着た姿で体育座りをしていたため、角度によっては、助平な冒険者であれば興奮してしまいそうな状況となっていた。


 「ねえ!きみ!リリィちゃんのパンツずうっとみているのバレてるからね!メッ!!!」


 突然プニホが叫びだし、リリィの向かい5メートル程度の草原に向けて大声を発した。


 「プニホちゃん、私には何もいないようにみえるのだけど、まさか透明人間状態の助平爺さんがいるってわけ?」


 「んー、ちがうのー」


 「プニホも当然きづいてるけど、いわんかったよ。というか彼、ずっとついてきてるんじゃないの、まさか」


 何者かが、何らかの方法で魔王デスガイガンとの決戦の敗北者をストーキングしているらしく、そのことにプニプニの2人は気づいているようだったが、サオリには全く見当がつかなかったし、気配を感じ取ることもできなかった。


 まるで背景色と同化するカメレオンやタコのミミックオクトパスのように、草原と同化しているのかもしれないと必死で探したが、いくら必死で探しても、分からないものは分からないのである。。


 ここで、体育座りをしながら呪詛をつぶやくリリィと同じように、サオリも鬱屈とした気分に襲われてしまったのであった。そして、その気分とは、生前どこかで感じたことのある、お馴染みの感覚であった。例えば、小学校時代の技術・家庭や図工の時間、一人、また一人と、どんどん周りが課題を完成させていくというのに、サオリだけが取り残され、課題物を完成させることができずにつまづいている、あの、絶望的な感覚に似ていた。結局のところスペック的なところにおいて、自身はなにも成長していないということをひしひしと感じた。4分の3が理解している内容の、4分の1側、マイノリティ側に、またしてもなってしまった。


 突然、リリィが口を開いた。


 「カジュくんはリリィのこと大好きだからいいの」


 「カジュくん?」


 「うん。オークボパークのときからついてきてたよ!小型のハエ型ロボットごしに、リリィのこといつもみてくれてるのー。カジュくんありがとねー、はやく会いたいょ」


 よく見るとコバエがリリィの顔めがけて近づいてくるのが見えた。そのまま髪の毛のなかに紛れ込んでしまった。


 「もー、そこにいるの好きなんだから!」

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