破壊神ギガイガン
ドンズが突然、タケアキも考えついてはいたものの、おそらく無理だろうとすぐに思考停止したことについて、提案をおこなったのであった。それはいくらなんでも、脳筋すぎるだろうと、驚愕してしまい、おもわず鼻で笑ってしまった。
「タケアキはん、ワイは冗談でいっとるんやない、本気やで」
ドンズは背を部屋の中央部に向け、禍々しい殺気を放ちながら一閃。壁に自慢の槍を一突きしたのであった。
「おー、かなり修練を積んだ槍使いと見えますね」
「グサッ」
壁の素材がなんなのか定かではないが、槍が刺さったことは間違いなかった。そのままグリグリと槍を深部に差し込んでいったところ、ピタリと止まってしまった。そして、一旦抜こうとしても、全く動かなくなってしまった。
「ア、アカン。動かへん」
「終わりです。その槍は諦めてください。またどこかで調達することです。そして、手を離してください。全身が溶けてしまいますよ」
リョウヘイが調達するも、言うことを聞かず引っこ抜こうとしたところ、どうにもドンズの様子がおかしくなったように見えた。だんだんと目が虚になり、おまけに半透明化してきたうえに、圧縮されて、だんだんと、いわゆる、冒険はじまる際、一番最初に遭遇するタイプのモンスター、つまり、スライムに変化していったのであった。
「リョウヘイさん、一体壁の外部はどういう」
「実を言うとね。ここ、ポッピンホテル31階ではないのですよ。空間転移魔法が発動するのです」
「むむぅ。では、どこになるというのですか?」
「非常に申し上げないのですが、ギガイガンの胃の中です。魔王の飼育している、最恐生物のね。ギガイガンの胃液は、どんなものでも。スライムに変えると、博識なあなたならばどこかで聞いたことがあるのでは?」
「破壊神ギガイガン!?下手したら、魔王より討伐が困難と言われる、裏のラスボス的な存在じゃなぁないですか!!!なんでそんなところに転移を」
「まぁ。敗北した元勇者御一行の、最後のあがきといったところですよ」
「ちょっとまてや。なんやこれ。みんなが巨大化しとるで。強化したん?タケアキはん?」
ドロドロした水色のスライムと化したドンズが、可愛らしい声で驚いていた。そのスライムというのは粘性が高そうで、頭は平べったく、クラゲのような見た目であった。慈悲深い目で、リョウヘイがその水飴のような生物に対し話しかけた。
「ドンズさんと仰りましたか。残念なお知らせがありますけれども、あなたが小さくなってしまったのですよ。あなたはギガイガンの胃液を浴び、スライム、つまりこの世で最弱のモンスターに変化してしまったのですよ。修練の間を脱出しようという、禁忌をおかしてしまったからです」
「アホンダラァ!!!」
可愛らしい声で、転生前は百戦錬磨の社長だった男は吠えた。




