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離脱

 こうして、魔王デスガイガンの姿に一瞥もくれることなくお店の外へ出ようとしたサオリとリリィであったが、ドアを閉めようというタイミングで、魔法少女リリィが明らかに殺意のもった魔力を込めはじめた。そのようにサオリからは感じられた。以前、サウザンドイヤー街に向かう途中、ヤリオトコの首をスパッとカットした即死系の魔法を使い、物語をここで終わらせようという魂胆があるようにも見えた。


 「ん、あんっ......」

 

 「どうしたのリリィちゃん」


 「ん、ダメ......んっ......」


 サオリは後ろに振り返らず、問うた。リリィはまたしても魔力切れを起こしたようにみえた。


 「うんー、ダメなのー。魔王くんに魔力を全部吸い取られて、動けなくなってしまったのー。あと、扉を閉じるだけなのだけど!」


 「わかったわ。私がなんとかするわ。扉を閉じるぐらいのことは、出来るはずよ」


 デスガイガンは、うっとりとした顔で、メンマを咀嚼している様子だったが、一瞬、魔法少女に目線をやったのであった。そこに込められていたのは、いつでも勇者候補一向を屠さることができるぞと言うメッセージに他ならなかった。鈍感な子供部屋おばさんですら感じることのできる殺意を、推定ラスボスが気付かないはずもなかった。


 サオリは俯きながら、外開きでガラス張りの扉を押し戻し、何とか閉じる事に成功し、グッタリしているリリィの肩を担いだ。


 「もう大丈夫よリリィちゃん、一旦もどるわよ」


 「サオリちゃんありがとう。あと少し扉を閉じるのが遅かったら、やられていたかも!いまのが世界を変えたかも!!!」


 「え?そうなの?!」


 そして、またしても機械的な自動音声がながれはじめた。


 「アキパラパーが誇るらぁみょん屋『しみゃそばや』から離れた事を確認いたしました。ポッピンホテルへ再度転移いたします」


 目の前が真っ暗になると同時に、身体が宙に浮くような感覚を2人は覚えた。


 その様子をみて、デスガイガンはニヤリと不敵な笑みを浮かべていたのであった。ようやくポッピンホテルに戻れるぞと、転移中に安心した気持ちで2人は静止していたわけだが、どうにも行きの時とは様子が違う。なにかスムーズにいってない気がするのである。真っ暗闇の別空間で、ずうっと静止しているような。リリィの雰囲気が険しくなっている事を、サオリは感じ取ったと同時に、例の機械的な音声がまた、聞こえ出した。


 「ブー、ブー、エラーが発生いたしました。ポッピンホテルへの転移は失敗です。ハッピー・イー県の、ブルーエに転移いたします」


 「(警告音、自分で言った。。。)」

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