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寄生虫

 「どうせいっちゅうねん!どうやったらもどるねん!!!」


 ここで、破壊神ギガイガンの胃液により、仲間が魔物化した事態に直面し、非常に緊迫した場面に転換したかと思いきや、ところがどっこい、タケアキは笑いをこらえるのに必死だった。いままで経験のない、どう対処したら良いのか皆目検討もつかない焦りからくる怒りがドンズから伝わってはくるものの、その見た目、さらには可愛らしい声とのギャップがどうしても面白おかしく感じてしまったのであった。端的にいって、彼には緊張感が欠けていた。しかしながら、決して仲間を笑うようなことをすべきでないと耐え忍び、リョウヘイに質問をした。


 「リョウヘイさん。ドンズさんがモンスターに返信してしまったわけですが、戻るすべはあるというのですかな」


 「いい質問ですね。というか、当然出てくる質問ではありますね。まぁ、あるにはありますよ。しかしながら、それは最終決戦間近になってのことでしょう。一旦は、自分がスライムであることを受け入れなければなりません」


 「そんなんいきなりいわれても、受け入れられるわけないやろ!!!」


 「ドンズさん、いたって、普通の反応とおもいます。でもね、知ってます?スライムって、限界突破すると、最強の技が使えるのですよ。それに元は、かなりの訓練を積んだ槍使いとお見受けします。そのスキルはスライムになっても継承されますよ。実を言うとね。この空間の中に入り込んだギガイガンの胃液は、私の張った膜を濾過して、スライム化はおさえられないものの、以前のスキルを引き継いだスライムになれるのですよ。そしてね、そろそろ出てくるとおもいますよ。サナダワームが!」


 「そこまで熱弁されるなら、試したくなってきたで。どうせしばらくは戻らないのなら、この姿を楽しむの、ありやで。ちなみに最強の技は信じとらん」


 気づけば、壁に刺さったドンズの槍は消失しており、壁も元通りとなっていた。この部屋は自己修復機能があり、リョウヘイの魔法によるものなのか、ポピンによるものかは分からないが、いずれにしても、修練の間の主に関していえば、ただものではなさそうだった。 


 「あ、来るな。また食べたかぁ」


 リョウヘイがひとりごちた数秒後、「ゴゴゴゴゴ」と、地割れのような音が鳴り、この部屋全体が大きく揺れ始めた。緊張感のないタケアキはワクワクを隠せないような顔つきで、リョウヘイの顔をみつめていた。


 「またはじまったで。モンスターオタクや」


 「いえいえ、リョウヘイさん、こちらの揺れは一体なんですか?」


 「もう現れますよ。サナダワームです。ギガイガンに住み着く、というよりは、主食の中に寄生虫がおるのですよ。そして厄介なことに、サナダワームというミミズ型のモンスターはね、遮蔽物を通り抜けるのですよ。幽霊なんですかねぇ。いずれにせよ、修練がはじまりますよ。タケアキさんにドンズさんでしたね。準備はいいですか?ドンズさんはせっかくスライムになったのですから、ドンズリンだとか、改名しますか?」 


 「リョウヘイさんなぁ。うちの社員がその台詞を吐いたら、殴ってましたわ」


 「ブフォオッッ!!!」


 タケアキがとうとう我慢できずに吹き出してしまったが、2人はその事に気づかなかった。それは、フロアを一周してもおかしくないような長さの、巨大なミミズが、3人がいるのとは対角線上に出現していからだ。

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